<キレモノ官房長官!?>「怪文書」で誤算 「鉄壁ガースー」の決壊! 江戸末期将軍に諫言した堀直虎須坂藩主の様な政治家はいないのか!?
安倍晋三首相が国家戦略特区でお友達(加計理事長とは本当は姻戚関係にある)の利益を図ろうとしたと追及されている学校法人加計学園の一件で、菅義偉官房長官が「怪文書」と断じた「総理のご意向」文書の存在を文部科学省が認めた。官房長官在任期間が歴代最長で、鉄壁と言われてきた菅氏の危機管理が、ここへきて破綻したのは何故か。
これまで閣僚の醜聞や失言で批判が高まる度に、落ち着き払って「そのような指摘は全く当たらない」などと一蹴し、火消ししてきた菅氏。ネット上では「超安定のガースー」とも呼ばれている。
問題の「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」という内部文書を朝日新聞が5月17日に報じた当初も、「意味不明の文書」と取り合わなかった。「存在は確認できなかった」という19日の文科省の即日調査で逃げ切ろうとした。
文科省の前川喜平前事務次官の記者会見で潮目が変わる。前川氏が「出会い系バー」に出入りしたとする読売新聞報道を受け、菅氏は異例の個人攻撃を展開した。それでも流れは変わらず、土俵際に追い詰められた。
■「鉄壁」はなぜ崩れたのか■
企業に危機管理を指南する「リスク・ヘッジ」の田中辰巳社長は「危機管理どころか、むしろ危機『喚起』をやっている」と菅氏を酷評した。「これまで対応がうまくいっていたわけではない。批判にまともに取り合わず問題を先送りしてきただけです」。危機管理の生命線である「展開の予測」が出来ていない--と指摘する。
今回の問題について「国民は真相究明を求めているのに、疚しいことがあるからなのか、調査を拒むという正反対の対応を取った」と分析。「前川氏の人格攻撃も証言の信用性を落とす狙いだったのだろうが、地位を失った人は死ぬ気で向かってくる。危機管理に全くなっていない」とあきれて言う。
「冷静沈着という印象だが、安倍晋三首相と似て感情が先に立ち、痛いところを突かれると猛反撃する人」と語るのは「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)を著したノンフィクション作家の森功さん。「思い入れが先に立つタイプで、自分が疑惑を抑え込まなければ、という責任感から『怪文書』などと言ったのでは。判断を完全に誤り、明らかな嘘を押し通そうとした」
■別の見方もある■
国際医療福祉大の川上和久教授(政治心理学)は「一見、裏目に出ているようだが一定の計算も感じる」と言う。「前川氏をはじめ獣医学部新設を長年認めてこなかった文科省に厳しい姿勢を示し続けている。これにより規制改革推進派を決起させ、同省を含めた抵抗勢力を一気に潰す狙いは捨てていない」と指摘する。
「怪文書」が実在していたことについて菅氏は15日、記者会見で「言葉が独り歩きしていることは極めて残念」と“被害者”のように振る舞った。しかし、16日には参院予算委員会で「文書の出所が明らかになり(怪文書というのは)現在の認識でない」と発言撤回に追い込まれた。
■私見■
今回の件は、「安倍一強」が「何でも無視できて来た環境」にあったものを、今回もその線に沿って「無視できる」と踏んで、従来通りの対応をした丈の話に過ぎない。ところが首相の言動が余りにも「政治の私物化」に偏り、また総理の取り巻き連中が、自身の保身もあって、「総理の否定に合わせ」て、何でもかんでも「否定」する事に徹した為、国民が「疚しいことがある筈だ」と見通してしまったことが要因だ。即ちその客観的状況が固まりつつある変化の中で、崩れるべくして崩れたというのが真相ではなかろうか!? 別に官房長官が下手を打ったのでなく、真相が、それこそ「独り歩き」した結果である。政治の「私物化」がそれ程「度を越した酷さ」だという事だ。
元文科省次官の「証言」に対しても、従来通り、「個人の人格貶め」作戦に出た丈であり、本来的にそれが通っていたのだ。マスコミを手名付けて「援護射撃」を張っていたから、国民が「そんなものだ」と思い込まされて「政治はいい悪いじゃない「結果次第」だと錯覚した。(だが国会の場で、「私の考えはY新聞を読んでくれれば分る!」等とあらぬことを口走ったことが墓穴を掘ったのは確かだ!)
官房長官の対応が、突っ込まれる要因が満載だったことは事実だが、首相の言動は、時間が経てば、隠し遂せることが出来る次元のものでなく、これを「正当化」するのは、非常に困難である。したがって、「知らぬ存ぜぬ」作戦しか対抗策はないのである。しかもなんでも出来るという「自信」のもと、「悪気なく」やって来たので、オープンに過ぎた。そこらかしこに「証拠の品」を隠すことも無く捨て置いたことが、ボロボロ表に出てきたのだ。
官房長間が下手を打ったのではなく、首相の言動が、「やってしまった事実」を正当化できる次元のものでなく、真相を覆せる方向を取れないものである以上、庇え切れないのである。事実に顔を背け、「知らぬ存ぜぬ」しか対抗策はない以上、「先を読ん」で、「最早これまで・・・」と「切腹する」しか道はない。官房長官は、「庇い立て一辺倒」ではなく、「殿ご乱心召されたか! 御政道に悖りますぞ!」と諫言するのが本来の役目である筈だ。一緒になって「戯言を申し」てどうする!
江戸時代後期、将軍に足して、若くして「外国奉行」であった、信州須坂藩主の堀直虎は、大老でも何でもなく、僅か1万1千石の小藩の身であったが、将軍に対して諫言した。そういった気概の持ち主は、平成の御代には存在しないのか! 御政道は乱れるのみである。
記事引用・参考元 Yahoo News <毎日新聞>【福永方人、佐藤丈一】
画像元 yjimage
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