小生は20年ほど前健康診断で、「血圧が高い」と言われて降圧剤を飲み始めた。その際は、一生飲み続けなくてはいけないといわれた。
薬には必ず副作用があり、不要な薬を飲むことは、即ち毒を飲んでいるのと同じだ。にも拘わらず、その止め時を教えてくれる医者は殆どいない。降圧剤は「一生飲まなくてはいけない」と思っている患者は多い。そう信じている医者も多い。「しかしそんな馬鹿な話はない」と長尾クリニック院長の長尾和宏氏は言う。「どんな薬でも止め時はある。(降圧剤の場合でも)老齢期を迎え、衰弱して来れば自然に血圧は下がってくるし、薬も要らなくなる」
血圧の判定基準値を超えたら、薬が必要という研究はあっても、どれだけ下がったら必要ないかという研究はありません。多くの場合製薬会社がスポンサーになっているが、「薬の止め時の研究」などに金を出す筈が無い。
しかし現場の医師の中には断薬の大切さと効果を理解している医師も増えてきた。松田医院和漢堂のような「薬やめる科」という診療科目をおいている病院も現れた。医院長の松田文彦氏は、「殆どの患者は自分の体調不良が薬の副作用だという事に気が付いていない。幼少のころより、医者、薬剤は体を治すもの」と信じて疑わない。まずその思い込みを無くし、その効果なるもの以上に副作用があるのだと認識する必要がある」と語る。
飲んですぐ出た蕁麻疹とか、直ぐ現に現れるものは分かりやすいが、じわじわ襲ってくる副作用にはなかなか気が付かない。「何となく元気が出ない、筋肉が軽く痛む、肩こり」などの症状を感じたら、もしかしたら重篤な副作用の前触れかも知れないので、少なくても「減薬」するくらいの慎重さが欲しい。
高血圧の場合原因には、①血管が外側からの圧力を受けてなる「ギュウギュウ型」と、②血流量が増えて起きる「パンパン型」の2タイプである。日本人に多いのは、②のタイプである。一般に塩分摂取量が多いので、血中の濃度を一定にしようとする為に、水分を取り込み血液量が増えてしまうケースが多い。②の型には、利尿剤とか、カルシウム拮抗剤といったタイプの薬が効きます。しかし今の高血圧の治療には、①型に効く薬である「ARB(ディオバンとかアジルバなど)」ばかりが処方されている。
血圧が下がらないといって幾つかの薬を飲んでいる患者もいるが、タイプに合ってない薬ばかりを処方されているケースもある。まずここら辺から手掛け、効率的、適正化を図り種類を減らしていくことが「断薬」の一歩である。また夏季は血圧が下がる時期でもあるので、薬の量も減らせるチャンスでもある。その間に生活習慣を見直し、実践していけば、冬季でも減薬/断薬の可能性も期待できる。
また認知症の場合では、ミニメンタルステート検査という、治療の指標となる進行度テストというものがあります。欧米ではこのテストで、30点満点のうち10以下になると、薬の処方を打ち切ることになっている。もうその段階では薬の効果は期待できないからです。ところが日本では患者が亡くなるまで投与し続ける。こういう無駄な使われ方が意外と多い。
薬には急に止める反動が起きる場合も多い。したがって医師の指導の下、時間を掛けて慎重に止めていく必要がある。薬の毒性がこういうところでもわかる。長年薬を服用していると、体内に毒を溜め込んでいると同じだ。またすべての薬は、肝臓や腎臓に負担を掛ける。減薬・断薬をするとそれらの負担が減り、顔色が良くなり、体内に堪った毒も消えていく。今からでも飲んでいる薬が、適正か、不要なものはないかチェックし、減らし、カットし、その分生活習慣を正していけば薬に依存する体質から脱出できる。製薬会社は、薬をより多く売ることに関心がある立場である。患者の立場と相容れない場合が度々起きる。
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