嘗て人口5万の須坂には、須坂映劇、電気館、末広館、日進会館の4軒であった。小生が小学校に上がる頃までは、映画の上映と、女優や歌手がやってきて、芝居や、歌謡ショーも盛んに行われていた。よく祖母に連れられて見に行ったものだ。美空ひばりの舞台姿がおぼろげながら記憶に残っている。
また小学校に上がってからは、教育映画や、学校推薦映画を見に行った。当時はまだテレビなどはなかったので、須坂映劇は、市民の楽しみを一心に担って居たのだろう![テレビは昭和36年ころから、目にするようになったと記憶するが、未だ一般の家庭までは普及せず、電気屋の店頭にセットしたテレビを大勢の人が集まって見ていた。当時はプロレスの全盛期で、正義の力道山が、悪役の外人レスラーを、空手チョップで、バタバタ倒すのを見て興奮していた]
東京オリンピック開催に合わせて、テレビも家庭に入り出したが、以後テレビ全盛期と相成り、映劇をはじめ、4軒の映画館の入場者は激減していった。
そんな中でも須坂劇場は頑張っていたが遂に廃業になってしまった。その後は、建物を改築して、スーパーマーケットとなり、暫く営業は続いたがそれも廃業となってしまった。その後は何も使われずにいたのだが、平成25年に遂に解体されて、影も形も失せてしまった。
既に須坂映劇は姿を消してしまったが、商店街のアーチや、「劇場通り」という道路の名称はそのまま残ったが、その商店街も、わずかな商店を残すのみであり、昔の活気のある風景は見られない。栄枯衰退は世の習いとは言え、昔を知っているものとしては寂しい限りである。
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