政界動向! 森友、小池、共謀罪 3つの難問に直面する安倍が打つ手は何か !

この国の行方

政界動向! 森友、小池、共謀罪 3つの難問に直面する安倍が打つ手は何か!

 

「事実は小説よりも奇なり。私が申し上げていることが正しゅうございます」

3月23日、国会。午前は参院、午後には衆院で計約4時間半に及んだ学校法人「森友学園」理事長・籠池泰典の証人喚問は、まさに「籠池劇場」だった。NHKの平均視聴率は、関東地区で16.1%、関西地区が17.7%。民放も競うように中継した。関心の高さがうかがえる。「金子(きんす)」「神風」など、独特の言い回しをちりばめながら、首相の妻昭恵から100万円を受け取ったこと、昭恵付きの職員・谷査恵子から、財務省への照会結果を知らせるファクスを受け取ったことなどを生々しく語る籠池の姿を、日本中が食い入るように見つめた。

■閣僚Sは誰だ■

 

「これまで法相の金田勝年や防衛相の稲田朋美が集中砲火を浴びていたが、最近は私にお鉢が回った。2人にはいい休養だ」 3月初旬まで安倍は、国会で再三質問を受けても、宴席でこんな軽口をたたく余裕があった。森友問題についての受け止めは〈大阪で少し不自然な国有地売買があり、籠池という個性的な人物を面白がってマスコミが騒いでいる〉という程度だったようだ。状況が一変したのは16日。籠池が「安倍夫人からの100万円」を暴露した時だ。 予兆はあった。前日の15日、「閣僚S」が森友側とカネの授受があるという情報が流れたのだ。イニシャルSの閣僚は官房長官の菅義偉、厚労相の塩崎恭久、経産相の世耕弘成の主要閣僚3人いたが、事実なら政権には大ダメージだ。ところが翌日、出てきたのは主要閣僚どころか首相にからむ話だった。Sとは「シンゾウ」だった……。

 

「全くとんでもない話だ」「あんな嘘を許してはいけない」 同日夜、首相公邸に参院国対幹部を招いて開いた夕食会。安倍は甲高い声で、まくしたてた。そして安倍自身が籠池の証人喚問を主張した。その時は菅や参院自民党国対委員長代行の石井準一らが「まず参考人でやって、それでも問題があれば喚問でいい」と説得。安倍も冷静さを取り戻し「現場に任せる」と矛を収めた。ところが今度は衆院の自民党国対委員長・竹下亘らから「衆院側は喚問の方向だ」と連絡が入り、石井らは食事には殆ど手をつけずに国会に戻っていった。

 

喚問での自民党側の戦略は明確だった。籠池は、経歴詐称疑惑があるなど、不確かな言動が多い。そこを突き、あわよくば偽証を引き出して告発。そこまでいかなくても籠池の発言が信用できないと世間に示せれば十分だった。しかし思惑は外れた。 特に谷からのファクスが明らかになったのは痛かった。安倍は国会で「私も妻も、認可や払い下げに関係ない。関係していたなら、総理大臣も国会議員も辞める」とまで断言した。ファクスはまさしく「関係ない」を揺るがすものだ。

首相官邸は、内容に後ろ暗いところはないと強調するために、即座にファクスのコピーを公表した。ところが谷の携帯電話、メールアドレス、森友側のファクス番号もそのまま公開してしまった。 そもそも首相夫人の位置付けはあいまいだ。特に昭恵のような“自由人”だと、公私の判断が難しい場面が増える。官房副長官・杉田和博らは、各国の首脳夫人の位置付けを子細に調べたが、明確なガイドラインは見つからない。ファーストレディーの位置付けは、どの国も曖昧なのだ。だからこそ「アッキード疑惑」は対応が難しい。

 

24日の自民党の副幹事長会議では「籠池は大阪府知事・松井一郎を一番憎いと言っている。大阪の問題にして国政とは切り離すべきだ」という意見が相次ぎ、大阪選出議員が府議会に調査特別委員会(百条委)の設置を促すことを申し合わせた。「国政問題でない」とすることは、籠池を攻めて偽証に追い込もうという当初方針からの後退に他ならない。この日、大阪府議会では、本会議で自民党提出の百条委の設置動議の採決が行われた。だが民進、共産は賛成したものの、大阪維新の会と公明党が「時期尚早」と反対して否決されてしまった。

 

■「疑惑」のつまった3日間■

 

2015年9月3日から5日までの3日間。首相動静やその他の資料を読み解くと「森友」関連での激しい動きが読み取れる。

3日 首相官邸では財務省の理財局長・迫田英典が安倍と面会。

4日 安倍が大阪を訪れテレビ出演。帰京前に元国土交通相の故・冬柴鉄三の次男が経営する大阪市内の飲食店「かき鉄」で秘書官を交えて歓談。

5日。今度は昭恵が大阪に入り「森友」系列の幼稚園で講演。昭恵は同日、小学校の名誉校長に就任。問題の「100万円」の寄付も、この日に行われたと籠池は証言する。

ネット上には「安倍と迫田の会談で国有地売却が話された」「冬柴の次男は元銀行幹部。そこで森友学園への融資が決まった」「安倍は大阪で籠池と密会した」などの憶測が溢れる。

