沖縄闘争に専心!がん闘病中に死去…沖縄・翁長知事が命を賭して訴えた正論!と安倍首相の心無い仕打ち!
今年4月に膵臓がんの切除手術を受け、治療を受けながら公務を続けていた沖縄県の翁長雄志知事が死去しました。67歳でした。闘病中の翁長氏が命を賭して訴え続けた正論を振り返ってみたい。
一言一句、噛み締めるように絞り出された言葉に、胸を打たれた国民は多かったに違いない。23日、太平洋戦争末期の地上戦で犠牲となった住民らを悼む「慰霊の日」を迎えた沖縄県。73年前の沖縄戦で最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園で開かれた沖縄全戦没者追悼式に出席した翁長雄志知事は「平和宣言」でこう訴えていた。
「東アジアをめぐる安全保障環境は大きく変化し、緊張緩和に向けた動きが始まっている」
「20年以上も前に合意した辺野古移設が普天間問題の唯一の解決策と言えるのか」
「辺野古に新基地を造らせないという私の決意は県民とともにあり、微塵も揺らぐことはない」
膵臓の腫瘍を切除する手術を受け、ステージ2の膵がんだったことを翁長知事が明らかにしたのは5月半ばだ。それから1カ月。当時と比べて体はやせ細り、頬はゲッソリ。誰の目から見ても闘病中は明らかだったが、「平和宣言」を力強く語る姿からは「沖縄に基地はいらない」という信念が滲み出ていた。
翁長知事が指摘した通り、米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談以降、東アジアの安全保障環境は激変しつつあると言っていい。
トランプは会談直後の会見で、北の非核化に期待を示すとともに、在韓米軍の規模縮小や撤退の可能性にも言及。早速、8月に予定していた米韓合同軍事演習の中止を決定し、さらに米国防総省は今後3カ月の間に予定していた韓国との2つの軍事訓練の中止も公表した。
米国内の保守層からは「北朝鮮に譲歩し過ぎだ」といった批判が出ているとはいえ、少なくともトランプは現時点で、在韓米軍の規模縮小に向けて前向きな姿勢を崩してはいない。となれば、在韓米軍と一緒に対北朝鮮の即応部隊として維持されてきた在沖縄米軍の在り方も議論されるのは当然の理屈だ。とりわけ、見直しが急務なのは、国が沖縄県民の反対を押し切って強引に工事を進めている名護市辺野古沖への新基地移転だ。翁長知事は今年3月にワシントンでペリー元国防長官と面談した際、1996年の普天間基地の返還合意時から「県内移設」が条件になった理由として「北朝鮮の存在が大きい」と説明されたという。
その北朝鮮を取り巻く状況が将来、大きく変わる可能性があるにも拘わらず、日本政府は今後10年以上、1兆円近くも費用を負担して辺野古新基地を造る方針を変えないのだから、全くバカげた話だ。翁長知事が命を賭して提起したのは「日本政府は今こそ、全く新しい視点に立ち、在沖縄米軍の規模縮小、撤退を含めた安全保障体制を見直す時だ」という正論そのものなのだ。それなのに安倍政権の姿勢を見る限り、これまでと全く変わっていないから首を傾げてしまう。
「東アジアの冷戦構造が大きく変わったにもかかわらず、日本政府は全く対応できていない。米朝、南北朝鮮が今も対立構造にあるという考えの儘なのでしょう。米国に追従し、日米安保にしがみ付いて何も考えてこなかった外交姿勢の欠陥が今、如実に表れている。思考停止、フリーズしていると言ってよい。独立国家としてあり得ない状況です」(琉球新報の普久原均編集局長)
対北朝鮮や東アジアの安全保障で日本に戦略がないことがハッキリした。〈私が生きている限り、こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、絶対に許さないことを。もう二度と過去を未来にしないこと。〉〈だから、きっと解る筈なんだ。戦争の無意味さを。本当の平和を。頭じゃなくて、その心で。戦力という愚かな力を持つことで、得られる平和など、本当は存在しないことを〉
戦没者追悼式では、浦添市立港川中3年の相良倫子さんが、自作の詩「生きる」を朗読。戦争の愚かさと平和を願う女子学生の素直な主張に涙を浮かべる列席者の姿が見られたが、対照的に恥ずかしい程薄っぺらだったのが安倍首相の挨拶だ。
「沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす」
「私が先頭に立って、沖縄の振興を前に進めてまいります」
用意された原稿に目を落とし、棒読みするだけ。在沖縄米軍基地の在り方や辺野古移設について踏み込んだ発言もなかった。まっ、圧力一辺倒で拳を振り上げるしか能がない安倍のオツムじゃあ、どう逆立ちしても〈戦力という愚かな力を持つことで、得られる平和など、本当は無い〉という詩の意味は理解できないだろう。翁長知事も沖縄県民も、こんな男が首相に居座り続けていること自体がつくづく不愉快極まりないに違いない。
そんな安倍政権はやっていることもチグハグ。米朝間の緊張緩和を理由に北のミサイル発射を想定した住民避難訓練の中止を決める一方、1基あたり1000億円とされる米国製の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」は予定通り配備するというからだ。
■当事者意識も能力もない安倍政権では北朝鮮と交渉できない■
小野寺防衛相は22日に配備候補地となっている陸自の「新屋演習場」(秋田市)、「むつみ演習場」(萩市)がある秋田、山口両県知事を相次いで訪問。「北朝鮮の脅威は変わっていない」と説明して配備への理解を求めたが、秋田県の佐竹敬久知事が「脅威が薄らいだから訓練は一方的に中止し、こっち(陸上イージス)は急ぐというのは非常におかしい。ちぐはぐだ」と怒りを隠さなかった。
要するに、安倍政権は対北朝鮮や東アジアの安全保障について独自の戦略は何一つ持っていない。ひたすら米国に隷従し、バカ高い武器を押し売りされている丈だ。昨年11月の日米首脳会談の会見でも、「安倍首相は、多くの武器をアメリカから買うことになるでしょう」と公然と言い放ったトランプに対し、安倍は「イージス艦の量・質を拡充していく上において、(装備を)米国から更に購入していくことになる」とヘラヘラしていたが、「イージス・アショア」にしても、今さら「買うのはヤ~メた」と言えないのが実情なのだ。
トランプが在韓米軍を撤退させたい理由に挙げたのが「カネがかかり過ぎること」だった。米国第一のトランプの本音は米軍経費を「どこかに負担させたい」のが本音であり、最も肩代わりさせやすい相手が日本なのだ。米国にとって、「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)や「米軍再編経費」「SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)経費」などで日本政府が年間4180億円(2018年度予算)も負担してくれる在沖縄米軍基地は使い勝手がいい。朝鮮半島の緊張緩和が進めば、次は対中国の前線基地に必要――などと屁理屈をこねるのはミエミエ。今以上に日本は米国からカネをむしりとられるのだ。
かくして亡国政策ばかりの安倍政権は一体、北朝鮮とどう向き合うつもりなのか。安倍は日朝首脳会談に意欲を示しているが、肝心の北朝鮮からはソッポを向かれたまま。拉致問題を解決するとか言って大風呂敷を広げたものの、結局は「トランプよろしく」だったではないか。沖縄国際大学の前泊博盛教授がこう言う。
「米国が北朝鮮に圧力をかけるといえば『ハイ』、会談するといえば『ハイ』、中止するといえば『ハイ』、再会談するといえば『ハイ』。日本政府は米国を追認するだけで何の主体性もない。これは主権国家の姿ではありません。北朝鮮だって『日本は米国の言いなりだから、米国さえ押さえればいい』と思った筈で、そういう印象を与えた面は否めません。当事者意識も能力もない外交無策の安倍政権(本人は外交の安倍と思っている)が北朝鮮と交渉できるとは思えません」
右往左往した揚げ句、莫大なカネを負担させられてオシマイ。それが地球儀俯瞰外交の実相だ。沖縄県知事の信念と行動に比べるべくもない。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ
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