県歌「信濃の国」について述べました。その中で信州人気質について記しましたが、今回はその気質に重きをおいて書いてみます。小生も立派(??)な信州人なので、県外に出て、いろいろなところに、転勤で行ったのですが、「お前は理屈っぽいなあ!やはり長野県人だなあ!」とよく言われました。自分では全く理屈っぽいなどとは思っていないのですが、端から見ると・・・!
地元紙「信濃毎日新聞」に、1903年「余が見たる信州人」という、内村鑑三の一文が掲載されている。その中の一部を抜粋してみる。「信州人の特性は、「愚にして頑な」なるにありといわれるが、余の見たるところをもってすれば、今日に至るもこの特性を変えざるがごとし。「愚にして頑な」とは、馬鹿正直な意なり。即ち騙されやすく、しかも、騙されるると知れば、直ちに惑いを解くの謂なり。余の見るところによれば、信州人はよくこの性を帯るごとし。余は幸いにして、未だ嘗て信州人中に奸物を見ず。これ稀なり。略・・これが余が明治の偽善政府の治下にありて、望みを信州人に嘱する所以也。・・略・・山国人なるゆえに、信州人は堅くして狭し。上田人(東信)は松本人(中信)を排し、小諸人は上田人を信ぜず(同じ東信の中でも意)、千曲と、筑摩の水域が異なるがごとく、北信と南信とは異郷の感あり。信州人は信濃の国全体のために謀らず。故に西南狐狸の輩の乗ずるところとなる。これ最も嘆ずべきことなり。( )は小生による註。
まあ!斯くの如くの有り様なのである。明治4年「廃藩の詔」が発せられて以来、平成の御代になっても、筑摩県、長野県の分離問題、【譲歩しても県庁所在地変更問題】は、未だに燻っている土地柄である。この問題があるから、「長野県人」とは言葉の端にも出てこなく、未だに「信州人」という言葉が使われる。[長野県人といういい方は、即ち県庁所在地長野を認めてしまう事になるから意地でも使わない・・という按配だ!←北信以外からみると]
信州人は、偏狭で、おせっかい焼きとみられる場合も多い。それに白黒はっきりさせないと気が済まないというところもあるし、拘りも強い。ついつい誤解(!?)される場合も多いと思う。ここで新潟県で言われる「信州7不思議」というものがあるので書いてみる。
【よき仏あれど信ぜず】・・・・・・ この不信心目が!でも特に長野市民は「おらほの善光寺様」と思っている
のだが! 信心が足りないか!?
【山多けれども、生木焚く】・・・ ・ 多分「せっかち」と言いたいのだろう!信州ではぐずぐずしていると雪が降
り、折角育てた作物も台無しにしてしまうから、勢いせっかちになる
【田畑少なけれど、大飯を喰らう】・山仕事や、急斜面で畑を耕すから、重労働で、確かに「大飯喰らい!」
だった!信州人から見れば、平らなところに田畑があるのが羨ましい
【水清けれど、顔を洗わず】・・・・まあ!外見や、身なりなど気に掛けないのが多いなあ!「中身だよ!」
という向きが強い!
【茶の木なくして、大茶飲む】・・・信州人は実に茶を飲む!1日7.8回は、人を寄せては日がな1日飲でい
る!そこで小理屈を捏ね回す訓練を知らずのうちにしているんかやあ!
【海なけれど、塩辛気を好む】・・海が無いだけに、海産物を好む! 谷浜や柏崎などは「信州の海」とか言
ってよく海水浴に行く!
【論多くして、事進まず】・・・・・ 確かに!新潟の人たちも信州人の理屈ぽさに手を焼いたに違いない!
う~ん!? よく見ているなア!と思う。
さてここで信州人の拘りの強いというエピソードをご披露!? 信州人は町内会の運営1つとっても、馬鹿ッ丁寧というか、大袈裟である。1月に新年会を兼ねて、その前に総会をやるのだが、普通総会なんて、役員が一通り報告して、「ご異議ございませんか?」と一声掛けて、シャンシャンで、ものの15分もあれば終わりますが、信州の場合は少し事情が違います。我が所属する町内会総会の模様を報告すると、先ず質問が必ず6・7件出ます。それに対して、ああでもない、こうでもない、前例はあるのか?と侃々諤々の質疑応答があります。その中の質問者の中には、質問だけで、10分くらい長々とおっぱじめるうるさ型のおっちゃんが必ず1人か、2人は居るのです。議長が「程ほどに~」と暗に窘めても一切お構いなしです。こうして総会だけでも延々と1時間を優に超えるのです。[11:30に招集して、新年会は2時からです] また質問をさせないと却ってクレームが出て、その時間以上に架かるので、皆お手上げです。
もう1つ例を。今はしていませんが、小生の小・中学生頃までは、町内運動会なるものを毎年やっていました。企画や運営は、そこらの学校も顔負けの大運動会です。町の中には隣組というものがあり、当時は子供の数も、住人も多く、隣組対抗戦でやるのですが、この組対抗戦というのがまた大変で、プログラムも終盤に近づいてくると、優勝しようと思って、一層ヒートアップするのです。そうするとですねえ! 終盤にやたらと「物言い(!?)」が付くのです。「やれフライングだ!」「号砲が鳴る前に引っ張った」「走者が白線の内側を走った!」などなど。これが延々と続くのであります! クレームの当事者は、自分のクレームが通れば、「もうけ!儲け!」と帰ってくるんだから、自分でも無理難題と承知しているという事になるのではないかと思うがお構いなし! まあ少しでも疑義があれば糺さねば気が済まないのだろう!
まあ生まれてからずっと信州に暮らしていれば、全然苦にはならないと思うが、<また信州人は全国何処でもそうだと思っているから一層始末が悪い>付き合わされる信州人以外の人は堪ったものじゃないと思う。[小生は42年も信州を離れていたからこんなことも判るのだが]方言もどんどん消えているが、果たしてこの信州人気質は如何に!
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