連れ合いを無くし「ショック=パニック」に陥っている老父に対して、子供はどう接したらよいか!?
平均寿命は男より女の方が5・6年多く、また(一般的に)夫より、妻の方が年齢も若いこともあり、夫の方が先に逝く例が多いが、世の中必ずしもそういう訳ではない。夫源病などという言葉もある。妻に要らぬストレスや、我儘を掛けていれば、妻の方が先に逝ってしまう場合もある。小生の隣組は、11軒だが、実に6軒が男の寡暮らしだ。女房孝行できなかった奴らの溜まり場だ!
さて妻に先立たれた夫は、我々の想像以上に大きなダメージ受け、絶望感に苛まれる。「なんで俺なんかが生き残って、あいつが先に逝くんだ…!」てなもんだ! そんなら生前もっと大事にしてやればよかったものを!と思うが、人はそういう目に遭わないと、女房のありがたさなど解らぬものだ・・・!小生も例外ではない! 妻との死別後、半年、1年後くらいで、死亡する例が非常に多い!1年で鬱病を発する率も15%も高くなる。また1年以内の自殺率も66倍に跳ね上がる。
以下は、埼玉医大国際医療センターで、がん患者の遺族をサポートする「遺族外来」の精神腫瘍科の大西秀樹教授のはなし。「一般に配偶者に対する依存度は、男性の方が高い」と指摘する。そりゃあそうだわなあ!「炊事・洗濯など家事をやらないのが夫」みたいな考えだから全面的に女房に頼り切っている。小生は単身赴任が長く、家事も自分でやるしかなかったので、慣れている筈が、家に戻っても、その間は一切何もしなかった。それでも偶に自分で飯でも作ろうかと思っても、缶切り一つ何処にあるのか解らず、それだけでもストレスを感じたものだ!」
近頃は「お友達」感覚の夫婦関係が多く、料理や育児などにも積極的に関わる夫が多くなったというが、小生の世代などは、全く関知せず、「家のことは女房がやって当たり前」という全く以って頼り切りの生活をしてきた為、そういう夫程、妻を亡くした喪失感・ダメージは想像に難くない。
先生は続けて言う。その結果、自暴自棄になって、食事を摂らなくなったり、通っていた医者に行かなくなったりする例も多い。このような精神的なダメージは、体にも深刻な影響を与えます。そもそも炊事・洗濯など家事はやって来なかったのだから、一人暮らしになったあとの生活の質は明らかに低下する。その上厄介なことに、女性に比較して、悲しみや後悔の念を引き釣り、一人で抱え込んでしまう事が多く、遺族外来の8割は男性であるという。それだけ妻に先立たれた夫は危ないのだ。
さてそのような親父を持った、離れて住んでいる子供はどうやって支えるべきなのか!? 先ず一人にはしない事。可能なら一緒に住むことや、自分のところへ呼び寄せることが出来ればベストだという。(だが親は長年住んでいたところに拘る!全く知らないところに行って孤立させてしまうのもかわいそうだ!) それが出来ないようなら、兄弟と相談して、出来るだけ顔を出して、相対してあげる。そうすれば「一人でいる不安感」を和らげることもでき、安心感が生まれる。
それに加え、近所、ヘルパー、保健所、民生委員などに相談して、出来る限り様子を見て貰える様にお願いしておく。1人状態を出来るだけ避けよう手を打っておく。
出来るだけ傍にいて、或いは顔を出して、しっかり話を聞くのも大事だという。何が問題なのか把握する。ここではあくまでも聞くことが大切で、(親切心と思って)アドバイスをしたり、(下手な)励ましをしてはいけない。「良かれと思って、掛けた言葉に深く傷つくケースが多いのだという。例えば、「時間が解決してくれる」、「早く元気にならなくちゃ!」 「これからは1人で頑張っていかなくちゃ!」などなど。更に落ち込んでしまう。配偶者を失った悲しみ、空洞感は本人にしか解りません。また、(どんなに威張っていた夫でも)「もっとはやくきづいてやれば・・・」とか、「もっといい治療法があったのではないか?」などと自分を責めているので、そういう言葉を掛けることは、更に「追い打ちをかける」てしまい、増々気持ちを追い詰めてしまう事にもなる。
どんな言葉を掛けていいか解らなければ何も言わないでおく方がベター。傍にいて、話を聞くだけで、安心感を持たせることになるのだという。もし酒浸りになっても、偶には一緒に付き合って、飲みながら、話を聞き、「(体を壊さないか)心配している」ことだけ伝える。
心の空洞を埋めようと酒を飲んで気を紛らせているのであるから、継続的に顔を出し、安心感を与えられれば、そういう代償行為も減ってくる。
小生は親が晩年まで、病気もせず元気だったため、殆どほったらかしで、親孝行も何もあったものじゃなかったが、(もう亡くして10年も経つが)未だに、なにもしてやらなかったことを後悔している。人様に言えた義理じゃないが、「するべきことは、それが出来るときに、しておくべきだった!」と思う! まさに「親孝行したい時には親は亡し。墓に布団は掛けられず!」である!
[日刊ゲンダイ 健康コラム 参照]
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