数こそ少ないが鮮やかな紅葉・欅の黄色い色どりの柳島山勝善寺点描・悪ガキ時代の想い出!
勝善寺は我が家の真正面にある寺である。年少の頃は、この勝善寺の境内が格好の遊び場で、我々ガタク坊主は連日ここで遊んだ。当時の勝善寺は瓦葺で、ガタク坊主たちは、あろうことか、石を放り投げて、屋根の上から、その石がカランコロンと落ちてくることに狂喜(!?)した。ご住職は余りのガタク振りに嘸かし冷や冷やしただろう! そして本堂前の空き地(境内)は、格好の野球場となった。夕食も忘れて暗くなるまで遊んだものである。<現在は鐘楼が建っているが当時はここではなく、欅の大木がある岡の上に鐘楼跡はあった>50年も過ぎた今となっては、よくぞこんな狭いところで、野球など出来たものだと思う。軟球でやったが、レフト方向は、塀を境にして、道路に接近していたので、ファールが、道路の東側にあったお宅のガラス戸を突き破って、割ってしまうことが、度重なってしまった。その都度わが親父は、弁償し、謝りに行ってくれました。
冬は鐘楼跡があった岡が、格好のスキー場(!?)になった。スキーと言っても、今のようなスマートなものではなく、竹を割って、先を火で炙り、適度に曲げた「竹スキー」だった。その竹スキーを板の下に取り付けた橇も作った。現在とは違い、そういうものは、自分たちで工夫して全て自分たちで作った。(臥竜公園の池も今とは違って全面結氷した。我々は下駄スケートで滑りに行ったものだ)今は下校後の小学生の遊んでいる姿は滅多に見られないが、我々の頃は、毎日徒党を組んで遊んだものだ。(石投げ合戦とか言って、石を投げあったような無茶な遊びまでやった)勝善寺は、そんなことで、(お寺側の迷惑は置いといて)非常に親しんだお寺だった。長じて、神社仏閣名所旧跡めぐり好きになったのは、この勝善寺が大いに影響していると思う。
さてさて前置きが長くなったが、今回は勝善寺の紅葉編である。10本近くある大欅の黄色、また数こそ少ないが、真っ赤な紅葉が鮮やかだったので、撮影したものである。写真を撮っていたら、ご住職が出てこられ、辺りを掃き清めておられた。このご住職は、私より2学年上だったが、まさか自分のお寺の屋根に石を投げる訳にもいかず、野球をしてご近所の窓ガラスを割る訳にもいかず、従って我々の悪ガキ=ガタク坊主の輪に入らなかったので、一緒に遊んだ記憶はないが、いまシラバッくれて、風流などと紅葉を撮っている親父がその時の悪ガキの1人だったとは気が付くめえ!はっはっは! いやはや50年振りに謝っておこう! 自宅の前のすぐ近くのお寺ではあるが、我が家の菩提寺ではなく、2・3km離れた、これまた、磯部六ケ寺の流れを汲む「譜願寺」が我が家の菩提寺である。この2寺も、凄く規模の大きなお寺で、人口52000人の市にはしては、不釣り合いな程の大寺である。(他に井上に浄土宗の県内最古と言われる同規模の大寺の浄運寺が存在する!) 奈良県宇陀市にある墨坂神社の流れを汲む墨坂神社が2社あることも不思議と言えば不思議だ! 須坂には「何かある!」というのが小生の持論である。
【柳島山勝善寺について】
柳島山という山号をもつ勝善寺は浄土真宗大谷派の名刹で正治元年(1199)にその柳の文字のとおり、現在の長野市柳原中俣(水内郡中俣村)に創建された。開基は清和源氏の流れ井上源氏の血をひく釈明空。明空は親鸞上人の直弟子で6人の高僧のひとりである。この6人の高僧たちの寺を「磯部六ケ寺」というが市内には普願寺とこの勝善寺がある。この6寺が揃って、信州および越後に移ってきた。そのうちの2寺が須坂に存在する。その後勝善寺は八丁へ移り元和9年(1623)には須坂藩主の招きで現在地へ移った。境内の広さ2900坪、何度か火災に遭い、現在の本堂は慶応2年(1866)から16年の歳月をかけて完成した。
本堂の広さは317坪あまり。欅の大柱60余本が使われている。
14代住職海秀の4女奈与子に水戸光圀のひ孫大明院真兼(俗名小沢左膳)が16代住職として婿入り、それ以来水戸葵を寺紋として許されている。17代住職夫人八千姫の父は京都今出川冷泉中納言で、多くの書簡が残されている。また、明治維新後に14代堀直明須坂藩主の娘徳子が22代住職勝秀に嫁いでいる。このようにこの寺は時の為政者との縁が深かった。
境内から大門を進むと通称寺町(勝善寺大通り・寺町大通り)に出る。この通りに勝善寺の上・中・下の3つの門が並び道を挟んで(勝教寺)・(円照寺)・蓮休寺・宝広寺・(真勝寺)があった。いずれも柳島山勝善寺の塔頭であったが、現在はそれぞれ独立した寺になっている。
※( )の寺は、今は廃寺。現在2寺のみ。
引用
須坂市公民館本館ブロック地域づくり推進委員会 発行
平成15年12月発行 平成18年3月改訂
「ふるさと歴史マップ」穀町・上町・本上町・上中町 より
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