<再三再四の強行採決!働き方改革法成立>「高プロ」不安、裁量ない…労働者の声!良い法律なら強行採決の必要ないはず!
■高度プロフェッショナル制度とは!?■
高収入の一部専門職を労働時間規制から外す制度。対象は年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタント、研究開発職など「働いた時間と成果の関連性が高くない仕事」が想定されており、職種は省令で定められる。残業時間に対して割増賃金を支払うという労働基準法上の規定が適用されなくなる。健康確保措置として、年104日の休日(週休2日のことで、それ以上休日が増えることではない)取得を義務化した上で(1)働く時間の上限設定(2)終業から次の始業まで一定の休息を確保する「勤務間インターバル」(3)連続2週間の休日取得--などから一つを選択することになっている。
■またまた強行採決で、働き方改革関連法が29日成立した■
働き方改革関連法が29日、成立した。残業時間の上限規制や非正規労働者の待遇改善など、企業にとっては規制が強化されるが、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)を導入する規制緩和策も盛り込まれた。労働者はそれぞれの立場から、成立をどう受け止めたのか。【市川明代】
「会社は絶対に高プロを適用してくると思います」。東京都内の外資系IT企業で働くシステムエンジニアの男性(53)は言う。「年収要件が引き下げられ、対象が拡大したら体を壊す人が増えるでしょう。責任感のある誠実な人間ほど、無理をしてしまうんです」
顧客は金融業界や流通業界。常に複数の仕事を抱え、深夜労働が常態化している。新規プロジェクトの開発やシステムの入れ替え時には徹夜になる。裁量労働制を適用され、何時間働いても「みなし労働時間」分の給与しか支払われない。効率的に仕事を進めれば、次の仕事が回ってくる。「裁量はありません」と言い切る。
☝ 子息を過労死させられた遺族が傍聴する中、非情にも強行採決した政府・与党
職場では午後10時に「蛍の光」が流れる。賃金の深夜割り増しの合図だ。働き方改革の一環で始まった。だが、誰も席を立たない。割増賃金の受け取りは上司への事前申請が必要だが、「理由を問い詰められるのが苦痛で、出してません」と話す。
いわゆるバブル世代。何度か大規模なリストラがあり、入社時に200人いた同期は片手で数えられるほどになった。給与も減った。管理職はヘッドハンティングでコロコロ代わる。若手は「希望を見いだせない」「激務に耐えられない」と辞めていく。
病気がちの妻と2人暮らしで、家計は楽ではない。「裁量労働制を適用されたのも、会社のコスト削減の為でしかなかった。高プロを突きつけられたら、首を切られるよりマシだと思ってしまうかも知れません」と弱い立場を口にした。
都内で派遣社員として働く女性(38)は「非正規は、チャンスさえ与えて貰えない。努力丈ではどうしようもない理由で差別されている」と言う。成立した法律が実効性のあるものになることを願っている。
就職氷河期世代。通信制高校卒業後、フリーターになった。20代後半で簿記の資格を取得し、正社員として零細の輸入販売会社に3年間勤めたが、ドロドロした人間関係に巻き込まれて退職した。その後、専門学校の簿記講師として半年ごとの契約更新を繰り返した。学生数の減少に伴う経営悪化で業務委託に切り替えられ、生活が苦しくなったところで再び転職を決意した。
以来、正社員、契約社員、派遣社員……とさまざまな雇用形態で働いてきた。どの企業でも経理の仕事をしたが、非正規は主要な会議に出席できず、意思決定にも関われない。正社員と違いキャリアとして認められないことに不満を感じる。細切れの経歴は転職市場でも不利になる。「ハローワークでやっと正社員の仕事を見つけたら、ブラック企業でした」
正社員との待遇差で納得できないのは賞与だという。働き方改革関連法は同一労働同一賃金で、仕事内容が同じ場合の差別的な扱いを禁じ、さらに仕事内容が同じでなくても「不合理な相違を設けてはならない」とする。基本給の格差解消はハードルが高いというが、手当や賞与にはある程度の効果があると期待される。
女性は強調する。「賞与が労働者への利益配分なら、派遣社員や契約社員にも還元してほしい。悔しい思いをしながら、みんな頑張っているんです」
■どんな職種でも待遇でも、時間管理なくしてはいけない■
高プロの対象と想定されている人たちからは、今のところ制度の新設に対して強い懸念の声は上がっていない。ただ、対象業務や年収要件は、国会審議を必要としない「省令」で変えることができる。過労死遺族や労働界からは、将来、要件が緩和され、対象が拡大するのではとの懸念が出ている。
勤務医だった夫を過労死で亡くした「東京過労死を考える家族の会」代表の中原のり子さん(62)は、「専門職だろうが、自分で働き方や仕事量を選べる人は、どれだけいるだろうか」と訴える。
中原さんの夫(当時44歳)は、東京都内の民間病院の小児科医だった1999年8月、病院の屋上から飛び降りて命を絶った。亡くなる半年前に小児科部長代行に昇進。6人いた小児科医のうち3人が退職し、1日半連続で働く当直に月8回入ることもあった。
病院にタイムカードはなかった。死後に起こした過労死を巡る裁判には8年近くを費やした。
高プロは労働時間を管理する必要がなくなる分、過労死しても事後の検証は難しくなる。中原さんは「どんな職種でも待遇でも、時間管理をなくしてはいけない」と強調する。【神足俊輔】
<私見> 首相は常々言う。「同一労働・同一賃金」と。しかし「同一賃金」の実際に向かっている方向は、正規労働者の賃金の方向ではなく、非正規の「賃金の方向」である。与党提案の法律案には、一見「妥当性がある」文脈も、実は全く正反対の意味だったりする「2重性」が存在する。ここを「見抜けぬ国民」が実に多く、単純に「自分の労働環境と賃金が好転する」と思い込んでいる。自分で自分の首を絞めているのだから何をかいわんやである。
首相も国会で質問を受けて、答弁に窮し、働き方改革は、「経済諸団体からの要請だ」と思わず吐露してしまった。要するに経営者からの強い要請があったということである。国民の多くを占める「勤労者」のために寄与する法律ならば、国民の大半の人の為になる「改革」となるということであり、なにも「強行採決」などをする必要がない筈である。
また高プロの適用範囲も、一定の制限が掛かっているように見えるが、法律成立後、国会審議なしで、「省令」で、範囲を拡大することが可能である。事実竹中平蔵(パソナグループ会長=「正社員をなくしましょう」発言が問題となっている)が法成立前から、「範囲は拡げるのが望ましい」と表明していた。こうまで将来がどうなるか分かる状態で、尚且つ「働き方改革」などという美名のもとで、ますます勤労者の立場が悪くなる法に、(経営者ならともかく)勤労者が、「何でも反対する野党」などと言って、賛意を表明することは、「自分で自分の首を絞める」ことになっていることに気づかないと、労働環境と自分の生活環境は堕ちる一方になる。目を覚まさないといけない。
記事・画像 引用・参考元 Yahoo News(毎日新聞)
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