【記者の目】NHK、籾井会長の退陣!3年の総括がなされてない!果たしてNHKに展望はあるか!?

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【記者の目】NHK、籾井会長の退陣!3年の総括がなされてない!果たしてNHKに展望はあるか!?

 

■教訓生かし信頼回復を■

 

NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長が24日の任期満了で退任し、新会長に上田良一・経営委員が就任する。最高意思決定機関である経営委員会が籾井会長の言動を問題視し、続投を認めなかったためだ。私は2005年以降、NHKを通算5年余、3人の会長を取材してきた。職員の不祥事が頻発して受信料収入が落ち込んだのを受け、NHKは業務の無駄を洗い出し、08年からは外部から会長を迎えて改革を進めた。しかし、籾井会長の1期3年で新たに構造的問題が露呈したように感じる。

 

■会長の独断専行、報復恐れる理事■

 

一番の問題は、会長が理事会を独断で進行できることだ。NHKの重要事項は、会長、副会長、理事で構成する理事会で決定し経営委に諮られる。放送法は理事会について、「定款の定めるところにより、協会の重要業務の執行について審議する」とだけある。そのNHK定款には審議後の決定方法が書かれておらず、理事全員が反対しても会長の一存で決められる。一般企業の取締役会が、会社法で「(取締役会の)決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う」と定められ、明確に過半数の賛成を規定しているのと大違いだ。

三井物産出身の籾井会長に期待されたのは、企業の経営感覚をNHKの運営に生かすことだった。しかし、理事との意思統一ができないままさまざまな施策を独断で推し進めた末に、外部有識者で構成する経営委の反対で断念したケースが目立った。「改革断行」よりも「独断専行」の印象が強かった。

 

象徴的なのが一昨年12月8日の理事会だ。籾井会長は、関連団体を集約するビルの用地として、関連団体9社に350億円で土地を共同購入させる計画を水面下で進めていた。同日の理事会では、その計画を反映した予算編成要綱が議題になった。公開されている議事録によると、4人の理事が購入金額の算定根拠が不透明なことなどから「計画を再度精査して最終決定すべきだ」と反対。賛成意見を述べた理事はいなかったが、籾井会長は「特別延ばす理由もない」と押し切った。同日の経営委では、計画の内容や購入価格などが問題視され、白紙撤回に追い込まれた。

 

この理事会では、籾井会長に近い理事2人も反対に回った。いずれもその後の任期満了で退任し、子会社の社長に転出。「報復人事」と受け止められた。その影響は大きかった。籾井会長は昨年9月、17年度秋からの受信料値下げを突如掲げた。その後、11月の理事会で審議された際には理事からは意見が出ず、原案通りに決定された。表向きは「全会一致の決定」とされた。だが、理事の一人は私の取材に対し、急な値下げ提案を批判し、「我々は意見を聞かれるだけの存在なのに、会長が独断でやることの責任を問われるのは納得できない」とこぼした。報復人事を恐れて発言を控えたのだ。健全な状態とはとても言えない。値下げは結局、経営委から「具体的な積み上げもなく、時期尚早」とされ見送りとなった。

 

■情報開示の姿勢、経営委に課題も■

 

一般企業の取締役会にあたる経営委は、過半数の賛成での議決が規定され、籾井会長にブレーキをかける上で一定の役割を果たした。しかし、課題はある。土地購入問題では、経営委の議事録が一部しか公開されなかった。そこには籾井執行部側の「本日の経営委員会での議論を受けて、予算編成要綱の提案は、今回は見送る」という発言が記録されている。ところが、肝心の「議論」は「執行部から説明を受け、意見交換を行った」という記述があるのみだ。巨額の受信料を原資にする事業である以上、説明の内容や委員がブレーキをかけた理由を明らかにすべきだった。情報開示に後ろ向きの姿勢は国会でも追及を受けた。(その国会自身も情報開示に超後ろ向き!)

 

昨年12月23日に公表された、全委員で新会長を選出した「指名部会」の議事録も同様だ。新会長の選考理由こそ記載されている。しかし現会長の続投をなぜ見送ったのか、さらには13年の籾井会長選考にどんな問題があったのかといった点を検証、反省したのかどうかは記されていない。経営委は「視聴者の代表」を自任しているが、会長選定という極めて重要な場面で、各委員がどのような意見を表明し、議論したかを明らかにしなければ「代表」として機能したか判断できない。

 

失敗や制度的な欠陥はどの組織にもあり、それを教訓にすることが大事だ。反省のないところに改善はない。籾井会長の3年間を教訓として、国民・視聴者に信頼される公共放送の仕組みを整えて貰いたい。

 

 

記事・画像 引用・参考元 Excite News <毎日新聞 丸山進(東京学芸部)>

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