今回の総選挙の命運を分けた、小池百合子党首の「排除」発言! 「上手の手から水が漏れた」発言を引き出したジャーナリストが語る顛末!
10月22日投開票の衆院選は、鳴り物入りで登場した希望の党のまさかの大失速により、与党自身の予想をはるかに上回る自民の圧勝となる結果になった。「希望」の命運を決定付けた瞬間と指摘されているのが、9月29日の会見での小池百合子東京都知事の〝排除発言〟だ。
民進党からの合流組の一部を「排除いたします」と笑顔で言い切った姿がテレビで繰り返し報じられると、小池氏や希望の党のイメージは一気に悪化、暗転してしまった。小池氏自身も「きつい言葉で適切じゃなかった」と悔やんでいる。
小池氏から「排除」発言を引き出す質問をしたのは、『検証・小池都政』(緑風出版)などの著書があるフリージャーナリストの横田一氏だった。
■党首と横田氏の当日のやり取りの経緯■
横田氏は、いつも厳しい質問をするためか、会見で手を挙げても小池氏に中々指名してもらえない状態が続いたという。何故か半年ぶりに当てられたのがあの9月29日だった。「民進党から希望への公認申請者は排除されないという前原誠司代表の話と小池氏の話が食い違っていたので、素朴な疑問をぶつけた。『排除』発言を聞いた時は、ああ、本性が出たなと。『寛容な保守』をうたいながら、なんと愚かな発言をするんだろう」と思いました。
経緯を詳しく振り返ってみよう。舞台となったのは、都知事の定例会見で毎週金曜日の午後に、東京都庁(新宿区)の6階にある記者会見室で行われているものだ。 小池氏からの「見解」を聞いた後、記者との質疑応答が行われるが、その日は挙手した記者たちの中から、何故か横田氏が指名された。
横田氏:「フリーの横田です。前原代表が昨日、(民進党の両院議員総会で)所属議員向けに希望の党に公認申請をすれば排除されないという説明をしたんですが、一方で知事は、安保、改憲を考慮して一致しない人は公認しないと。双方の言っていることが違うと思うんですが、前原代表を騙したんでしょうか。それとも共謀して、そういうことを言ったんでしょうか」
小池氏:「すみません。横田さん。そのご質問は、この後、ちょっと場所を転換して、お答えをさせていただいた方が良いのではないかと思いますし、独特の言語を使っておられるなと今思ったところでございます。(中略)私は今、都知事としての会見をやっている訳ですから、ちょっと待ってくださいね」
■このやり取りには説明が必要だろう■
小池氏は定例会見では都知事の立場で受け答えをするため、最初から、都民ファーストの会特別顧問や希望の党代表としての質問は受け付けないルールになっている。 このため、会見後に非公式の取材というかたちで政党関係の質問を受けることになっていた。
定例会見と違って都のホームページでのネット中継もされず、議事録にも掲載されないという違いはあるが、同じ取材陣が同じ会見室の同じ席から質問をするため、実質は同じようなものだ。
■ともあれ、このような理由で小池氏は回答を一旦、保留■
その数分後に非公式取材に転んずると、小池氏は待ち構えていたかの様に最初に横田氏を「逆指名」した。
小池氏:「では、横田さんもう一回いきますか」
横田氏:「繰り返しになりますが、前原代表が昨日発言した『公認申請すれば排除されない』ということについて(中略)前原代表をダマしたのでしょうか。共謀して、リベラル派大量虐殺とも言われているんですが……」
ここで小池氏が「音声入ってないの?」と質問を遮った。 横田氏のテーブルに備え付けられたマイクが作動していなかったためだ。 横田氏が「最初から(言いますか)?」と応じると、報道陣の複数の席からは、あからさまな笑い声が漏れた。
横田氏の質問の表現が過激だったことや、前述の定例会見時から知事とのやり取りが噛み合っていなかったことなどもあったのか、会見室には小池氏を追及するのではなく〝空気を読まない〟質問をする横田氏を嘲笑するかのような、弛緩した空気が充満していた。
小池氏も上機嫌で笑っていた。 小池氏が〝運命の一言〟を放ったのは、まさにこの瞬間だった。(党首はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いを感じ、「横田何するものぞ!」という意識があったのではないか!?)
小池氏:「わかりました、お答えします。前原代表がどういう表現をされたか承知をいたしておりませんけれども、排除をされないという事はございませんで、排除いたします」
油断から思わず出たホンネだったのか、結果的には〝笑いごと〟では済まない発言となり、選挙の大勢を決定付け、党首自身の運命をも狂わす一大事になってしまった一瞬だったのである。
’☝ 自分自身に問え!
■横田氏がこう振り返る■
「小池氏には、会見場は自分のフィールドだという油断があったのかも知れませんね。結果的に小池氏のホンネが早い段階でハッキリしたことで、枝野幸男氏らの立憲民主党の結党が公示前に間に合ったのは結果的に良かったのかも知れません」
メディア戦術に長けた勝負師が見せた、「上手の手から漏れた水」の一瞬の油断だった。何処かに、この党首の「本質的な何か」が垣間見えたのかも知れない!有権者の顰蹙を買う「本質」が、「希望の党と党首」の行く末を、モノの見事に暗転させてしまった。
記事・引用・参考元 Yahoo News <週刊朝日 オンライン>(朝日・小泉耕平)
画像元 yjimage
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