地元老人の犠牲の上に成り立つ過疎対策! バスもタクシーも来ない集落の「命綱」 公共交通空白地有償運送の実態!それでも住み続ける!土地への思い!
老人が老人を車に乗せる地方の過疎地がある。バスの本数は少なく、タクシーは廃業したような地域では、車がなければ病院にも行けません。自動運転やネット配車サービスなどが話題を集める時代。ギリギリの助け合い交通網が、山間部の高齢者にとって「命綱」になっているそんな集落が多数存在する。
■その実態は合法的な「白タク」■
「山間部で老人が老人を車に乗せて運んでいる」と初めて聞いたのは、2016年9月、担当している警察署の交通部長からでした。 すぐさま調べ、過疎地の社協に連絡を取ったところ、「過疎地有償運送」という言葉を知りました。 過疎地有償運送とは、公共交通機関がない過疎地で、住民が許可をとって、運賃を得ながら乗客を乗せる、いわば合法的な「白タク」のことです。現場の山間部に行くと、ドライバーから「お金はもらっているが、1時間で数百円。殆どボランテアで成り立っている」という声を聞いた。
■ドライバーの年齢は平均65歳を優に超える■
山間部の多い高知県では、過疎地有償運送は3カ所でおこなわれている。いぜれも、ドライバーの平均年齢が65歳以上だったり、導入しても利用が伸び悩んだりしていました。
年齢や利用料金以外に気になったのが、ドライバーの日常の生活や仕事に支障が出ている点です。「呼び出しがあればすぐに行かないと行けない」「お金を払うことで、逆に当然と思われているのではないか」という声も多く聞こえました。
■「これで利益が出せる筈がない。実態はほんまにボランティア」■
過疎地有償運送がおこなわれている集落は、老人が数人しか住んでいない場所がほとんど。車がなければ病院にも行けない人と、それを支える住人にも負担がかかっていることを、どれだけの人が知っているのか。
当初からドライバーをつとめてきた男性は、こう言いました。
「もうけるためにやっている訳ではないが、事実儲かる訳がない。ほんまにボランティア」
そもそも、なぜ高齢者たちは車がないと暮らせない場所に住み続けるのでしょう。利用者の一人は、「ずっとここに住んでいるから、落ち着くんや」と話します。
集落も数十年前は林業やダム建設業で栄えた場所でした。住み慣れた場所で暮らしたいという思いをドライバーの男性はよくわかっているからこそ、ボランティアでもドライバーを務め続けるのだとわかりました。本来国の過疎対策の一部が、地元老人の犠牲の上で成り立っている。
(参考) ◇
<公共交通空白地有償運送> バスやタクシーなどの公共交通が十分にない地域で、NPO法人や社会福祉協議会が地域住民に提供する運送サービス。2006年、道路運送法が改正され、「過疎地有償運送」として制度が始まった。地域の住民などが講習を受けて運転手になり、料金を得て客を運ぶ。15年4月から現在の名称になった。国土交通省によると、全国で99団体(16年3月末時点で)が運行している。
記事引用・参考元 Yahoo News <with news>(朝日新聞高知総局記者・森岡みづほ)
画像元 yjimage
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