700万人が“瞬殺”、死者は最大1億人!? 明日にも「破局噴火=日本終了」するカルデラ6選

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700万人が“瞬殺”、死者は最大1億人!? 明日にも「破局噴火=日本終了」するカルデラ6選

イメージ画像:「Thinkstock」より

新年早々、縁起でもないと思われるかもしれないが、新しい年が始まったばかりの今だからこそ、注意喚起の意味も込めて、かつて九州の縄文文化を壊滅させた「巨大カルデラ噴火」または「破局噴火」の話をしなければならない。これが現代の日本で起きれば、最悪で1億人の死者が出ると想定される……つまり「日本の終わり」が訪れるかもしれないのだ。今後の日本で「巨大カルデラ噴火」や「破局噴火」が起きるとすれば、それは「いつ」「どこ」なのか、考察してみることにしたい。

■6700年に一度の破局噴火、すでに7300年が過ぎている!

火山学において「プリニー式噴火」といえば、多量の軽石や火山灰を放出する爆発的な火山噴火のことだ。その代表例としては、西暦79年にイタリアのヴェスヴィオ山が噴火して、古代都市ポンペイが壊滅したケースがある。これほど規模が大きい場合は、「ウルトラプリニー式噴火」、あるいはカルデラの形成を伴うことから「カルデラ噴火」とも呼ばれる。さらに、地球環境の一部に壊滅的被害をもたらす場合は「巨大カルデラ噴火」または「破局噴火」と呼ばれる。ちなみに破局噴火を引き起こす火山を、英語では「スーパーヴォルケーノ」となる。

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7300年前の幸屋火砕流と鬼界アカホヤ火山灰
画像は「Wikipedia」より引用

群馬大学教育学部の早川由紀夫教授(地質学)は、地震と同様に、火山噴火もマグニチュード(M)で表すことを提唱しており、これを「噴火マグニチュード」と呼んでいる。氏によれば、破局噴火をM6.5(噴出量300億トン)以上の噴火と仮定すると、日本では過去12万年の間に18回起きているという(『月刊地球』、2003年11月号)。つまり、約6700年に一度は破局噴火が起きていた計算になる。日本で最後に起きた破局噴火は、7300年前に鹿児島県南方沖で海底火山(鬼界カルデラ)が巨大噴火したケースであり、前述のように、この噴火によって九州で栄えていた縄文文化が壊滅した。6700年に一度は起きる破局噴火が、過去7300年間にわたり起きていないということは、次の破局噴火が「いつ起きてもおかしくない」状況であるということだ。これはまったく誇張ではなく、実際に東京大学の藤井敏嗣名誉教授など複数の火山学者が、同様の警告を発している。

■噴火リスクが高い「危険すぎるカルデラ」はどこ?

では、次の破局噴火は「いつ」「どこで」起きるのだろうか? そのような質問に対して明確に回答できる火山学者はいないだろう。しかし、過去の日本を襲った破局噴火を調べることによって、ある程度の予測を行うことは可能と思われる。

まず、過去に破局噴火を起こした火山は、日本では九州と北海道に集中している。過去12万年の間に起きた10回(「破局噴火」の定義は科学者によって異なるため、回数については必ずしも一様ではない)のうち6回が九州、4回が北海道だ。つまり、破局噴火の数からいえば九州がもっとも可能性が高いと、ある程度の見当をつけることはできるだろう。以降に、東京大学地震研究所の前野深(ふかし)助教(火山地質学)が、噴火を繰り返す可能性が高く、リスクが大きいものとして挙げているカルデラのいくつかを紹介する。

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【「危険すぎるカルデラ」6選】

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9万~8万5千年前の阿蘇4火砕流・火山灰
画像は「Wikipedia」より引用

