安倍政権が就職氷河期(1990年代後半~2000年代前半)世代の“正社員化”をブチ上げた。「何を今さら」とネット住民は怒っている!
現在、無職か非正規社員の氷河期世代を採用した企業に助成金を支給する制度を来年度から創設するというが、ネット上は「今さらもう遅い」「制度を悪用されて食いモノにされるだけ」などと大炎上している。それも当然で、安倍政権はまるで実態を把握できていない。
少子高齢化もあって、確かに中小企業の人手不足は深刻だ。日本商工会議所が全国の中小企業を対象に行った今年の調査によると、約56%が「人手不足」と回答しているが、新制度の対象になるのは、過去10年間で5回以上の失業や転職を経験した35歳以上の無職や非正規社員だ。
■思いつき改革で企業は動かない
特定社会保険労務士の稲毛由佳氏が言う。
「中小企業が欲している人材は、スキルを素直に吸収してくれる若い世代か、もしくは年相応のスキルを身につけている即戦力です。不幸にも正社員になれず、フリーターや派遣社員で職を転々、10~15年の“スキルの空白”ができてしまった氷河期世代は、どちらにも当てはまりません」
助成金の支給額は中小企業で年間60万円というが、わずかな助成金で採用につながるか、甚だ疑問というわけだ。
加えて採用に至っても長続きするか。それも大問題らしい。
「正社員として雇われた氷河期世代が1年以内に辞めるケースは少なくありません。ひとつは、給与の問題です。スキルに10年の空白があると、給与も実年齢より10年分、低く抑えられる。もうひとつは、人間関係です。アラフォー氷河期世代の教育係がアラサーということもままある。耐えられなくなって辞めてしまうのです。若くもない、スキルもない、忍耐力もない氷河期世代を定着させるには60万円の助成金では少ないし、3~5年単位で支給する必要もある」(稲毛由佳氏)
長い目で見ないと、企業側も“面倒な人材”の積極採用には動かないというわけだ。
問題点そのままで、呼応した企業に助成金という考え方もおかしいのではないか? 非正規雇用そのものを改めないと、若者の所得は上がらず、将来の不安から、結婚もせず(というか出来ず)、日本全体が向上しない。安倍政権は「一億総活躍」とか大層なことを言っているが、ウケを狙った思いつき改革では、表面を撫でる対策では問題は何も解決しない。
引用・参考元 日刊ゲンダイ
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