交通違反切符を切られたのに、反則金支払いも呼出状も無視し続けたら、どんな事態が待っているのか?
年末を控え、車で出掛ける機会も多くなりますが、年末は忙しなく、気もそぞろになりがちですが、交通事故や交通違反に是非とも気をつけていただきたいところです。では、もしも交通違反で取り締まられた後、何らかの理由で反則金を納めず(納付期限をうっかり見過ごす場合も)、呼出状も無視し続けていた場合、どのような処分が待っているのでしょうか。
今年5月に、反則金の納付や呼出状を無視続けていた悪質な交通違反者20人を兵庫県警が一斉逮捕した、というニュースがありましたが、法的にはどのような観点から逮捕されるにまで至ったのか検証したいと思います。
- 呼出状を無視し続けると刑事事件に移行する
結論からいえば、交通違反の反則切符を無視し続けていると、通常の刑事手続に移行し、最悪の場合、逮捕される可能性もあります。
- 反則切符は軽微な交通違反処理が目的
そもそも、いわゆる反則切符の制度は、日常的に大量に発生する軽微な交通違反事件を、全て刑事事件として扱うと、警察署と検察庁の処理能力の限界を超えてしまうという観点から、1968年に導入されました。より人員を投入する必要がある窃盗や殺人などの一般刑法犯、その他の重大犯罪の取り締まり、刑事裁判手続に支障をきたすおそれが生じることがその背景にあります。
速度違反や駐停車違反など一定の軽微な交通違反行為については、反則金を納付した者は、刑事事件として扱わず、行政上の手続(反則金納付手続)だけで終結させ、捜査機関の処理の負担を軽減すると同時に、事実上罰金に近い反則金を納付させることで、道交法違反行為の抑止力も働かせることを目的としています。これが所謂反則切符と呼ばれるものです。
- 交通違反も本来は犯罪行為だと認識をすべき
反則切符制度により反則金納付で刑事手続が免除される軽微な交通違反行為も、本来は、道交法違反の犯罪行為であることに変わりありません。反則金の納付により、特別に刑事手続が免除になっている過ぎないからです。勘違いしてはいけません。
したがって、反則金の納付を放置し、再三の呼出状を無視している場合には、本来の原則に戻って、道交法違反の刑事事件として切り替わり、扱われることになります。そのため、罪証隠滅や逃亡のおそれなどがある場合には、違反内容によっては逮捕までに至る可能性も充分あります。事実逮捕者も出ています。
反則金はあくまで本来道交法違反である行為について、反則金を収めた違反者については、例外的に刑事手続に進まないというだけですから、無視して済むような軽い手続ではありません。まさか逮捕までされるとは思わなかった、という気持ちもあるとは思いますが、反則金は決して軽い手続ではないので、「違反行為自体を争いたいケース」などを除き、定められた期間までに必ず納付すべきです。<納付期限を過ぎた場合は改めて手続きが必要で延滞金を収めて済まそうと思っても、その反則金納付書では出来ないので注意が必要です!>
[アドバイザー 弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門)
引用・参考元 lmediahttps://lmedia.jp/2016/09/14/69226/
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