・ 阿蘇山/九州

九州に、過去判明しているだけでも4回の破局噴火を起こした火山がある。それは阿蘇山だ。約9万年前に起きた「阿蘇4」と呼ばれる噴火は日本最大級で、これによって阿蘇山の山体が崩壊した。この噴火で火砕流が九州全域に達したが、もしも今後同等の破局噴火が起きれば、九州にある玄海原発と川内原発は壊滅する恐れがある。そうなれば、「日本全滅」につながることは十分に考えられるだろう。なお阿蘇山では、カルデラ噴火とまではいえない小規模の噴火がよく起きており、熊本地震直後の2016年4月16日にも小規模噴火を起こしている。

 

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姶良カルデラ 画像は「Wikipedia」より引用

・ 姶良(あいら)カルデラ/九州

姶良(あいら)カルデラは、鹿児島湾北部にある直径20kmの窪地を構成するカルデラだ。約2万9000年前の噴火によって形成されたものとされている。1940年代に提唱された説によって、現在では単一カルデラではなく、大崎カルデラ、若尊カルデラ、浮津崎カルデラなど複数のカルデラが複合したものと考えられている。約2万6千年前には、このエリアで桜島が誕生することになる大噴火が起きた。現在でも、海底火山である若尊カルデラが活発な活動を見せている。

 

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阿多南部カルデラと指宿火山群 画像は「Wikipedia」より引用

・ 阿多(あた)カルデラ/九州

鹿児島湾の湾口にある阿多カルデラには、海中に沈む阿多北部カルデラと、開聞岳を含み一部は陸上に出ている阿多南部カルデラの2つがある。阿多北部カルデラは約11万年前に破局噴火を起こした。

 

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支笏カルデラの地形図 画像は「Wikipedia」より引用

・ 支笏(しこつ)カルデラ/北海道

北海道に移ると、千歳市にある支笏カルデラは、約4万年前の大噴火で形成されたもので、現在は水が溜まったカルデラ湖(支笏湖)となっている。この湖は、日本最北の不凍湖とされるが、これは温かい水が湖の深部に残存しており、水面を温めるためとされている。

 

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洞爺カルデラの地形図 画像は「Wikipedia」より引用

・ 洞爺(とうや)カルデラ/北海道

洞爺カルデラは、北海道南部・伊達市の近くにあるカルデラ湖(洞爺湖)となっているが、これは約11万年前の破局噴火で形成されたものだ。この時の噴出物は、北海道全域から東北地方にまで達したという。さらに、約2万年前から洞爺湖南岸では噴火が繰り返され、その結果として有珠山(うすざん)が誕生した。さらにその付近の平地では、1943年より火山活動が始まり、2年ほどの間に繰り返された噴火によって標高400m近い昭和新山が形成された。当時は第2次世界大戦の真っ最中であり、世間の動揺を抑えるために噴火の事実は伏せられた。洞爺カルデラは、このような活発な火山活動のため、今後も破局噴火を起こす可能性がある有力候補とされているのだ。

 

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屈斜路カルデラの地形図 画像は「Wikipedia」より引用

・ 屈斜路(くっしゃろ)カルデラ/北海道

北海道東部の屈斜路カルデラは北海道最大のカルデラで、その内側には約3万年前のカルデラ噴火によって形成された日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖がある。約12万年前には過去最大級の噴火が起き、北海道のほぼ全域を火山灰が覆った。約4万年前にもカルデラ噴火が起きており、これも再び噴火する可能性がある要注意カルデラだ。

九州

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薩摩硫黄島全景 画像は「Wikipedia」より引用

■九州・北海道意外も危険! 安全な場所はないと心得よ

1年ほど前に筆者は、英国の科学者が中心となって選定した、大規模噴火が危惧される世界の10火山を紹介した(※)が、1位は硫黄島、3位が阿蘇山と、日本にある2つの火山が含まれていた。
※ この記事では、硫黄島を小笠原諸島の硫黄島と勘違いして執筆してしまったが、実は薩摩硫黄島のことだった。お詫びして訂正する。

