仏縁を取り戻す策か!? 僧侶バー、癒やしの場に…「ご縁」など50説法(メニュー)!
「僧侶BAR(バー)」と銘打ち、仏僧がカウンターに立つカフェが北九州市小倉北区にある。 和やかな雰囲気の店内で、悩める客の話をじっくりと聞いたうえで相手の心情に合った説法をしており、評判を耳にして訪れる人たちの癒やしの場となっている。 3席のカウンターと、4人掛けのテーブルが三つ。レトロな雑貨が店内に並ぶ同区馬借のカフェ「こぐま舎」で、さむえ姿の渡辺晃司さん(32)が5月中旬、女性客らと談笑していた。
渡辺さんは、同市小倉南区の浄泉寺の副住職。東京の大学を卒業後、都内の寺院で5年ほど修行し、住職を務める父の和弘(わこう)さん(64)の跡を将来的に継ぐため、27歳で戻ってきた。地域住民にとって、寺は身近な存在だと思っていたが、実際に関わるのは葬儀や墓前での供養などに限られ、「寺が縁遠くなっている」と感じるようになった。
「人が集まる場所に自ら飛び込んで、会話を通して悩みや苦しみを共有したい」。そう考え、今年2月、妻の綾さん(39)が営むカフェで主に金、土曜日の夜、カウンターに立ち始めた。
食事や飲み物の通常メニューとは別に、渡辺さんによる無料の「説法メニュー」を用意。「ご縁」「しあわせ」「まなぶ」など約50種類あり、「人生の目標が定まらない」と迷う学生から「自分の墓がどうなるのか心配」といった悩みを抱える高齢者まで、幅広い世代から“注文”が寄せられる。
社会人になって約1年の若い女性は、説法メニューから「働く」を選んだ。仕事をすることの意味を見失いかけていた女性に、渡辺さんは「会社や組織に属し、報酬を得ることだけが仕事ではない。誰かに喜んで貰える生き方をすることこそが『働く』ということ」と語りかけた。
「人は誰かに喜ばれたり、存在を示せたりすることで幸せを感じる。だが、現代社会は仕事が分業化され、そうした実感を得られる機会が乏しくなっている」。そんな思いから出た言葉だった。女性は涙を流しながら聞き入っていたという。
カフェでの説法以外にも、寺でお灸(きゅう)やヨガの体験教室、写経会などを開き、住民との交流の機会を設けている。「会話をきっかけに、充実した人生を送って貰えれば」。渡辺さんはそう願っている。
記事・画像 引用・参考元 Yahoo News < Yomiuri >
画像元 yjimage
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