通貨政策で米中が手を組み、アベノミクス=安倍政権は追い込まれる!☜その時歴史は動く! さあ!どうする!
23日付の日本経済新聞の「米、譲れぬドル高是正」と題したワシントン発の記事の中に不気味なことが書いてある。21日に閉幕したG20(20カ国財務相・中央銀行総裁会議)は大した中身もなしに終わったが、その裏側では共和党関係者やエコノミストら100人が集まって、「ドルは強くなりすぎている」というトランプ大統領の発言を受けてドル高是正の方策を協議した。
そこでは、為替相場の安定を目指して主要国間で新しい通貨協定を結ぶというアイデアが浮上し、その構想で米国が〈手を組む第一のターゲットは中国だ〉と、こう書かれていた。
〈北朝鮮問題で協力関係を探る米中だが、トランプ政権は通貨政策でも中国とは利害を一致させられるとみる。……米中がドル高是正で合意するような事態になれば日本は打つ手を失い、追い込まれる。……円安と金融緩和で生き永らえてきた「アベノミクス」もその波間で翻弄されるリスクが高まっている〉
ちょっと待て。トランプは選挙中から中国を為替操作国に認定すると公約していたし、2月下旬のロイターとの独占インタビューでも「中国は為替操作のグランドチャンピオンだ。その持論は変わっていない」と明言していたではないか。証券アナリストに聞くと、こう言う。
「君子は豹変するのです。トランプは、中国がこの4~5年ほどはむしろドル高を抑制する為替介入をしてきたという事実を知らなかった。最近になってそれを知って驚いて、先の米中首脳会談で習近平に直接確かめたら、その通りだったというわけです。それで、為替操作国認定どころか、一気に通貨安定すなわちドル高是正のためのパートナーという位置付けに変わってしまった」
そうなると困るのは日本だ。今やアベノミクスは矢尽き刀折れて、官邸主導の円安誘導と株価維持だけで何とか崩壊を防いでいる状態であるというのに、米中が示し合わせて日本を為替操作国として非難し、円高アタックをかけてくるやもしれない。
「アベノミクスはいよいよ破綻があらわとなり、『中国包囲網』外交も宙に浮いて、安倍晋三首相が急転直下、追い込まれるという局面もあり得るというのが、市場の見方です」(同アナリスト)
トランプとゴルフをしたことをいつまでも自慢している場合ではないのである。
Profile 高野孟
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
記事・画像引用・参照元 日刊ゲンダイ<永田町の裏を読む 高野孟>
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