では、薩摩硫黄島が、なぜ世界で最も危険な火山として認定されたのか? 選定者のザイルストラ教授によると、マグマによる隆起が4年で1mという驚異的なペースで発生していることが理由の一つだという。実は薩摩硫黄島は、鬼界カルデラ外輪山の北縁に形成された火山島なのだ。前述のように、このカルデラは約7300年前に破局噴火を起こしており、2015年10月に神戸大学の研究チームが調査に入ったことで一躍話題になっている。

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カルデラのイメージ画像:「Thinkstock」より引用

さて、この海底火山が破局噴火を起こすとどうなるか? この調査を指揮した神戸大学海洋底探査センターの巽好幸教授は、「(周辺に)700万人くらいが住んでいる、そこは『瞬殺』ですよね。最悪の事態としては1億人が命を落とすことになる」(MBSニュース、2016年12月29日)と、恐ろしい発言をしている。

そして、日本でカルデラ噴火の恐れがある地域は、九州と北海道だけではない。なんとこの国には、関東を含めて90以上ものカルデラが存在するのだ。すべてが「破局噴火」ほどの規模ではないとしても、これはもう、首都圏を含めて安全な場所は“ない”ということになる。「九州、北海道以外なら大丈夫」と思うのは誤りなのだ。

ちなみに、首都圏近郊の事例としては、約5万2000年前の箱根カルデラの噴火で、西は富士川から東は現在の横浜市郊外まで火砕流で覆われた。同等の噴火が現代で起きれば、首都は大打撃を受けるだろう。

九州

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カルデラのイメージ画像:「Thinkstock」より引用

■学者が見積もる被害想定が恐ろしすぎる

「ミスター火山学」の異名をとる地球科学者、前述の東大名誉教授・藤井敏嗣氏は、「NHKそなえる防災」の連載「第5回 カルデラ噴火! 生き延びるすべはあるか?」で、もしも現代でカルデラ噴火が発生した場合、どのような被害が発生するかについて書いている。それを以下にまとめてみよう。

・ 少なくとも周囲100~200kmは火砕流で覆われ、壊滅状態になる
・ 少なくとも数十万~数百万人の犠牲者が発生する
・ 南九州の噴火でも、火山灰が数十cm降り積もる地域は関東以北まで及ぶ
・ 降灰により、あらゆる農作物は枯死する
・ 灰の重みで建物の屋根が落ち、航空路を含むすべての交通機関はマヒ状態になる
・ 貯水池や水道浄化池は、火山灰のために取水不可能となる
・ 送電線の断線や、電柱のがいしに降り積もった火山灰により、大停電が起こる
・ 原子力発電所の甚大な事故につながる可能性がある

(NHKそなえる防災、「第5回 カルデラ噴火! 生き延びるすべはあるか?」)

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巨大カルデラ噴火の被害想定(九州で起きる最悪のケース) 画像は「産経ニュース」より引用

たとえいつか破局噴火が起きるとしても、「数百年か数千年先の話を真剣に検討しても無意味だ」という声もあるだろうが、前述のように6700年に一度起きている破局噴火が、すでに7300年も起きていないのだから、今すぐに起きても何ら不思議はなく、それは火山学者も語っていることだ。前述の巽好幸氏は、「今後100年に起こる確率が1%。阪神・淡路大震災の起きる前日の確率も1%。100年で1%の確率で起こることは、明日起こってもおかしくない」(MBSニュース、同上)とまで語っている。原発壊滅を含めて、「日本の終わり」が来ないように、国家レベルでの早急な対応が望まれるところだ。

百瀬直也(ももせ・なおや)
超常現象研究家、地震前兆研究家、ライター。25年のソフトウエア開発歴を生かしIT技術やデータ重視の調査研究が得意。ブログ:『探求三昧』、『防災三昧』、Web:『沙龍家』、Twitter:@noya_momose

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