「カール」だけではない!食品業界が商品絞り込みに走らざるを得ない理由
コンビニなどの棚どり激化、ロングセラーも聖域なし
ロングセラースナック、明治「カール」の販売が東日本で終了する。カールだけではない。今、食品業界では商品数の絞り込みが大きなな流れになっている。森永乳業はリニューアルを含む今年度の新商品を前年比約20品減らし100品以下に抑える。飲料メーカーでも数量拡大は追わず、採算性や収益を重視する方向に舵を切っている。
食品や飲料業界は俗に”千3つの世界“と言われ、年間1000種の新商品を出しても翌年残るのはわずか3品とされるくらい、商品の入れ替えが激しい。多額の開発費や宣伝費を投じた新商品も、人気のある期間は短くなる一方。際限ない体力競争が、各社を品数削減に向かわせている。
それでも食品各社が新商品を出すのは、そうしないと売り場の棚がとれないからだ。コンビニエンスストアなどは売れ筋1、2位商品と自社のプライベートブランド(PB)商品しか並べないのが通例。3位以下の企業や新規参入組は店頭棚の商品入れ替え時期に合わせて新商品を提案、アピールするしかない。
今回、明治が西日本だけ販売を継続するのは、東日本に比べると、まだ、スーパーやドラッグストアなど陳列棚に余裕のある小売業がいるためだろう。全国5工場で生産していたのを四国の1工場にして物流も効率化する。
明治はすでに家庭用ココアやベビーフードから撤退しており、さらにブランドにこだわっていては、消費者や大手チェーンから取り残されるという危機感も強い。森永乳業の宮原道夫社長も「不採算商品をやめるのは、メーカーの生き残り策として当然のこと」と話す。
消費者が定番を買う傾向も強まっている。明治の「おいしい牛乳」や日清食品の「カップヌードル」などは、値上げしても販売数量の落ち込みは軽微だった。
一方でお菓子業界ではロングセラー商品を「大人化」した商品も増えている。明治の「大人のきのこの山・たけのこ里」、不二家の「カントリーマアム(大人のバニラ・ココア)、ネスレの「キットカットミニ大人の甘さ」など、各メーカーが定番のお菓子を次々と大人向けへ展開している。
「カール」も大人向け商品を出していた。定番やロングセラーでも生き残りへの模索が続く。
【嗜好品の宿命】 菓子は衝動買い商品で、生活必需品(醤油・味噌など)に比べ、消費者とブランドの結びつきは希薄(不安定)である。そのため店舗における取り扱い、陳列箇所、陳列量などが、販売のポイントとなる。そのため、各社自社商品の売り上げアップのため、前述のモメントの競い合いとなる。一方店舗側から言えば、売れ筋のカテゴリーの拡大を求めるから、菓子に限らず売り場は縮小される傾向にある。メーカー間の競争は一層熾烈になる。またコンビエンスストアなどは、一旦採用されても、週販3個以上の売り上げが無ければ、容赦なく取り扱いカットとなる。その為一層メーカー間の競争は激化する。そういう現実を乗り越えるため、新製品は毎月出していかざるを得ない宿命にあるが、新製品育成には、経費も、時間も掛かる。なかなか定着させるのは困難だから、結局はメーカーの体力勝負になる。ロングセラー商品を数多く持っているメーカーは強いという事になる。菓子メーカーは少子化の問題も抱えており、(本来低年齢層が主要売り先となるが)、所謂「大人商品」にスライド化しているのも将来を見据えての対応だと思う。
引用・参考元 ヤフーニュース < newswitch-ind>
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