伝統技術“空石積み”で保存目指すも人材確保に課題!日本百選の絶景「つづら棚田」に存続危機!(福岡県うきは市)

ふるさと創生

伝統技術“空石積み”で保存目指すも人材確保に課題!日本百選の絶景「つづら棚田」に存続危機!(福岡県うきは市)

 

 

福岡県うきは市浮羽町新川の葛籠(つづら)集落に広がる「つづら棚田」。日本の棚田百選に選ばれた絶景が広がる。こうした棚田の保全のため、農業の担い手確保とともに重要になるのが石垣の整備・修復技術の継承だ。11月、徳島大を拠点に継承の支援をしている団体「石積み学校」がつづら棚田で研修会を開いた。伝統の「空石積み」の仕組みを学ぶ中で、石垣保全のための人材確保の重要性も見えてきた。

「表面の石をどう組み合わせるかが気になってしまいますが、実は奥の石をどうかませるかが重要です」 11月18日から2日間あった研修会の冒頭、石積み学校スタッフの金子玲大さん(29)は、九州各県から参加した建築関係者や公務員ら15人に語りかけた。

 

石積み学校の目的は、石積みの技術を持つ人と技術を学びたい人、修復が必要な田畑を持つ人の3者を繋ぐことによる田畑の保全と石積み技術の継承。徳島県を中心に研修会を続け、2014年にはグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)の中でも特に評価が高い特別賞の「地域づくりデザイン賞」に選ばれた。

つづら棚田の現場は高さ約1・4メートル、幅約7メートルの石垣。一見しただけでは分からないが、石がぐらついていたり、土のうを置いて崩落を防いだりしていた。

金子さんとともに講師を務めた石工や庭師でつくる「うきは市石垣保存会」の山下公夫さん(48)によると「棚田は通常200年以上使え、所々壊れたりしても農閑期に地域住民が補修していた。今はその人材がおらず、この場所も応急処置をしただけで、修復の要望を受けていた」という。

 

研修で学ぶのはモルタルなどの接着剤を使わない「空石積み」の技法。コンクリートの壁だと一度壊れたら再利用できないが、空石積みだと「積み直せば再利用可能で、すでに崩れた石や泥も貴重な資材になる」という。

 

初日の午前中は石垣を崩す作業。石は滑りやすく30キロを超える大物もあって持ち上げるだけで一苦労。なるべく近くに置きたいが、場所を誤ると周囲が石だらけになって歩きづらさが増す。すべて手作業で進むため、かなりの重労働だ。

 

午後からは積み直しが始まった。壁の表面部分に置かれる大きめの「積み石」は奥に向かって低くなるように傾けて置き、積み石の奥には小さめの「ぐり石」を数多く敷き詰めることが強度を上げるポイント。完成時に隙間が目立っても、ぐり石によって安定は確保され、豪雨時なども山の方から流れてきた水が隙間から少しずつ流れ落ちるため、水がたまって石垣が崩壊する危険性は減る。

こうした点もコンクリート製にはない強みで、あらためて昔から伝わる技術に頭が下がる思いがした。

 

■「生きている棚田」として貴重■

 

葛籠集落では江戸時代以降、300枚の田んぼ(総面積約6ヘクタール)が守られてきた。一方で、50世帯ほどいた住民は過疎化や2012年の九州北部豪雨の影響で3世帯まで減少しており、集落自体が「存続の危機」にある。

 

こうした現状に、周辺集落の農家有志による耕作請負や、棚田オーナー制度を活用した都市住民の支援が続いている。金子さんも「全国には棚田百選になった後、耕作放棄などが進んだ地域も多い。葛籠集落は『生きている棚田』として貴重」と評価する。

今回の研修を誘致した市うきはブランド推進課地域振興係の熊懐(くまだき)真孝係長は「石垣の修復については災害時以外の公費支出は難しく、ボランティアの力が欠かせない。つづら棚田の米は好評で農業支援だと協力を得やすいのだが、修復についてもいかに支援者を増やすかが課題」と話す。

美しい棚田をどうやって後世に残していくか。専門家に任せるのではなく、石積み技術についてもその利点や魅力を広く伝えていくことの大切さを感じた。

 

記事・画像 引用・参考元 Yahoo News <nishinpc-soci>

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171217-00010004-nishinpc-soci

画像元 yjimage

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