日本の「獣医師」のいま
ペットの診察だけじゃない 獣医学部とは何を教えているところなのか!?
獣医学部を設置している大学は、国公私立合わせて16大学。イヌやネコなどペットが病気に罹ったときにお世話になる獣医師になるには、これらの大学で6年間、いわゆる獣医学をみっちり学び、国家試験に合格しなければならない。
■大学アナリストの斎藤健一郎氏が言う■
「大学によって獣医学部、農学部の中の獣医学科、獣医畜産学部など名称はさまざま。国公立では東大をはじめ、北海道大学や帯広畜産大学が有名です。今年3月発表の獣医師国家試験の大学別合格者は、新卒者の合格率でいうと私立の日本獣医生命科学大学が92.5%でトップ。2位が国立の東京農工大で92.1%、3位は同じく国立岩手大学で91.7%でした。以下、90.0%の岐阜大学と鳥取大学が同率で4位。これが上位ベスト5。16大学全部の既卒者を含めた合格率は、77.2%なので上位校はそれぞれ優秀といっていいでしょう」
■臨床受講者は学生の半数■
在学中はペットや家畜の病気の診断や治療法、そして予防法などを中心に学ぶ。ただ、その履修範囲は、ボンクラ頭ではついていけない程広い。
「基本は生物学、動物学、基礎医学や薬学などですが、近年の獣医師はペットロス症候群に対するカウンセリングに関わる心理学なども学びます。また卒業後に、動物用、人体用の医薬品開発に携わる人もいて、バイオテクノロジーの研究をする学生も増えている。イヌ、ブタ、ウシなど動物の解剖なども行いますが、人間相手の医師とは違い、臨床を勉強する人は5割程度だと聞いています」(斎藤健一郎氏)
獣医師国家試験を担当する農林水産省のホームページの中に、「獣医師の仕事」と題した項目がある。これを見ると、獣医の仕事は多岐にわたる。「家畜やペットを診療することだけではありません」と前置きして「口蹄疫等の家畜伝染病の発生や感染の拡大を防止すること、病気を持った動物や畜産物が海外から入ってこないようにすること、動物用医薬品の研究・開発や品質を管理すること……」と続く。乳製品や肉など畜産物の安全を守ることも範疇で、ユッケから発生した人間の出血性大腸炎食中毒事件などでも、原因究明に獣医師の出番が必要とされる。
■製薬会社にも獣医師免除資格者が勤務■
「バイオメディカル分野でも獣医師が活躍している。動物用の医薬品開発はもちろん、製薬会社に勤務して人体に使う医薬品開発に携わる獣医師もいます。動物を使って安全性や毒性などを確認する試験を行い、病理と組織的に問題がないか調べます。動物の繁殖の研究もそうですが、こうした先端的なバイオ研究に役立つ研究を学ぶことができる大学も出てきています」(斎藤健一郎氏)
日本獣医師会では毎年、優れた研究論文を表彰している。一般には理解困難な専門用語が並ぶが、その中から近年の研究成果の一部を分かりやすく紹介すると、「毒キノコ・ツキヨタケの簡単な鑑別法の検討」「小型犬およびトイ犬の開心術ならびに僧帽弁形成術」「ジビエにおける人獣共通寄生虫感染実態調査」――といった具合。
動物で学んだことが人間に応用が利くことが多いのは歴史が示している。獣医学分野での新しい研究が人間の医療に役立つこと、また、後ろめたさに世を憚る要素がなく、研究に没頭できる教育環境の元でこれらを学ぶことが出来ることを祈るばかりだ。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ <view/life >
画像元 yjimage
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