プーンという音と共に寄ってくる蚊は、どのようにして獲物(人間など)に寄ってくるのだろうか!? その3つの要素とは?
東京慈恵会医科大学教授の嘉糠洋陸氏は、「衛生動物学」と「寄生虫学」が専門の学者です。特にマラリアやジカ熱、デング熱などの感染源となる蚊の研究を長年続けており、研究室では万単位の蚊を飼育する、言わば蚊のスペシャリスト。そんな嘉糠さんに、蚊の知られざる生態やメカニズムについてお話を伺った。
先ずそもそも「なぜ、蚊は血を吸うのか」という蚊の基礎知識について伺いました。日本に生息している蚊は約100種類。大きく分けるとヤブカ、イエカ、ハマダラカの3種類で、動物や人間の血を吸い、その血を元に1匹につき約100~200個ぐらいの卵を作ると言われています。因みに、血を吸うのはメスだけで、オスは花の蜜などを吸って生きているのだという。
嘉糠さん曰く、蚊やマダニだけでなく、ハエ、カメムシなどの中にも血を吸うものがいるそうです。これらの虫にとって、この“吸血する”という行為は、進化していく過程で何かしらの大きなメリットがあったのだと考えられていますが、その理由についてはまだ解明するまでには至っておらず「僕もぜひ知りたい」と嘉糠さんはさらなる探求心を覗かせます。
夏は特に季節柄、海や山などのレジャーで自然に触れ合う機会も増え、虫刺されに悩まされている人も多いと思いますが、そこで気になるのがメスの蚊が一体どのようにして動物や人間を見付け出し近づいてくるのかというメカニズム。…
食べ物を得ることは生物が生きていく上でとても大事なことであり、蚊は血の供給元である動物や人間を的確に見付ける能力に極めて長け、「この感知する能力こそが蚊の繁栄を支えているといっても過言ではない」とのこと。
嘉糠さんによると、蚊が獲物を認識するのには3大要素と呼ばれるものがあり、それは動物や人間が出す二酸化炭素、ニオイ、熱なのだとか。
一番はじめに感知するのは二酸化炭素。何と蚊は10メートル先でも呼気として出てきた二酸化炭素を認識するのだという。とはいえ、この段階では頭にある触覚で認識した丈にすぎず、「どこかに人間がいるぞ……」というレベルで、まだ獲物が何処にいるのかまでは至っていません。
二酸化炭素を認識した蚊が次に感知するのはニオイ。約100種類ぐらいあると言われる汗や体臭などのニオイを辿りながら、ニオイの濃くなる方向へとどんどん移動してきます。
そして、ニオイを頼りに獲物の傍までやってきたら、最後にそれが生き物だと判断する材料が熱。蚊は人の体温を認識して、皮膚の上に取り付き血を吸います。このように「蚊は段階的に要素を辿って動物や人間の皮膚まで辿り着くのです」と嘉糠さんは教えてくれました。
嘉糠さんの著書「なぜ蚊は人を襲うのか」によると、蚊は視覚や聴覚があり、中には聴覚で生き物の鳴き声を聴き分ける種類もいるのだそうです。蚊の殆どは体長が15ミリ以下と、人間とは雲泥の差ですが、これほど感知能力に長けているとは驚きです。…手ごわい相手です。
記事・画像 引用・参考元 Excite News
画像元 yjimage
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