安倍が大阪で籠池と会った可能性もゼロに近い。実は政治記者にとって「15年9月4日」は忘れられない1日だ。安倍の大阪行きに際し「大阪市長・橋下徹と会談する」との観測があった。夜になると今度は、安倍が体調を崩したという情報が流れた。メディアは1日で2つの重大な未確認情報の裏取りに追われた。だから政治記者は異口同音に「あの日安倍が籠池と会ったというのはあり得ない」と断言する。 ことほど左様に、ネットなどで出回る見立ては、こじつけの域を出ない。しかし、この3日間にあまりに「森友関連」の出来事が集中していることから、噂が噂を呼び続けているのだ。

 

共同通信が3月26日に発表した世論調査では、安倍内閣の支持率は前回より3.3ポイント下がり52.4%だった。ただ、春以降の政治日程をにらむと安倍政権にとってプラス要因は見当たらない。学校法人「加計(かけ)学園」に絡む追及も始まった。安倍の長年の友人が理事長を務める加計学園が運営する大学が、政府の国家戦略特区を活用して愛媛県に獣医学部を新設する計画をめぐる疑惑だ。50年以上も認められてこなかった獣医学部新設が、なぜかトントン拍子で進んでおり、またも昭恵が関連こども園の名誉園長と、森友問題と構図が酷似する。

 

後半国会の焦点は「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案だ。過去3回廃案になった共謀罪法案の構成要件を変え「4度目の正直」を目指すが、野党は「内心の自由を脅かす」と、反対の論陣を張る。第2次安倍政権においては、特定秘密保護法、安保関連法に続く本格的対決法案となる。2つの法律に際しては、反対世論の高まりを歯牙にもかけずに成立に走った安倍。だが森友問題で傷ついた安倍にその余裕が残っているだろうか。

 

もう1つ、安倍自民党にとっての懸念材料は、都知事・小池百合子の存在だ。昨年、都知事に就任したころは、早晩自民党とよりを戻すとの見方が強かった小池だが、元都知事・石原慎太郎、そして都議会自民党との対決姿勢を日に日に鮮明にしている。公明党と政策合意し選挙協力も約束、都議会での自公蜜月は崩壊した。決戦の場は7月2日投開票の都議選だ。この結果は中央政界にも直結する。

 

焦点は小池率いる「都民ファーストの会」と、公明党で過半数「64」を確保できるか否か。各党が非公式に行った情勢調査が飛び交うが、どれも傾向は同じだ。7つある1人区は全勝で「都民」が60程度を獲得する。自民は過去最低の38を大幅に割り込み20議席前後。民進党は壊滅的な敗北を喫する、というデータだ。いずれにしても、20以上は確保する公明とあわせれば過半数を大きく上回る可能性が高い。 一方、自民党の動きは緩慢だ。3月21日、党本部で開かれた執行部と都連、都議らとの会合。ここでは都連側から、昨年の都知事選で党方針に反して小池を推した議員らの「けじめ」を求める声が出た。都議選に向けて全力を挙げるべき時に、過去の話を蒸し返す姿に、幹事長・二階俊博らは唖然とした。小池との将来の連携も選択肢に残す二階は都議らに向かい「けじめをつけることがあなた方の選挙に有利になるのか」と言い捨てた。

森友、共謀罪と小池。3つの難問に直面する安倍が打つ手は何か。安倍に近い産経新聞は、3月以降、さかんに早期解散論をぶってきた。20日朝刊では「4月23日総選挙あるか」との記事を1面トップに掲載している。 ただ、かねて早期解散に慎重な菅は今回も手綱を引く側に回った。二階も同様で、安倍と会った際「解散は1人で出来ますか」とクギを刺している。野党に攻められている時の解散は常識ではあり得ない。「疑惑隠し」との批判も浴びる。火付け役の産経も28日朝刊で「4月総選挙見送り」と軌道修正し、解散風は沈静化した。 しかし、解散は首相の専権。その気になれば「1人で出来る」のもまた事実だ。森友問題や共謀罪で野党があくまで抵抗を続けるなら、信を問う可能性は依然残る。小池新党の機先を制することにもなる。もし、そうなった場合、その解散は「アッキード解散」「事実は小説よりも奇なり解散」と、ネーミングに事欠かない。一方で解散すれば、長年懸案の「共謀罪」法案は4度目の廃案となる。

 

 

引用・参考元 ヤフーニュース <文春オンライン>赤坂太郎

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170411-00002076-bunshun-pol

画像元 yjimage

 

 

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