世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”素晴らしい効果があるのに、どうして姿を消そうとしているのか!?
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラ
スチックの粒子が使われている。その粒子が……。
最近、スクラブ製品(古くなった角質層を取り除く効果があると言われている)が、世界的に注目されているのをご存じですか? 私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉、クリームなどの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が、実は生態や自然にとって、非常に危険な物質であると指摘されているのだ。
そして今世界では、マイクロビーズを含んだスクラブ製品は近い将来、販売停止のあおりを食って完全に姿を消すと見られている。日本でも無論使われている。今まで有害な物質、例えばトランス脂肪酸などの対応問題があり、世界の対応に比べて、日本は非常に鈍感で、やることも後手に回る。そんな非常に稚拙な日本でも、世界の流れが波及し、全面中止の方向へ行くだろう。※(誤解ないように言っておくが、すべての「スクラブ」がプラスチック粒子を配合しているわけではない……例えば、植物性のスクラブもある)
2015年12月28日、米国である法律が成立した。バラク・オバマ米大統領が、「マイクロビーズ除去海域法」という法案に署名し、法律が成立したのである。これによって米国では2017年7月から、スクラブ洗顔やせっけん、歯磨き粉に入っているツブツブ(マイクロビーズ)が製造禁止になり、その1年後の2018年6月には販売が全面禁止になる。<即ち有害故に全面禁止となる>
米国がマイクロビーズの使用を違法にすることにした背景には、この小さな粒子が環境に与える大きな悪影響がある。マイクロビーズの粒子は洗顔などの後に下水管を通って処理される。だが微粒子のために下水処理施設のフィルターなどを通り抜けてしまい、そのままの形で自然界に流されてしまうという。そして湖や池、海などに流れつくのだ。
こうした粒子は殺虫剤のような毒素や重金属など有害物質や汚染物質を吸収する性質がある。魚が有害物質を吸収した粒子を食べるため、その後、人間が汚染された魚を食することになる。要するに、食物連鎖に毒素を入れ込む媒介になっているのだ。
【スクラブ製品の動向が、世界的に注目されている】
このマイクロビースは生体も環境も破壊しかねないという、とにかくとんでもない危険な代物なのである。マイクロビーズとは、直径が0.5ミリ以下のプラスチック粒子を指す。石油化学製品であるポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどで作られているケースが多い。例えば、米ニューヨーク州司法長官のオフィスが2014年に行ったマイクロビーズによる影響のアセスメントによると、年間19トンのマイクロビーズがニューヨーク州付近の海に流れ出ているという。
そもそもこの問題はいつ表面化したのか。世界で最初にこの問題を大々的に提起したオランダの環境団体「プラスチック・スープ・ファンデーション(PSF)」のプログラム責任であるジェローン・ダジェボス氏に取材した。「私たちはもともとプラスチックによる環境汚染について声を上げてきました。マイクロビーズの運動を始めた当時、規制している国は何処にもなかった。世界中の化粧品からマイクロビーズをなくすべく活動を続けています」と、ダジェボス氏は言う。
以前よりプラスチック製品が海など自然界に多大なる汚染をもたらしているとの指摘はあった。だが2012年にPSFが、マイクロビーズに特化した活動を始め、化粧品などのバーコードを読み取ることでマイクロビーズが含まれるかどうかを調べることができるアプリを発表。国連環境計画なども活動に参加し、マイクロビーズ問題は世界的に注目されるようになった(国連環境計画は2015年に化粧品とプラスチックについての調査結果を発表している)。
【マイクロビーズは食物連鎖に毒素を入れ込む媒介になっている】
こうした動きを受けて、英蘭企業の日用品大手ユニリーバは、2012年にマイクロビーズを含む商品を排除していくと発表。さらにその翌年には、具体的な日程こそ明らかにしていないが、米プロクター&ギャンブル(P&G)や、仏企業のロレアルといった化粧品企業も排除していく方針を示している。すると米国では、州ごとに次々とマイクロビーズを禁止する法律が作られる。オバマが連邦法に署名する直前の2015年10月までに、9つの州が禁止法を成立させていた。
実はこの問題、米国以外でも迅速に対応している国がある。オランダだ。オランダは、2016年末までにすべてのマイクロビーズ商品を排除する方向で動いており、化粧品業界もすでにその政府の意向に合意をしている。また政府を挙げて欧州連合(EU)に対しても禁止するよう働きかけを行っており、欧州最大の化粧品業界団体であるコスメティック・ヨーロッパは、2020年までに企業へ自発的にマイクロビーズを排除するよう求めている。また英国も「英政府と大西洋の北東地域を守るオスロ・パリ条約を結んでいる関係各国は、2014年に海洋環境のゴミ問題について取り組む地域活動計画に合意している。マイクロプラスチックに関連する行動も含まれており、化粧品やパーソナルケア商品でマイクロプラスチックを自発的に排除するよう促している」と発表している。国民の健康や、環境問題として、対応が非常に速い。
