世の中荒んでいる!? 「お客様は神様」今は昔 行き過ぎ言動後絶たず
かつて流行し、今も社会に根付く「お客様は神様です」という言葉が問い直されている。店員に土下座を要求したり、駅員に詰め寄ったりと、一部の客の行き過ぎた言動が後を絶たないためだ。他人への不寛容な風潮は強まるばかり。自らの心を押し殺して接客せざるを得ない労働は「感情労働」と呼ばれ、それが必要な職場で働く人を守ろうと、国に対策を求める動きも出てきた。(段 貴則)
「1本の電話で1時間以上、苦情をうかがうこともある。さすがに悪意のある言葉を聞き続けると、心まで疲れ果ててしまう」
兵庫県内の企業で、客の苦情などに対応するベテラン男性社員はこぼす。人格を否定されたり、「家まで行くぞ」と脅されたりする電話も受ける。
「感情を抑えられない人が多く、こちらが女性社員の場合だと、かさにかかって牙をむいてくる」。言いがかりなどに対応する研修の開催も重ねている。
飲食や鉄道など不特定の客と接する感情労働の現場では、客からの苦情や暴力も多い。
昨年9月、列車遅延で客に対応していた近鉄の車掌が制服を脱ぎ捨て、高架駅の線路から約8メートル下の地面に飛び降り重傷を負った。ネット上では車掌をかばう声も上がった。
この事例を受け、同12月、大阪市内で感情労働に関する集会が開かれた。感情労働従事者の権利を守るための韓国・ソウル市の条例を紹介。同市が職場環境の改善を支援する計画を3年ごとに作るほか、実態調査などの実施を定め、企業にも職場内で助け合う仕組みなどを義務付けたという。会場からは「日本では、お客様は神様という風潮が強く残っている」との指摘も。
集会の主催団体が加盟する全国労働安全衛生センター連絡会議(東京)は、労働者が追い込まれる事態を防ごうと、客の暴力行為などの実態調査や対策を厚生労働省に申し入れた。
「お客様は-」は昭和を代表する演歌歌手、三波春夫さんのフレーズとして流行した。ただ、三波さんの公式ホームページでは「お客様は聴衆。飲食店などのお客様ではない」と説明。「三波本人の真意と違う意味で使われている」「クレーマーには格好の言い分になっている」と現状を嘆いている。
■従業員の人権に理解を
【鈴木謙介・関西学院大准教授(理論社会学)の話】 日本の感情労働は海外と比べても特殊。働く人は際限なく笑顔などが求められ、その対価も客の笑顔などの感情で受け取っているのが現状だ。使用者は給与と引き換えに労働力を提供してもらうのであり、感情はその対価にならないことを理解しなければならない。客側も、従業員には人権があり、職務として接することを理解すべきだ。
引用・参考元 Yahoo News <神戸新聞NEXT>
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