がん新治療か!? がん細胞を1〜2分で破壊! 転移がんにも有効な「近赤外光線免疫治療法」に世界が瞠目

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がん新治療か!? がん細胞を1〜2分で破壊! 転移がんにも有効な「近赤外光線免疫治療法」に世界が瞠目

 

2016年、がん遺伝子の自然選択を根底から阻む可能性を秘めた驚異の免疫療法が、ついに陽の目を見ることになった。

 

「がんの息を止めた! がん免疫治療に新たな超ブレークスルー!」

そう世界が瞠目する近赤外光線免疫治療法に肉迫しよう。

 

【人体に無害な近赤外光線を照射し「がん細胞」を死滅】

 

イノベーションの衝撃波は、対がん戦略である国家がんプログラムを推進しているNCI(米国立がん研究所)から起きた――。2016年11月15日の主要メディアの報道によれば、NCIの小林久隆主任研究員は、「人体に無害な近赤外光線を照射し、がん細胞を死滅させる近赤外光線免疫治療法」をついに開発した。

 

がんの治療法は、身体への侵襲性が大きい外科手術、副作用が強い放射線療法と化学療法の3つがあるが、どの治療法も、がんの転移や再発などのハイ・リスクを抱えている。

 

近赤外光線免疫治療法は、がん細胞の死滅率が極めて高く、殆どのがんに適用できるだけでなく、転移がんにも有効で、副作用が少ない。しかも、必要な設備や薬品は安価なため、医療費の削減にも貢献するという。

 

この治療法の研究がスタートしたのは、およそ20年前。2012年の一般教書演説では、オバマ大統領が治療法の発見を取り上げ、「米国の偉大な研究成果」と絶賛したことで知られる。2015年4月に、FDA(米国食品医薬品局)から臨床試験の認可を得た。現在、およそ300人の患者を対象に臨床試験を進めており、2~3年後の実用化が視野に入っている。

 

【照射後僅か1~2分でがん細胞が破壊】

 

近赤外光線免疫治療法は、どのような仕組みだろう?

 

治療の流れはこうだ――。近赤外光線によって化学反応する物質IR700を静脈注射で体内に入れる→がん細胞だけに特異的に結合する抗体が、がん細胞に結合する→近赤外光線をIR700に照射する→IR700が化学反応を起こす→がん細胞が破壊される。

 

近赤外光線は、波長が可視光線と赤外線の中間に位置する光で、テレビのリモコンや果物の糖度測定に使われている。人体を透過するが、無害だ。治療には近赤外光線のうち、波長がもっとも短く(700ナノメートル)、エネルギー効率が高い光を使う。「1ナノメートル」は「10億分の1メートル」という超短波だ。

 

近赤外光線によって化学反応する物質IR700は、「フタロシアニン」という色素。IR700は、波長700ナノメートルの近赤外線のエネルギーを吸収すると、化学反応を起こすため、がんの細胞膜にある抗体に結合したタンパク質を変性させ、細胞膜の機能を失わせる。

 

その結果、照射後僅か1~2分でがん細胞が破壊される。その様子を顕微鏡で見ると、近赤外光線を照射したがん細胞は、まるで風船がはじけるようにポンポンと破裂していくらしい。

 

抗体は、がん細胞だけに特異的に結合し、正常細胞に結合しないので、正常細胞は近赤外光線が当たっても害を受けない。つまり、抗体が結合し、かつ近赤外光線が当たったがん細胞だけが破壊されるのだ。

 

抗体は、FDAが認可した20数種類の中から毒性が低い抗体を選んでいる。また、IR700は、本来は水に溶けない物質だが、水に溶けるようにケイ素を加え、尿から排出されるため、無害だ。

 

【近赤外光線免疫治療法は転移がんにも有効】

 

小林主任研究員によると、近赤外光線免疫治療法は、皮膚がん、食道がん、膀胱がん、大腸がん、肝臓がん、すい臓がん、腎臓がんなど、がんの8~9割をカバーできるという。

近赤外光線の照射は、がんの部位に応じて体外から当てたり、内視鏡を使ったり、がんの大きさが3センチメートルを超える場合は光ファイバーを入れて行えるからだ。また、脳腫瘍も、手術した個所にがん細胞が露出しているため、近赤外光線の照射で取り残したがん細胞を除去できる。

 

転移がんにも有効だ。攻略法は2つある――。

 

1つは、先述のがん細胞に近赤外光線を照射する方法。がん細胞を破壊する→がんの抗原(壊れたタンパク質)が露出する→免疫細胞が抗原を食べて情報をリンパ球に伝える→リンパ球は分裂して、抗原を持った転移がんを攻撃する、という免疫システムを活性化する仕組みだ。

 

もう1つは、がん細胞を直接破壊するのではなく、がん細胞を攻撃するのを妨害している免疫抑制細胞の制御性T細胞を叩く方法だ。IR700を付けた抗体を制御性T細胞に結合させる→近赤外光線を照射する→免疫細胞は、制御性T細胞の妨害がないので、数10分で活性化し、がん細胞を破壊する→さらに血流に乗って全身を巡り、わずか数時間内に転移がんを攻撃する。

 

つまり免疫細胞は、がん細胞だけを攻撃するので、従来の免疫治療で頻発している自己免疫疾患による副作用は起きない。患者の病状や進行状態に応じて、2つの治療法を適切に組み合わせれば、大きな効果が期待できる。しかも、費用は安く、日帰りの外来治療で完了するという。いい事尽くめだなあ!

 

【近赤外光線免疫治療法は医療費の削減に?】

 

いま世界中で治療費の増大が問題化している。

 

しかし、近赤外光線免疫治療法なら、近赤外光線、IR700、市販の抗体など、身近にあるアイテムを利活用して安全・安心・安価に治療できる。正常細胞を傷つけずに、がん細胞だけを破壊できる。治療後の瘢痕(はんこん)が残らない。組織幹細胞が健常なまま残るので、組織再生がスムーズに進むなど、数々の臨床メリットがある。

 

普及すればするほど、医療の効率化、医療費の削減に繋がるに違いない。生物学、物理学、化学の知見を高度に融合した先進テクノロジー、近赤外光線免疫治療法。そのポテンシャリティは計り知れない。

 

 

引用・参考元(文=編集部)

がん細胞を1〜2分で破壊! 転移がんにも有効な「近赤外光線免疫治療法」に世界が瞠目 - 健康・医療情報でQOLを高める~ヘルスプレス/HEALTH PRESS
有効か?近赤外光線免疫治療法(shutterstock.com)  2016年、がん遺伝子の自然選択を根底から阻む可能性を秘めた驚異の免疫療法が、ついに陽の目を…

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