「膿が膿を解明」するって矮小化も甚だしい!真相解明先延ばし! 安倍首相こそ不祥事の最大の“膿”である!
安倍首相が自民党の都道府県議会議員研修会で演説した際、財務省の決裁文書改ざん問題などの一連の不祥事について、全容解明に取り組む考えを示し、「膿を出し切る」と強調したという。
この発言に違和感を感じた国民は多いだろう。森友、加計問題の最大の「膿」は安倍首相自身なのではないかと思えるからだ。
約10億円相当の国有財産が実質ほぼゼロ円で売却された森友問題は、安倍首相夫妻と森友の籠池理事長夫妻の間に強い個人的関係があると財務省側が“忖度”したのが要因とみられている。
昭恵氏と籠池氏の連絡役を担ったのは夫人付秘書だった経産省出身の谷氏だった。「膿を出し切る」という言葉が、真相の徹底解明を意味するのであれば、「扇の要」に位置していた昭恵夫人は勿論、籠池夫妻、谷秘書の国会招致は欠かせない。しかし、果たして安倍首相にその準備や覚悟があるのだろうか。
愛媛県今治市の加計学園の獣医学部の新設は過去、約15回も認可申請が却下されてきた。ところが、2015年4月2日、県と市の担当者らが、柳瀬首相秘書官(当時)と会談し、「首相案件」という認識が関係各省で共有されてから一気に話が進んだ。
安倍首相と加計学園の加計孝太郎理事長は昵懇の間柄であり、そのために獣医学部設置の認可が進んだのではないかとの疑いが持たれている。
共同通信の世論調査で、加計学園の獣医学部新設をめぐる安倍首相の説明に納得できるか――との問いに対し、79.4%が「納得できない」と答え、「納得できる」はわずか13.2%である。森友と同様、加計問題でも「膿を出し切る」べき対象は安倍首相自身なのである。
昭恵夫人や谷秘書、加計理事長らが国会招致されない限り、いつまでたってもモリカケ疑惑は晴れない。真相解明を先延ばしする程、安倍首相を見放す国民が増えるばかりである。
「信なくば立たず」と自分自身で言っているのだから、これ程確かなことはないだろう!首相の最も不信感を招くのは、自分で言った事を、自分から崩すことである。果たしていったことは、「信用していいのか」と訝しがっている姿はどう見ても真面な光景ではない。
孫崎享(外交評論家)プロフィール
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ
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