人知れず逝く「中壮年」たち! “孤独死しやすい人”の特徴 どうすれば回避出来るのか?
ニッセイ基礎研究所の推計によると、日本における孤独死は年間3万人にも上るという。著名人でも3月3日に自宅で発見された北島三郎(81)次男の大野誠さん(享年51)や、平幹二朗(享年82)、大原麗子(享年62)、飯島愛(享年36)が孤独死と報じられている。
■『男の孤独死』を上梓した長尾クリニックの長尾和宏院長が言う■
「孤独死の多くは、60代のお酒好きの男性です。過度に酒を飲み、ストレスが多い生活をし、辛いことを他人に言えずにため込んでしまう。あまり周囲と接触しない。そのうえ高血圧や糖尿病などを患い、勝手気ままなタイプの方が孤独死しています」
■あんしんネット事業部部長で整理コーディネーターの石見良教氏の見解■
「一番の孤独死予備軍は65歳以下の、中壮年層の独居男性で、亡くなるのは60代後半が一番多く、40代からどんどん増えていきます」 と話し、実例を挙げる。「48歳の独居男性は死後3カ月で発見され、床にくっきりと人型がついています。ビデオ店の経営がうまくいかず引きこもってしまって、座椅子に座ってテレビを観ていて、なんらかの病魔に襲われたのでしょう。ゴミが積み上がってベランダの扉も開けられません。生涯独身だったようですがご両親は健在で、とても悲しんでおられました」
高齢者は介護保険の申請などで行政との繋がりができるが、中壮年にはそういう機会もない。そこに落とし穴があるという。
「妻子に逃げられて会社も辞め、死後3週間で発見された53歳の男性は、壁に“自分を管理する”と張り紙をしていました」(同)
エリート層も無縁ではない
北島三郎の次男、大野誠さんの話に戻れば、「おとなしく地味で、ミュージシャンといっても食っていけるレベルでなく、親から小遣いを貰って生活していて、何が出来るわけでもなかったですね」 と芸能記者。重なるものが感じられないか。
「次に孤独死しやすいのが認知症の高齢者、その次が生活保護受給者です。前者はゴミ部屋になっていることが多く、ある高齢男性は天井近くまでゴミを積み上げ、その上に布団を敷いて寝起きし、そこで亡くなっていました。生活保護受給者は行政と繋がっていても、ケースワーカーが個別訪問出来るのは3カ月に1度くらいなんです」と石見氏。一方、若くても部屋にゴミを積み上げてしまうことがあり、「41歳の女性の准看護師は、170センチの高さまでゴミが積み上がって、そのなかに人が1人座れるくらいの空間があり、そこで亡くなっていました。仕事のストレスから精神疾患にかかり、セルフネグレクトの状態に陥ったようです」
■無論、いわゆるエリート層とも無縁ではない■
「周囲に本を積み上げたソファーの上で亡くなっていたのは、一流企業に勤めていた45歳の男性で、ストレスからの休職が長びいて最終的に離職。その後、退職金を食いつぶして生活しながら“何とかしなければ”と考えていたようで、亡くなる1カ月前、地方の両親に電話をしたそうです。でも“助けて”と言えず“元気でやってるよ”。ご両親は“あのとき顔を見に行けばよかった”と悲しんでおられました。婚活用の写真も撮っていたんですが、室内には糖尿病の薬もたくさんありました。夏場、死後1カ月半で発見されたので、部屋は大変でした」
■悲惨な死を防ぐためには■
さて、『孤独死のリアル』の著書もあ淑徳大学の結城康博教授は次のことをぜひ伝えたいという。「孤独死の場合、事件性を否定しきれないので、第一発見者は民生委員やヘルパーさんでも、警察で2時間ほど事情聴取されます。つまり自分で発見してしまうと疑われかねないので、まず警察に電話し、警察を第一発見者にすることです。孤独死は玄関の扉を開ける前から、ハエや臭いなどで解りますから」
■では、自身が、あるいは親族が孤独死しないために何を心がければいいか■
「東日本大震災から半年ほど、孤独死がピタリとなくなりました。ゼロではないものの、かなり減ったのです。みんないろんな人に連絡をとり、安否確認していたからでしょう」
という石見氏の言葉にヒントがありそうだ。長尾院長が提言する。
「何かあったときに託せる仲間を作ってほしい。近所のスナックに顔を出してお喋りするとか、メル友を作るとか、ヤクルトや牛乳をとって配達のおばちゃんと挨拶を交わしておくなど、ネットワークを築くことが大事。ヤクルトや新聞が溜まっていることだって、安否確認になるんです」
そうして悲惨な死を防ぐことが社会の利益にもつながるのは、言うまでもない。
記事・画像 引用・参考元 Yahoo News <デイリー新潮>
画像元 yjimage
コメント