【翻ってわが日本での状況】
では日本での状況はどうなっているのか。日本では、1980年代にマイクロビーズを含んだ洗顔料がヒットしたことで“スクラブ”は市民権を得た。そして現在でも、毛穴の汚れを取るといった効果を売りに美容に敏感な人たちの間で人気の商品となっている。近所のドラッグストアやコンビニに行けば、スクラブ商品はすぐに手にはいる程身近になった。ただ多くの化粧品会社で対策が遅れているという声が出ている。
実のところ、日本政府はこの問題を認識している。2014年に日本近海でプラスチックについて調査を行っており、環境省はマイクロプラスチック(5ミリ以下のプラスチック片で、マイクロビーズを含む)についてこう説明している。「サイズが5mmを下回ったものをマイクロプラスチックと呼び、これまで数百μmから1mm程度の大きさを持った微細片の浮遊が、世界各地の海域で確認されています。動物プランクトンと同程度の大きさを持ったマイクロプラスチックは、魚類等による誤食を通して容易に生態系に混入するため、その表面に付着した汚染物質の生物体内への輸送媒体になる可能性も指摘されています」
ちなみに日本周辺はアジア諸国から出るプラスチックごみが集まる海域として知られている。また魚をよく食べる日本人は有害物質を飲み込んだ魚を体内に入れている可能性があるため、政府は早急に問題に取り組む必要がある。
【洋服に使われているマイクロファイバー】
化粧品最大手の資生堂では、こうした問題を鑑みて、2年前からマイクロビーズの使用を止めている。この流れは、昨年末のオバマ大統領による署名でさらに強くなっていくだろう。日本でも、その動きが広がることは間違いない。
PSFのダジェボス氏は、「私たちの考えでは、化粧品に限るとマイクロビーズを使うのは“設計ミス”だ。消費者は歯磨き粉やシャンプーなどにマイクロビーズを入れて欲しいなんて考えていないし、マイクロビーズの代わりになる代替材料が存在すると私たちは考えている」と指摘した。
マイクロビーズの問題提起を成功させたオランダのPSFは、次は洋服に使われているマイクロファイバー(合成繊維)が海などに流れ込むことを食い止める活動を始めるという。というのも、マイクロビーズ同様、アクリルやナイロン、ポリエステル素材を洗濯することによって、大量のマイクロファイバーが下水などからフィルターを抜けて、自然界に流れ出ているという。例えばポリエステルのフリースを一度洗うことで、100万の繊維が流出するということだ。
同団体のダジェボス氏はこう意気込む。「すでに世界中のNGOなんかと協力しています。今後は活動を成功させるためにも、中国や日本でもその活動を広げていきたい」
※どうような問題として、トランス脂肪酸の問題も存在する。主にマーガリン、ショートニング、乳化剤などに関わっている油脂だが、自然界には存在せず、その分子構造は「プラスチック」のそれに酷似している。欧米では既に禁止か、中止の方向へ行っているが、日本は非常に遅れており、大甘な対応になっている。即ち消費者重視よりも、企業重視の結果となっている。
そもそも「・・・自然界に存在しない」ということに、もっと関心を持った方がよい。人類は、そもそも自然界の一部と存在して来たのであり、それらの環境に馴染んで今日まで命を繋いできたのである。150年ほど前に、化学物質、化学合成されたものが、発明され、馴染んできた自然のものが、この化学合成されたものにとって代わって、今日の「便利な」社会を作ってきたという訳だが、その反動として厄介な問題を我々に突き付けてきた。即ち
それらは生体に馴染まないが故に、生体にストレスを加え、肝臓でも解毒出来ずに、生体内に蓄積し、結果「酸化ストレス」を発生させ、病気の90~95%の発症原因とされる活性酸素<=過剰反応酸素>の過剰発生を招くのである。今日昔にはなかったといわれる、「〇✖症候群(=何が何だか原因がさっぱり解らない病気という意味)というものが多発しているのも、こういうことが原因といわれる。
したがって、やたらに出てくる新製品が、「凄~く!美容にいいんだって!?」などと、すぐ飛びつくのも考え物だ! 某メーカーの美白化粧品だって、綺麗になるどころか、皮膚の表面が、斑になったりして、大騒ぎになったのもそれ程昔の話ではない。現在においては、原価率低減、省力化、効率化などの問題で、ありと全ゆるものが、化学合成されたものにとって代わっている時代・・<水を飲んでも、空気を吸ってさえも>・・すなわち病気にならないのが不思議という時代に生きている(存在している)ということを忘れてはいけない。
引用・参考元 ITmedia <ビジネスオンライン > 山田敏弘(ノンフィクション作家)
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