自治体が独自調査 治安や防災上の懸念を <マンション>「管理組合なし」671棟 老朽化、修繕困難

経済・社会

自治体が独自調査 治安や防災上の懸念を  <マンション>「管理組合なし」671棟 老朽化、修繕困難

 

老朽化が進む一方で管理がままならないマンションが増えている。毎日新聞が都道府県や人口20万人以上の市区など計178自治体にアンケートしたところ、過去5年間で49自治体が分譲マンションの実態を独自に調査し、所有者でつくる管理組合すらないマンションが少なくとも671棟に上ることが分かった。老朽化の目安の一つとなる築30年以上のマンションは今後10年で倍増すると見込まれ、回答した自治体の約8割が「管理不全マンション」の急増で治安や防災上の懸念を抱いている実態が浮かんだ。

 

管理組合は、区分所有法で設置が定められている。マンション内のルールを決めたり、管理費や修繕費を各所有者から集めたりと、良好な共同生活を保つ役割を担い、管理組合が機能しないと、いずれ管理不全に陥る可能性が高い。管理状況は外部から確認しづらく、全体像の把握が難しいため、専門家は「実際はもっと多いはず」と指摘する。

 

毎日新聞は9月、都道府県と道府県庁所在地、人口20万人以上の市と東京23区の計178自治体にアンケートし、173自治体から回答を得た。その結果、2011年度以降、49自治体が分譲マンションの実態調査を始め、26自治体で管理組合のないマンションが確認された。東京都が512棟と突出して多く、北九州市(38棟)、千葉県(21棟)が続いた。23自治体はアンケートの配布や回収のために直接マンションを訪問。17自治体は現地調査を行っていた。

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日々の清掃や管理人の人件費などに充てる管理費を徴収していないマンションは、東京都(243棟)や熊本市(30棟)など8自治体で283棟あった。定期的な修繕に必要な修繕積立金を未徴収のマンションも21自治体で720棟あり、東京都(417棟)、北九州市(96棟)、北海道(61棟)などで目立った。

 

管理不全マンションの増加を「心配している」「将来が心配」と答えたのは8割近い133自治体に上った。うち32自治体は「治安の悪化」、29自治体は「倒壊や部材落下の恐れ」を理由に挙げた。

 

国の推計では、分譲マンションは全国に約12万8000棟(13年)ある。管理組合がないと確認されたのは200棟に1棟の割合だが、マンションの実態に詳しい京都工芸繊維大の鈴木克彦教授(住環境計画学)は「問題の多いマンションは調査に応じないので実態はもっと深刻だろう。売却しづらい地方都市では既に管理不全が広がっている。今後は一気に進行する恐れがあり、国や自治体は早急に支援策を検討する必要がある。所有者も管理の大切さを自覚すべきだ」と指摘する。

 

◇マンション

 

鉄筋コンクリートなど非木造の集合住宅で、英語の意味は「大邸宅」。関東大震災後に東京、横浜に建てられた「同潤会アパート」が草分けとされる。昨年末現在で全国に約623万戸あり、日本人の9人に1人(約1450万人)が暮らす計算。国土交通省によると、1981年以前の旧耐震基準で建てられた約106万戸のうち6割前後が耐震強度不足と見込まれている。

 

引用・参考元 ヤフーニュース<毎日新聞 【安高晋、千脇康平】>

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161124-00000010-mai-soci

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