今は3寺(私の知る限り)になってしまった「九体寺」!格式高いが、境内には猫や鶏が戯れる庶民感覚な気取らない浄瑠璃寺!
京都府と奈良県の境に位置する浄瑠璃寺。この寺の存在を知ったのは、NHKの特集番組だった。この寺の特徴・見所は、何といっても「九体寺」である事だろう。細長い本堂には、ひときわ大きい阿弥陀如来を真ん中に配し、左右に4体の阿弥陀仏を配している。春分の日だったか、秋分の日だったか、またはその両日だったかすっかり忘れてしまったが、当日深夜、御堂の大きな戸を開け放し、本堂前にある池の水面に、その九体の御仏が逆さに映る様をテレビ画面で見たことだった。それは高校時代だったか、未だ須坂に住んでいる頃だったように記憶する。
そんなことがあったので、この県(府)境に偶々分け入った際、例の昭文社の「上撰の旅」を括っていた時、「九体寺」という文字が目に入り、即、浄瑠璃寺に向かったという次第。
浄瑠璃寺の寺号は、三重塔の内陣に安置されている薬師如来の浄土「浄瑠璃世界」からきている。梵字の阿字を象ったと言われる池を中心にして、東に薬師仏、西に阿弥陀仏を配した庭園は極楽世界をこの世に表わしたもので、本堂は横に長く九体の阿弥陀如来を安置しています。平安時代には京都を中心にこのような堂も 30 以上あったと伝わっていますが全て失われ、当時の儘現存するのはここ(近畿圏では)浄瑠璃寺だけです。
【国宝】
本堂(阿弥陀堂)、三重塔、九体阿弥陀如来像、四天王像
・重要文化財
薬師如来坐像、地蔵菩薩立像(子安地蔵、延命地蔵)、吉祥天女像
本堂前の石灯篭
・史跡・特別名勝
浄瑠璃寺庭園
早春の馬酔木の参道は優しい雰囲気です。四季折々落ち着いて、癒される寺です。NHKの特別番組で見て、強烈に記憶にあったこの寺は、そんな訳で、特に気に入っていて、何回も訪れた寺の1つでした。
そんな格式高い寺なのですが、入り口の辺に、ある時は鶏が、のんびり餌を啄んでいたり、何匹かの猫がじゃれ合っていたり、ひどく素朴な面があるお寺だったりします。
早春の馬酔木の参道は優しい雰囲気である。静かな境内に入るとまず左手、三重塔の方向に進み、塔の中の薬師如来に手を合わせ、後ろを振り返り、池越しに本堂の阿弥陀如来に向かって手を合わせます。静寂の浄土世界に入った様な清らかな気持ちになります。
☝ 本堂の扉が開け放れ、池の水面に9体の仏が逆さに映る!NHKで放映された!
京都を去り、東北に2年半勤めた後、本社に転勤となった。ある時「都区内唯一の渓谷」と言われる等々力渓谷を訪れ、その帰り等々力駅の2つ先に「九品仏」という駅がある事を発見した。もしやと思い、予定外だったが下車してみた。駅の傍から大樹の並木に沿って参道になっているので迷わず行けた。その寺の名前は、「浄真寺」。それ迄は、九体寺は、京都の浄瑠璃寺しか残っていないと思っていたので、「あれ!?東京にもあるのか!?」と吃驚した。
浄真寺の場合は、本堂に阿弥陀如来一体を祀り、本堂の先に、3つのお堂を配し、そのお堂に3体づつ、阿弥陀仏を祀っている点が特徴だ。(そうすると10体になってしまうが!!??) それぞれの仏は、非常に大きい!
もう一つの九体寺は、な・なんと、わが郷里須坂市の隣、長野市若穂綿内に存在するのだ。ある時、停年退職後、車を走らせていたら、「蓮台寺」という案内板が目に入った。「あれ!小学校の時遠足で行った寺だ!」と記憶が蘇った。「行ってみよう!」と即決! 山の中麓にその寺はあった。山門を向けると、すぐ「九体寺」と書かれた案内板があり、「あれ!」と思った。遠足に来た記憶があったが、「九体寺」であったことの記憶はすっかり記憶から落ちていた。
本堂に着くまでは、結構急な階段になって、日頃運動不足の身には応えた。本堂の戸を開けてみて吃驚! まさしく九体の阿弥陀仏が鎮座しているではないか!(但し真ん中の阿弥陀如来は、本堂裏の空調の効いた安置堂に疎開!?) 堂内は天井画や、張りには、仏がずらっと並んでいたりして、独特な雰囲気を醸し出していた。
この寺から、わが母校「須坂小学校」は、優に片道17・8kmくらいの距離だが、当時の遠足は、歩いて往復したのだ。当時の先生方は、この「九体寺」の事をよくご存じで、児童にその様を勉強させようと、遠足の目的地にこの寺を選んだのだと思う! 当時の先生方は、情熱を持って、熱心に教壇に立たれた先生ばかりだった事を思い出す!今の虐めを隠す様な事なかれ主義の先生は皆無だった。
話は逸れてしまったが、そんな訳で、「九体寺」に想いを馳せる気持ちは格別である。
註 ここに掲載された画像は全て京都浄瑠璃寺のものである。蓮台寺は既にUPしてあります。浄真寺は近くUP予定です。
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画像 オリジナル。
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