“1億円フェラーリ”盗難!誰がどうやって?その手口と目的
時価1億円の高級外車が、忽然と姿を消した。イタリアのスーパーカー「フェラーリF40」が8月末、静岡県・函南町の自動車整備工場から盗まれていた。
F40の所有者は横浜市内に住む50代の会社経営者。1億円近い金額で購入したばかりで、まだ3、4回しか乗っていなかったという。静岡の整備工場に止めてあったのは整備が目的ではなく、エンジン音が大きくて近所に迷惑がかかるため、フェラーリのオーナー仲間である整備工場経営者の倉庫を車庫代わりに使っていた。
整備工場の経営者がこう言う。
「最初に見た時は何が起きたのか理解できなかった。朝、工場に行ったらシャッターが開いていて、手前に止めていた自分のフェラーリが外に出され、奥のF40がなかったから、てっきり持ち主が取りに来たのかと思った。でも外にある自分の車のカギは自分しか持っていないし、現実をすぐには受け入れられなかった。雨が降っているのに車の窓が開いていたので、閉めなきゃと思ってキーを差し込んだら差さらなかった。その瞬間、やられたと思った。ウチはフェラーリやランボルギーニが置いてあることで地元では知られているが、誰がどうやって盗んだのか、まったく想像がつかない」
■生産台数は1年間で約260台の希少車
F40はフェラーリ社の40周年を記念して1987年に開発された限定車で、生産台数は5年間で約1300台。最高速度は324キロと、発売当時は世界最速の市販車だった。故エンツォ・フェラーリが手掛けた最後のモデルで、「本物のフェラーリ」と人気が高く、国内に正規輸入されたのは僅か約60台。4500万円で販売されたが、バブル期には2億5000万円以上の値をつけ、「走る不動産」と呼ばれた。
どんな手口で何の目的で盗んだのか。自動車ライターの佐藤篤司氏がこう言う。
「ここ1年でフェラーリの値段は急激に上がっています。投資目的でチャイナマネーが動いているからです。F40もついこの前まで5000万円もしなかったのに、ボロボロでも7000万円、高いものは1億5000万円になる。盗んだ車はバラバラに分解して日本から持ち出し、海外で組み立てればいい。希少価値があるので、投資用としていい値段で売れます。F40は30年くらい前に造られた車なのでセキュリティーが弱い。そのうえ、レーシングカーに皮をかぶせただけの車ですから、車重は1100キロと軽く、2、3人いれば簡単に移動させられる。4トントラックやトランスポーターの荷台に乗せてシートを被せれば、走行していても誰も分からない。ましてや田舎で人目につかず、整備工場ですから、トランスポーターを横付けしても誰にも怪しまれず、堂々と運べるのです」
既に海を渡っているかもしれない。
引用・参考元 日刊ゲンダイ 2016年10月30日
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