【永田町の裏を読む】筋が通らず無意味な「ドタバタ劇」の繰り返しだった安倍政権の1年だった! 結果が出たものは無く、行き詰まり感が出てきた。展望はあるのか!?

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【永田町の裏を読む】筋が通らず無意味な「ドタバタ劇」の繰り返しだった安倍政権の1年だった! 結果が出たものは無く、行き詰まり感が出てきた。展望はあるのか!?

 

年の瀬に当たって、今年1年の政治を振り返ってみると、安倍政治が「ほとんど意味のないドタバタ劇」の繰り返しで、結局、国民の幸せに繋がるような目覚ましい成果を何ひとつ取れていないばかりか、江戸時代の「生かさず、殺さず」よりも酷い「弱者は死ね」と言わんばかりの「非情」さが改めて浮き彫りになって、暗然たる気分に陥る。暗い1年だったと言わざるを得ない。

 

今年最初の話題といえば、甘利明TPP担当相(当時)の収賄疑惑で、今から見れば、これがTPPのケチの付き始めだった。安倍首相は甘利を守ることに精力を費やして、そのためTPP審議は滞り、米大統領予備選の動向からしても、それが「既に風前の灯」であることは明確になりつつあった。トランプ当選でまさにその通りになり、首相は慌てて11月にトランプ詣でをしたものの、あっさり無視され、梯子を外される見通しになって国際的に大恥をかいた。TPPをアベノミクスの「成長戦略」の柱だと言ってきた安倍は、いよいよ行き詰まって、あろうことか、カジノ法案に飛び移り、これがTPPに代わる「成長戦略」の柱だと強弁するに至った。

他方、折あらば、大義名分のない、自己都合による「解散・総選挙」を打って長期政権への基盤を固め直したいという一貫した政局戦略で、5月の伊勢志摩サミットを利用して「世界経済危機」を煽り、あわよくば参院選に照準を合わせて「ダブル選挙」を断行しようと図ったが思う様にはいかず、そこで年末にプーチン・ロシア大統領来日を設定して、北方領土問題で何らかの進展があれば、それを材料に年末年始の解散をもくろんだ。

 

しかし、経済協力を前面に出してロシア側の軟化を誘うというこの外交方針設計は「まるっきりの素人発想」で、プーチンのような当代一流の戦略家に通用する筈がなかった。不幸にも予想が的中、日ロ首脳会談は一方的な失敗に終わり、二階俊博幹事長さえ「国民はがっかりしている」と表明する程だった。

 

さて、そんな状況の中で、意外に大きなボディーブロー的なインパクトを政局に与えたのは、天皇の「退位」意向表明である。国の根幹的な姿勢に関わるこの問題提起によって、秋の国会から憲法審査会での改憲論議を本格化させようとしていた安倍の思惑は吹き飛んでしまった。

 

こうして、やることなすこと、偏狭で、何もかもうまくいかなかったのが首相のこの1年だったと思う。そういう事情を背負って、一発逆転の挙に出たのが、年末ギリギリの「真珠湾訪問」であった訳だが、如何にも首相の考えそうな「姑息で自分のメンツしか眼中にないやり方で、「目論んだ効果」は達成できなかった。加えて、17年は安倍政権にとって辛い1年になりそうである。そんな冴えない状況にあって、帰国翌日何を血迷ったか、稲田防衛相の靖国参拝が勃発。折角取り繕った真珠湾訪問も、米国からもクレームが付いてしまい、自ら台無しにしてしまったばかりか、一層厳しい状況に陥ってしまった。

 

一時は、総裁任期を無理繰りで、延長するという勢いもあったが、今は「風前の灯火」という趣になりつつある。‘17年は、世界情勢が大きく動き、今までの常識では対処が難しい局面に入る。国全体や、国民を蔑ろにするような姿勢では、政治の舵取りは難しい状況になる。首相にとっては厳しい年になりそうである。

 

高野猛profile

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

 

引用元 nikkan-gendai

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