“安倍1強”内部横槍で早くも暗雲 参院選の「前哨戦」で自民敗北危機の予兆!
参院選と統一地方選が重なる12年に1度の「亥年選挙」がスタート。前半戦の北海道や福岡など11道府県の知事選が21日、告示(4月7日投開票)された。結果が夏の参院選に直結するのは必至だが、すでに“安倍1強”に暗雲が垂れ込め始めている。
最注目は北海道知事選だ。11知事選の中で唯一の「与野党全面対決」の構図だからだ。絶対に落とせない安倍自民は、自公推薦の鈴木直道・前夕張市長が第一声で首相自身のメッセージを掲げ、甘利選対委員長を街頭に立たせる力の入れようだ。現地メディアの調査でも鈴木氏は野党候補の石川知裕・元衆院議員を上回っているのだが、鈴木陣営も決して盤石ではない。
「もともと、地元議員や市町村長会、経済界は、国交省北海道局長の和泉晶裕氏を擁立する意向だった。鈴木氏については『迫力不足』『知事の器ではない』といった評価が大半を占めていたが、いつの間にか鈴木氏擁立が固まってしまった。鈴木氏は、同じ法大出身の菅官房長官の大のお気に入り。地元では『また官邸のご意向か』とみられている。『絶対に鈴木氏のビラは配らない』と憤る関係者もいる。陣営はまとまり切れていない」(道政関係者)
■鈴木氏は政策論語らず“争点隠し”■
現地で取材するジャーナリストの横田一氏は「『脱原発』を含め、政策論を前面に出す石川氏に対し、鈴木氏は具体的な政策論は殆どしない。典型的な“争点隠し”で、有権者に見透かされれば、石川氏に追いつかれる可能性は十分にあり得ます」とみる。参院選の前哨戦で、安倍自民が敗北を喫する可能性が高まっているのだ。
その予兆は既に表れていた。17日投開票された東京・台東区議選(定数32、立候補41)では、自民が14人擁立したが、現職を含める5人が落選。議席を1つ減らしている。「注目が集まりにくい区議選では、無党派層が動かず、古くからの支持層の投票で勝敗が決まりがち」(選挙プランナー)という。つまり、自民支持層からも「自民NO」の声が上がり始めているということだ。
「与野党対決」以上に安倍官邸を焦らせているのが、福岡県と大阪府の両知事選だ。福岡は、麻生財務相が安倍首相に直談判し、強引に党本部推薦を取り付けた新人と、二階幹事長が推す現職の“遺恨試合”状態。大阪は維新の松井前知事と吉村前市長の入れ替え「ダブル選挙」である。安倍首相にとって必要不可欠な「改憲勢力」の維新と対決するのは、他でもない自民党府連だ。福岡、大阪ともにどちらが勝っても、シコリが残るのは間違いない。
「維新と近い菅長官は頭を抱えているでしょう。いずれにせよ、大阪のダブル選は、維新がメディアの注目を集め党勢拡大を狙ったものとみられますし、福岡県知事選は自民党内の“内輪もめ”です。結果的に有権者は『二の次』になっています」(横田一氏)
統一地方選が安倍自民「瓦解」の始まりになるのだ。
(私見)
参議院選挙の行方を占うと言われる統一地方選挙だが,自民党の候補者選定には、今の自民党の混乱状況、選挙民無視の姿勢が見て取れる。安倍1強体制と言われるものの「傲慢体質・国民無視体質」がもの見事に反映されている。北海道や、福岡の県知事選も、自民党内のお家騒動の反映で、そこには道民・県民の存在が忘れられている。安倍政権の姿勢そのものだ。
しかしそのことが同時に、安倍首相の1強体制の崩壊前夜という皮肉な結果を表している。傲慢自民の油断が、逆に安倍首相の力の衰えを表しているのだ。本来ならば、既定路線であった候補者を、1強の筈の「鶴の1声」で、決まっている筈が、菅官房長官の大学の後輩とか、麻生副首相の都合の「横槍」とか、地元の意向を覆しての擁立(=官邸の御威光)となっている。なんのことはない、1強の筈が、「身内」の横槍、横暴で仕切られ、結果的に安倍1強が崩されているのである。
参院選・統一選が、「自滅の構造」に陥っているのである。それは巡り巡って、安倍首相の力の衰えを表している。すなわち国民不在、大半の国民にとって、「血も涙もない」冷酷無比な政治が露見し、国民に見透かされているという事の裏返しとも言えるのではないか。
いずれにしても、国民の望んでいない「憲法改正」等に、ろくにオープンな議論を経ず、姑息な手段で、成立させようとしている安倍首相の野望を、折角「自滅の構造」を提供してくれているのだから、この際その野望を摘み取っておくことが必要なのではないか。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ
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