若者に増える「スマホ老眼」 強度近視の原因にも
スマートフォン(スマホ)を長時間使用することで、目のピントが合いにくくなる「スマホ老眼」が増えている。パソコンに比べ、至近距離で見続けるのが原因だ。強度近視の原因にもなるので、早めの対策が必要だ。
「近くにピントが合いにくい」「小さな文字の読み書きがしづらく、肩がよく凝る」……。40代以降になると、誰でもそんな違和感を感じるようになる。それが「老眼」だ。
ところが、「ここ数年、ピント調節がうまくできないと訴える10代、20代の若者が増えてきた」と、クイーンズアイクリニックの荒井宏幸院長は話す。症状は加齢による老眼と似ているため「スマホ老眼」という言葉も生まれたが、メカニズムはまったく異なる。
あなたは大丈夫? 「スマホ老眼」チェック□ スマホを1日に、のべ3時間以上操作している□ スマホの操作直後、画面から目を離すと、周囲の視界にピントが合わない□ 遠くを見ていたあとに近くを見ると、ピントが合わない(目がかすむ)□ 近くを見ていたあとに遠くを見ると、ピントが合わない(目がかすむ)□ 朝はよく見えていたスマホの画面が、夕方になると見えにくくなっている□ 以前は読めていたスマホの文字が、最近読みづらくなっている□ 原因はわからないが、肩や首の凝り、頭痛などが以前よりひどくなっている
目のピント調節は「水晶体」と、水晶体を支える「毛様体筋」が関わる。遠くを見るときは毛様体筋がリラックスして水晶体が薄くなり、近くを見るときは毛様体筋が緊張して水晶体が厚くなる(下図)。
荒井院長は「加齢による老眼は、水晶体が硬くなり調節機能が低下した状態。スマホ老眼は、スマホの画面を至近距離で見続けることで毛様体筋が疲労して、しびれたようになり、ピント調節機能が正常に働かなくなった状態」と話す。
スマホ老眼が進むと、視線を遠くから近くへ、または近くから遠くへ移したとき「目がかすみ、ピントが合うまでに時間がかる」といった症状が起こるうえ、目の疲れ、肩こりなどを強く訴える場合もある。
また、荒井院長が警鐘を鳴らすのは「近年、近視が進んだ子どもが増加傾向にあること」だという。これは若年者のスマホ老眼が増えていることと無関係ではないと考えられる。そして大人になるまでに「強度近視」になると、将来、緑内障や網膜剥離など失明のおそれのある病気のリスクが高まるという。
なお、スマホ老眼の典型的な症状は若者に多いが、毛様体筋の疲労がもたらす目の不調は中高年でも起こる。「スマホの影響が、加齢による老眼と重なれば、より強い目のかすみ、疲れ目などを起こし、老眼を加速する可能性もある」と荒井院長。
若い人も中高年も、スマホ老眼が疑われたら、スマホの使いすぎを改善するとともに、日常生活のなかで上手に毛様体筋をリラックスさせることが大切だ。下図に、荒井院長が薦める「スマホ老眼」対策法を紹介した。
子どもから大人まで使用するスマホ。目の健康を重視した使用を心がけたい。
■この人に聞きました荒井宏幸さんクイーンズアイクリニック(神奈川県横浜市)院長。防衛医大卒。老眼治療にも取り組む。「小学生のスマホ利用も珍しくない。子どもは使いすぎに危機意識がないので、大人が注意することが大切。自宅では目の負担が少ないタブレットを」
引用・参考元 ヤフーニュース [日経ヘルス2016年11月号の記事を再構成]PIXTA(ライター 荒川直樹)NIKKEI STYLE 10/31(月) 7:47配信
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