地下水から環境基準超える有害物質が出た本当の意味 結局、豊洲市場は「安全安心」なのか!? 出鱈目行政の末に!
地市場の移転先である豊洲で続いていた地下水調査の最終結果として、環境基準を大幅に上回る有害物質が検出されたことが発表された。その意味は何か。東京都の小池知事が強調してきた「安全安心」は確保できるのか。調査結果は、外部有識者からなる「専門家会議」が1月14日、築地市場で公表した。地下水の一部から、環境基準を上回る有害物質が検出された。
■早期移転が期待されていたことから、発表会場は落胆の声に包まれた■
今後、専門家会議の立会いのもとで短期間のうちに追加で地下水を調査し、慎重に検証した上で、移転の可否を最終判断する方針が確認された。
主要な建物の下に、あるはずの「盛り土」がないとわかって大騒ぎに。そこには、コンクリートに囲まれた「謎の空間」が設けられ、水が溜まっていた。都のウェブサイトなどでは、敷地全体で盛り土がされている完成図が公表されていたこともあって、計画や発表と異なる実態に非難が相次いだ。計画と異なる建築の安全性とともに、溜まった水は「汚染された水ではないか」との指摘も出た。豊洲市場の安全性を検証する都のチームは昨年10月、まず建物の安全性に関して「安全」だとの認識で一致した。地下空間が耐震性を下げるわけではなく、重機や水の重さで床が抜けることはない、と設計を担当した日建設計が説明。チームの専門家たちも、その考えに同意し、建物の安全性を確認した。
■残るは、環境面への不安を払拭するだけだった■
そもそも環境基準とは最終結果で基準値を上回った「環境基準」は、環境省が定めている。飲用を前提に、達成するのが望ましいとする値だ。環境リスクマネジメントを専門とする横浜国立大名誉教授の浦野紘平さんはこう語った。
「そもそも、あの地下水を飲むわけではないし、市場で使うわけでもないのだから、危険か安全かの議論で言えば、安全であると言えます」「飲み水ではない地下水から、環境基準以上の数値が出ることは頻繁にある。『排水基準』を満たしていれば、河川などに流しても問題はありません」この「排水基準」とは、工場などの設備から排出しても問題がないかの基準値のこと。環境基準のおよそ10倍の基準となっており、基準値以下なら外部に流しても良いという指標だ。豊洲では地下水を使うことはない。飲用ではない地下水から環境基準を超える数値が出ても「安全」だ。しかし、豊洲市場は念には念を入れ、建物下の地下水を環境基準以下に、建物外の地下水を排水基準以下にし、さらに処理をして将来的に環境基準を下回る値にする方針となっていた。
■「安心・安全」のためだ■
最終結果で急上昇した値に「ショッキングな状況」地下水の最終調査では、昨年11月から豊洲の201カ所の井戸から採取した水を民間の検査機関が分析した。その内、72カ所の井戸で、ベンゼンとシアン、ヒ素に関して環境基準を上回る数値が出た。ヒ素以外のものは10倍を上回る数値もあり、ベンゼンは最大で79倍が検出された。シアンに関しては不検出であることが基準だが、最後の調査で初めて確認した。これまでの調査で濃度が低かったが、最後の調査で急上昇している場所が多くあり、試料の採取方法などについて確認するために「暫定値」とした。結果に対し、専門家会議の座長を務める平田健正・放送大和歌山学習センター所長はこう語った。
「かなり今までの傾向とは違った数値が出て、なんでだろうと思っている。なぜ急激に濃度が上がったのかを検証し、原因を究明する必要がある。移転ありきではないし、調査に少し時間をいただきたい」事務局の土壌汚染対策に詳しい国際航業の中島誠フェローもこう落胆した。「こんな上昇は経験がないし、ショッキングな状況。データは慎重に扱った方がいいし、暫定値で扱うのが妥当だ。全て確認する必要がある」
■もう限界の築地に待ったなし!■
1935(昭和10)年に開場した築地市場は、もう限界を迎えている。多くの施設は老朽化し、雨漏りだって日常茶飯事だ。「ターレー」と呼ばれる運搬車やフォークリフトが走り回る通路には、大小のくぼみがところどころにあるし、東日本大震災で本館の壁にひびが入るなどの被害に遭った。今後、予想される大地震に備え、耐震性への懸念もある。応急処置に年間約1.5億円が費やされているが、修復が追いついていない現状にある。築地市場の設備課長を務める吉田順一さんはこう諦めの声を上げていた。「『築地は持ちますか』と質問されれば、現場で働く身からすると、『非常に厳しい』と答えるしかありません」作業スペースが不足し、半屋外で魚を捌いたり、荷物を屋外に置くのも当たり前の光景だ。すぐ横では、トラックがアイドリングしており、吹きさらしの施設内に排気ガスが入り込む。
都の8月の調査では、空気中のベンゼン濃度は、環境基準を超えないまでも築地市場の方が豊洲よりも高い。豊洲と同じように、建物や環境面の安全性に対する懸念があったから、移転が決まった。移転は、いったいいつになるのか
小池百合子知事は、今夏に移転の可否や時期を決め、早くても2017年冬に豊洲に移転する見通しを示していた。1月12日に知事就任以来、初めて築地市場の営業日に視察した時には、市場関係者の代表らと懇談し、移転時期を3月末までに決定するよう要請を受けた。
地下水の調査結果次第だとした上で、判断を前倒しする可能性も示していた。ところが、環境基準を上回る結果が出たこの日、地下水の追加調査が決まり、まず数値が急上昇した原因を究明する方針で決まった。
■市場関係者から嘆きの声■
築地市場協会の伊藤裕康会長は、会議でこう苦言を呈した。「都の職員のやり方を信用してここまできたのに、(調査の)やり方を変えるのはおかしいんじゃないか。今になってこういう事態になって驚いているし、早くきちんと実態をつかんで、対策を考えてもらいたい」
ある仲卸業者の男性はこう嘆いた。「環境基準を下回る最終結果が出て、さまざまな問題はあったけれども安全が担保できた、というのが、小池さんが望んだシナリオだったはず。でも、それが崩れ、延期を決めた小池さん自身を追い込む形になったのでは」 豊洲への移転が白紙になれば大きな混乱を招き、莫大な費用がさらにかかることや市場として設計された豊洲の買い手が見つからない不安も口にした。
「もう築地は限界を通り越している。移転が先延ばしにされればされるほど、市場関係者に金銭的な負担がのしかかる。小池さんが謝罪をして一から再スタートを切り、環境基準を排水基準に変えて、安全宣言を出すのが一番なんじゃないかな」
■声を落としながら、小池知事の科学的な判断に期待を寄せる■
「どう冷静に対処するのかを見守るしかないね。都政の長として、市場関係者や都民を納得させるのも仕事の筈だ」 しかしこんな出鱈目が罷り通って来た「都政」とは何なんだ!?
引用元 ヤフーニュース 【BuzzFeed Japan / 瀬谷 健介】
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