「病は気から・・・」と昔からよく言われるが、多くの病気は身体的な要因と心理的な要因とが複雑に絡み合ってその人の症状を形成しています。「気」が落ちる、滞ることで病気が発症するという東洋医学の考え方もあります。
プラシーボ(Placebo)効果という言葉があります。医学的効果成分が何も入っていない(偽)薬にもかかわらず、「効き目がある」と思い服用すると、本当にその効用が生み出されることを言う。これは錯覚ではなく、科学的にも認められているという。
プラシーボ(Placebo)<プラセボとも言う>の語源はラテン語の「I shallplease」(私は喜ばせるでしょう。)に由来しているそうです。そこから患者を喜ばせることを目的とした、薬理作用のない薬のことを指すようになった。通常、偽薬としては、乳糖や澱粉、生理食塩水が使われます。従って、プラシーボ効果(反応)は、このような薬理作用のないものによりもたらされる症状や効果のことをいいます。
生理食塩水入りのカプセルを飲んだだけで、自閉症の症状が改善された子供が多数現れた例や、鎮痛剤の偽薬を<実際は鎮痛の薬理効果がない乳糖やでんぷんを、「これは痛みが取れる薬だ」といわれて>飲んだ人が、脳内で、エンドルフィン(神経伝達物質)が分泌され痛みが治まったというような例など多数報告されています。
1957年、アメリカのブルーノ・クロファーという研究者の次のような例もあります。ある男性の悪性リンパ腫の患者が末期症状に陥りました。当時「クレビオゼン」という新薬が開発認可され、マスコミが挙って、「夢の新薬登場」と報道した。それをこの患者に話し、服用させた結果、これまで激減した体重は一気に増え、症状も瞬く間に回復の方向に進んだ。しかしそんな状況の中で、新聞が「クレビオゼンは期待された効果がそれ程なかった」と報じ、それを読んだこの患者は、上向きにあった症状が、今度は体重も再び激減し症状も一気に悪化しまったという報告をしています。
まさに偽薬であっても効果は絶大という事だと思います。ならば、多くの患者が服用している薬や、治療の多くも、患者の「自分は治る」という信念・確信によって引き起こされているのではないか。「日本人だけが信じる間違いだらけの健康常識」の著者の生田哲博士は、「まさにその通り!」と言っている。「薬の効能の多くは、プラシーボ効果によるものが多い。信じて飲めば効くし、そんなの効きっこないと思って飲めば効きません。薬剤自身はそれほどの効果はない(寧ろ副作用の方が心配!)。医師も内心では、その事は解っており、服用した半分の人に効果が出ればいいと思って処方している。
つまり患者の多くの場合、「思い込み」によって、効果が余りない、しかも副作用の心配がある薬を処方され、不要な治療を受けている可能性が少なくないという事にもなる。無駄な医療行為を示す事例も多く指摘されている。(思い込みの力=プラシーボ効果よりもはるかに低い薬や医療行為)
米国のバーブラ・スターフィールド教授の研究によれば、不要な手術で12000人、院内感染で80000人など医原病による死者は年間225000人に上ると話している(2000年)。健康診断で「2次検診の要あり」と言われて心配のあまり本当に病気になってしまう例もある。健康を補持しようと思って受けた健康診断で病気になっては本末転倒である。
米国では患者の「薬漬け」脱却のため、敢えて偽薬を処方するという試みも始められているという。ならば我々は、医者の言う通りの、手術をはじめとする治療や、処方された薬剤を何の疑問も持たずに受け入れるというような主体性のない対応をすべきではないという結論にもなろうというものだ。それによりやたら命を落したり、新たな病気を発症したり、それにより医療費を増やしたりしては「お国の一大事」というものだろう!よいことは1つもない。
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