【こんな見方もあるよ!】森友学園海外メディア在京4特派員の見方「私たちはこう見ている!」

この国の行方

【こんな見方もあるよ!】森友学園海外メディア在京4特派員の見方「私たちはこう見ている!」

 

大阪市の学校法人「森友学園」を巡る問題は、政界を巻き込んだ一大スキャンダルに発展している。国内で連日メディアを賑わせているこの問題について、海外メディアはどの点に関心を持ち、どう報じているのか。各国の在京特派員に聞いた。

■一連の右傾化の流れだ!■

ニューヨーク・タイムズ紙東京特派員、ジョナサン・ソーブル氏【聞き手・松井聡】

 

森友学園の問題は、日本の政治や社会の右傾化を象徴する一つの例だと見ている。憲法改正への意欲を示す安倍晋三氏の首相就任以来、日本の右傾化の動きに米国では関心が集まっており、森友問題もこの一環として捉えられている。

 

私のように日本を担当する特派員にとって、右傾化と経済動向の二つはしっかりと報道しなければいけないテーマだ。なので、最初にこの問題を知った時は土地取引の不透明さもさることながら、森友学園の教育内容に注目した。幼い子供に戦前の偏った思想教育を行うことは問題だと思ったし、安倍氏の妻昭恵さんや有名政治家が学園を支援していることも驚きだった。

 

もちろん、森友学園のような教育機関は日本に殆どないことは分かっているが、それでも日本の右傾化の流れに沿って起こった問題であると感じている。

 

2月24日付と3月17日付の計2回、この問題を記事にした。最初の記事では森友学園の教育内容に焦点を当て、その学校が不透明な土地取引をしていたと書いた。2回目の記事では、安倍氏が学園に100万円を寄付したとされる疑惑を中心に、政権への影響を取り上げた。今後、記事にするとすれば、安倍氏の進退に影響が及んだ時だと考えている。

 

米国には日本の右傾化を懸念する声もあれば、トランプ大統領のように軍備拡張を求め防衛面での自立を促す人もいる。森友問題は双方にとって関心が高く、今後も注視したい。

 

 

■野党の政権攻撃の試みは失敗■

 

ロシア国営テレビ東アジア支局長 セルゲイ・ミンジュガエフ【聞き手・大前仁】

 

 

今回のスキャンダルでは二つの点に関心を持った。まずは籠池泰典氏の森友学園が運営する幼稚園の教育が変な点だ。子どもたちが暗唱させられていた教育勅語には大切なことも書かれている。しかし21世紀の現在、そのような文章を使って知識も経験もない子どもらを育てるのは、いいことではない。

 

もう一点は安倍晋三首相が巻き込まれたこと。多くの日本人にとっては土地取引を巡るスキャンダルとして捉えられているだろう。一方、日本滞在が16年を過ぎた私には、以前と比べ民族主義的な考えがおおっぴらに語られるようになっていると感じる。安倍首相は保守団体・日本会議から支持されているとされ、そのメンバーだった籠池氏の思想には共鳴していると思う。

日本外国特派員協会での会見では、籠池氏は自分が事実を語っていると信じる一方、首相が守ってくれなかったことに納得していないような印象を受けた。一連の出来事を時系列でなぞると、籠池氏が首相の妻昭恵さんにお願いをしたから土地の値引きがあったのではないかと思うが、立証はできていない。

 

今回の問題は日本的というか、分かりにくいのでロシア向けには報じていない。多くの日本人の生活に影響を与えている訳ではなく、国民は本当に怒っている訳ではないだろう。野党は安倍政権への攻撃材料に使おうとしているが、政権が一定の支持率を維持している現状を見ると、試みは失敗していると思う。

 

■韓国なら検察が捜査■

 

中央日報東京総局長、呉栄煥(オ・ヨンファン)氏 【聞き手・内橋寿明】

 

韓国は大統領の不正疑惑で大揺れに揺れている。これに対し、日本では安倍晋三首相が安定した政権運営を続けてきたが、ここへきて森友学園を巡る一連の疑惑が噴き出した。

 

私たちも問題が発覚してから学園側と政権側の双方の主張を報じてきたが、籠池泰典氏の証人喚問に最も紙面を割いた。嘘の証言をすれば罪に問われる恐れがあり、真相に近づくと期待した。だが、安倍首相の妻昭恵さんから学園側に寄付があったかどうか分からなかった。

今後も国会審議が続くようだが、もし韓国なら検察が大々的に動いていると思う。韓国では重要な問題で主張が対立した場合、検察が罪に問えるかどうかは別にして、捜査を通じて真相を解明するケースがある。

 

一連の問題に絡み、昭恵さんが批判されているのは少し残念だ。

 

日韓国交正常化50年にあたる2015年7月と12月、昭恵さんは東京都内での日韓交流イベントに出席した。慰安婦や竹島の問題で日韓関係が冷え込む中、あいさつの冒頭で韓国語を使うなど友好を演出していた。保守派の安倍首相と対照的に、昭恵さんに好感を持つ韓国人は少なくない。

 

問題の核心は、森友学園が取得した国有地を巡り国が算定した売却額が適正かどうか、さらには政治家による不当な口利きがあったかどうかだ。現時点で政権への影響は限定的だが、政権を揺るがす大問題に発展するのかどうか、今後も注視していく。

 

 

■日本の教育の誤解を招く■

 

英フィナンシャル・タイムズ東京支局長、ロビン・ハーディング氏【聞き手・井上英介】

 

私は経済紙記者として、アベノミクスを進める安倍政権に一連の森友学園の問題がどれほどの政治的ダメージを与えるのかという観点から、学園の記事を書いてきた。国会審議はアベノミクスや構造改革の進展具合そっちのけで森友疑惑一色の様相だ。日本の報道機関の世論調査で支持率が下がり、政権の求心力低下も懸念される。ただ、海外の投資家が反応するほどの影響はないと見ている。

 

個人的な感想だが、学園の運営する塚本幼稚園の教育は日本の戦争前の思想に基づいたもので、欧米ではあり得ないし、今の日本社会の価値観とも懸け離れている。だが、外国人は日本の教育についてよく知らず、塚本幼稚園がクローズアップされることで「日本の幼稚園や学校はどこもあんなことをやっているのか」と誤解しかねない。

 

気になるのは、安倍晋三首相が塚本幼稚園の教育について踏み込んだ評価をする場面が少ないことだ。夫人の昭恵さんが籠池氏と近い関係にあったことも合わせて、外国人は「首相は陰で森友学園を支援してきた」と受け止めかねない。

 

安倍首相は、昭恵さんと学園との関係も含めた疑惑への関与の否定に躍起だが、疑惑だけでなく塚本幼稚園の教育内容が「自分の考え方とは相いれない」と思うのなら、それをはっきり口に出して言う必要がある。さもないと、塚本幼稚園が首相の目指す教育であると我々外国人は考えるだろう。

 

 

 

引用・参考元 ヤフーニュース <毎日新聞>

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170403-00000001-mai-soci

 

 

 

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