政治家と官僚は尾畠春男流の「正直で、実直!」“対価を求めない生き方”に学べ!あなた達の向き合うのは「国民」である!
藤沢周平さんが愛した店として、練馬区大泉学園の鰻屋さんがNHKの「サラメシ」で紹介されていた。藤沢さん、鰻がお好みかと思ったら、国産の大振りのもも肉をじっくり、醤油強め、さっぱりした味付けの「とり重」が定番だったという。来客には「鰻重」でもてなし、自分はいつも「とり重」だったと店主が語る。藤沢文学に登場する市井の人たち、下級武士たちは、彼のこうした人柄から生まれてきたのだと思った。その藤沢さんの口癖は「普通が一番」だった。
そんな普通の人、尾畠春夫さん(78)に学ぶところは実に多い。この夏の暑い盛りに一服の清涼剤のような出来事が、「2歳の理稀ちゃん無事発見」だった。山口県周防大島町で3日間行方不明になっていた藤本理稀ちゃんが、ボランティアで山に入っていた大分県日出町の尾畠さんによって発見された。彼については、大マスコミも週刊誌もさまざまな角度から報じているが、多くの人が感銘を受けたのは、彼の口から発せられる「普通の人の普通のことば」だった。
発見された直後、家族がお礼をしようとすると「そういうものは受け取らんことにしている」と断る尾畠さん。汗塗れ、埃塗れなのを見かねて風呂を勧めると、「いやそういうことはして貰わんのです」とサッサと引き揚げた。彼の“ボランティア道”は、「対価を求めたり、品物を受け取ったり、飲み食いさせて貰う様なこと」は絶対しない。困っている人に、少しでも負担を掛けないことだ。「偶に水ぐらいよばれることがあるかも知れん」と大分弁で語っていたが、とにかく徹底して対価を求めない姿勢が共感を呼ぶ! 彼にすればそれは実に「普通」の当たり前なことなのだ。
それに引き換え、日本の「普通でない優秀な人たち」の何という体たらくなことか。文部科学省の前局長佐野太被告が、自分の息子の裏口入学の見返りに、東京医大への補助を拠出する。ボクシング連盟の山根明会長の言いなりになることで、その行き着く先には人事と助成金がある。
書き出すとキリがない「普通」でない人たちは、見返りに金や地位や保身を求める。あれ程社会の耳目を集めた森友・加計問題も、安倍首相のお友達であることの見返りに、特別な許認可を得た。財務官僚たちは首相やその夫人のために公文書を改竄したり、廃棄したりやりたい放題。それを摘発すべき検察も自己保身と将来の栄進を見越してなのか事件にさえしようとしない。
しかしこうした事件や出来事は、次々に起きる新しい出来事に取って代わられる。自民党や公明党の党員、支持者ですら「おかしい」と疑念を持ち続けた森友・加計疑惑は、いまやすっかり忘れ去られようとしている。そして渦中の人物、安倍首相の3選が、当然の如く語られ、「寄らば大樹の陰」とばかり、国会議員も党員たちも支持に回ろうとしている。それは何故か? 行き着く先は、首相が議員たちにチラつかせている人事や権限などの対価、つまりエサがあるからだ。そこには政治家としての理念も矜持もない。
「普通」の人、尾畠さんの行為が清々しいのは、学歴のある、権威のある人達が、いつも見返り丈を求めて甘味に群がる蟻のようで、「普通」でないからに他ならない。
(私見)
国会議員・公務員は、特定の個人に、奉仕するものではなく、あくまでも国民の為に奉仕するものでなければならない。今の政治は、国民には目を向けず、己の出世第1に、特定の個人を忖度し、不正も、嘘の答弁もものともせず、「王様は裸」とも言えず、国会議員・公務員の矜持もなく、唯々言いなりになっている。そんな世の中が正しい訳がない。
尾畠春男さんは、そんなじらだくな社会に、身をもって警鐘を鳴らしている様に見える。
日本人は本来、自分の損得を度外してまで、世のため、人のために尽くす民族だった。それが今や、権力者自ら、自分の利益のみに目が行き、国民の存在など眼中にない。そんな存在を、糺すでもなく、のうのうと許容し、唇寒しとばかりに沈黙している。自民党国会議員の8割が安倍支持だという。そういう中で、日本がどんどん堕ちていき、先進国の中でも、最低の国に堕ちようとしている。
尾畠春男さんの様な生き方を取り戻し、まっとうなことが通る社会を取り戻す必要がある。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ
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