北海道の老舗 ススキノの老舗「東寿し」破産に惜しむ声 「横綱のような存在」
創業141年の老舗で、1日付で破産が決まった札幌・ススキノのすし店「東(あずま)寿し」(冨永裕美店主)。最盛期には5階建ての自社ビルを持ち、収容人数約500人を誇る日本有数の「大型すし店」として知られた。「道内のすし業界の大きな灯が消えた」。同業者や札幌の食通から惜しむ声が上がっている。
昼食 寿司定食
「回転ずしで業界は一変」
「北海道のすし屋にとって、東寿しは『横綱』のような存在。寂しいね」。札幌を代表するすし店「すし善」社長で、北海道鮨商生活衛生同業組合(札幌)の嶋宮勤理事長(73)が声を落とした。1980年代に結成した「札幌鮨研究会」で腕を磨き合った間柄。「回転ずしの隆盛で業界は一変した。もう少し経営改革が早ければ」とショックを受けた様子だった。
東寿しは1875年(明治8年)創業。東京生まれの初代、故竹原定吉さんが店を開き、現在の冨永社長は7代目に当たる。1972年に5階建ての本館ビルを建て、83年には新館もつくり、道内随一の規模を誇って繁盛した。店の看板には「北海道最古の寿し処(どころ)」とうたっていた。
明治9年創業 創業者
一時は社員数が100人を超え、修業を積んだ職人が道内各地で独立した。ススキノにある「寿司(すし)の及川」店主の及川敬之さん(74)は中学卒業後に弟子入り。「厳しい徒弟制度があり、店に住み込みで懸命に働いた。辛かったが、すしを一から覚えた場所」と思い出を語る。
北海道で最初にカウンターを導入した頃
中央区大通西5の「すし処佐藤」店主の佐藤信夫さん(66)は東寿しに約30年務め、屋台骨を支えた。「高級品でなく、庶民も味わえるすしを目指した。仕入れに店作りに多くの工夫を凝らした」。札幌の食に詳しいエッセイスト和田由美さん(67)は「高級店と大衆店の双方の顔を持っていた。道内のルーツと呼べるすし屋だった」と残念がった。
引用・参考元 ヤフーニュース<北海道新聞>
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