匂いを感知できなくなったら、認知症や、パーキンソン病の予兆かも知れない!

匂いを感知できなくなったら、認知症や、パーキンソン病の予兆かも知れない!

 

老人の最大リスクと言われる認知症やパーキンソン病の最大の問題点は「早期発見」が非常に困難だという点だ。ところが意外なところに、それが可能ではないかと言われる「鍵」が存在した。

 

Aさんは、近頃、「匂い」が感覚として認識できないことを感じていた。「いい香りがするでしょう!?」と妻から、桃やオレンジを差し出された時も、「!?!?」状態だった。トイレが臭いといわれた時も、自分では何にも感じなかった。そんな訳で耳鼻科を受診したという。

 

いろいろと検査を受けたが原因が分からなかった。鼻炎や蓄膿症など鼻には異常がなかった。一体何の病気なのか自分でも不安だったという。脳の異常でも嗅覚障害が起きることもあるという事でそっちの検査を受けることになった。

 

順天堂大学医学部耳鼻咽喉科の池田勝久教授は、「嗅覚障害と脳神経変性疾患(脳や脊髄の神経細胞の一部が失われる病気)」を研究している第一人者だ。教授は次のように話している。脳の神経変性疾患は、その早い段階で、嗅覚障害が伴う事が知られていて、その代表的な疾患は、アルツファイマー型認知症や、パーキンソン病であるという。脳の中の「臭いを感知する部分が変性することによって嗅覚障害が起きると考えられている。

 

手足の震えや、筋肉が強張るパーキンソン病では、運動障害が表れる数年前から嗅覚障害が起きる。また、アルツファイマー型認知症では、その前段階である、「軽度認知障害」の段階から、匂いが分からなくなるといわれる。原因不明の嗅覚障害の中には、将来脳神経変性疾患を発症するリスクがあるという事になる。また脳神経変性疾患の中には、嗅覚障害を伴いない疾患もあるので、嗅覚障害の有無が、アルツファイマー型認知症や、パーキンソン病の判定基準になる。

 

但し問題なのは、嗅覚障害を起こしているご本人様が、そのことに気づいていないのが大半なのだという。嗅覚は食べ物の味についても影響を与えるので、味の変化が表れる例が多いという。今までと食べた感覚が違うとか、こんな味ではなかったという様な事が起きたら、嗅覚障害を疑ってみた方がいい。味の変化の方が自覚しやすいという。

 

認知症や、パーキンソン病は、早い段階で分かれば、(薬で)進行を遅らせることが出来るが、嗅覚障害を治す手立ては今の段階では何もない。嗅覚トレーニングと言われるものもあるが、充分な段階には至っていない。

 

匂いにも関心を持っていれば、脳神経変性疾患の発症の予兆に結び付けられ、認知症や、パーキンソン病の進行を遅らせることが出来るかも知れない。

[日刊ゲンダイ 健康コラム 参照]

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