<大崎事件>90歳女性の再審決定「親族自白、誘導の疑い」 共謀罪施行後は常態化!?
鹿児島県大崎町で1979年に男性(当時42歳)の遺体が見つかった「大崎事件」で、鹿児島地裁(冨田敦史裁判長)は28日、殺人罪などで懲役10年が確定して服役した原口アヤ子さん(90)の請求を認め、再審を開始する決定をした。有罪認定の根拠となった共犯者とされる元夫(93年に66歳で死去)ら親族の自白について「捜査機関の誘導の疑いがあり、信用性は高くない」と指摘。「原口さんと犯行を結びつける直接的証拠は存在せず、殺害も死体遺棄もなかった疑いを否定できない」とした。懲役8年が確定して服役した元夫の再審開始も認めた。
原口さんは捜査段階から一貫して無罪を訴え、再審請求は今回が3回目だった。鹿児島地裁は2002年にも再審開始を決定しており、弁護団によると、最高裁が再審開始の基準を示した白鳥決定(1975年)以降、同一事件で2度の再審決定が出たのは初めて。弁護団は29日、最高検に即時抗告しないよう要請する方針。
主な争点は、原口さんとの共謀があったとした親族3人の自白を裏付けるとされた義妹の供述の信用性だった。義妹は「原口さんが親族に殺害を持ちかけた」などと供述したが、弁護側は「体験に基づかない可能性が高い」とする心理鑑定書を新証拠として提出。冨田裁判長はこの鑑定書を踏まえた上で「捜査機関の思惑に沿って虚偽供述を続けた疑いがあり、親族3人の自白を支えるほど信用性は高くない」と指摘した。
また、親族の自白についても「犯行の根幹部分に説明のつかない変遷がある。親族はいずれも知的能力に問題があり、捜査機関の誘導や迎合によって変遷した疑いがあるため、信用性は高くない」と判断した。
さらに、被害男性の死因を「首を絞められたことによる窒息死」とした確定判決を否定した弁護側新証拠の法医学鑑定書については「頸部(けいぶ)圧迫による窒息死を積極的に肯定できる所見はなく、(確定判決の根拠となった)旧鑑定の証明力を減殺させた」と指摘した。その上で「新旧の証拠を総合的に判断すれば、確定判決の事実認定に合理的な疑いが生じる」と結論づけた。
記事・画像 引用・参考元 Yahoo News <毎日新聞>【田中韻、平川昌範】
画像元 yjimage
大崎事件,冤罪,自白, 再審決定,再審,自白強要,捜査機関,証拠,
コメント