端的に言って、ハシゴを外された格好である。2013年の就任以来、夥しいマネーを市場に流してきた黒田東彦・日銀総裁。その「異次元=量的緩和」政策の理論的支柱が、引き続く「デフレ」に白旗を上げ、持論を撤回したのだ。これにゃあ黒田総裁どの!さぞかし白目を剥いて、怒るんかと思ったら、青息吐息で意気消沈かい!? 情け無えったらありゃしねえ! 一体全体「この間の遺恨!どなんしてくれるんや!?」
*** *** ***
〈「アベノミクス」私は考え直した〉 12月9日発売の「文藝春秋」誌に論考が載った。
筆者は、米イェール大学名誉教授で内閣官房参与の浜田宏一大先生。言わずと知れた「アベノミクス」、中でもその「一の矢」である「大胆な金融政策」を首相に進言した中心的ブレーンである。従来、浜田氏大先生は大幅な金融緩和を行えば、円安が進み、物価は上昇、デフレから脱却できるという「リフレ理論」を唱え続けてきた。
しかし、先の論考では、“昨年末から量的、質的緩和政策は頭打ちになっているのではないかと思える”と、行き詰まりを明かし、“自分の考える枠組みに変化が”“金融政策だけではうまくいかない。財政とセットで行っていかないと”と、その限界をはっきり認めてしまったのである。こりゃあ大変だ!
これに驚いているのが日銀本店黒田総裁か!? なぜなら、日銀はこれまでリフレ理論に従って、市中から国債や投信を異常に買い集めてきた。しかし、当の親分がその方法に「間違っちゃったかも知れないと留保を付けたのだから。普通の神経では身が持たない!(筈だ!)
エコノミストの中原圭介氏は言う。
「実は、浜田さんが影響を受けたノーベル経済学賞学者・クルーグマンも15年、“日本の量的緩和政策は失敗するかも知れない”とコラムで述べています。つまり、日米のご本尊2人が共にリフレの失敗を認めている。今後の黒田総裁は、量的緩和の規模を縮小する方向で、更なる政策転換に努めていかざるを得なくなるとちゃうか?
また、元日銀金融研究所長で、千葉商科大学大学院の三宅純一・名誉アドバイザーも言う。
「黒田さんはもともと腰の据わったリフレ派ではない。浜田さんや、副総裁の岩田規久男さん、審議委員の原田泰さんといったラディカルなリフレ派に引っ張られてきたのです。その彼らが「前言撤回」ですから複雑な思いでしょう。今後は、日銀企画局などの事務方が志向する、金利操作を中心とした政策に重点を置いていくと思われる」
となれば、総裁にとって残り任期の1年余りは、自らの誤りを正す針の筵の日々になる。 就任当初こそ、円安、株高を誘引し、評価が高かったかに見えた「黒田バズーカ」。しかし、この2年は失敗の連続だ!
経済部のデスクは言う。
「2年間で2%上昇を謳っていた物価は伸び悩み、追加緩和、マイナス金利を導入しても流れは変わりません。…それを受け、9月の金融政策決定会合では、量だけでなく、金利も操作の対象にする『方針転換』を表明。11月の会合に至っては、インフレ目標の達成時期を『19年3月まで』つまり、『18年4月まで』の自らの任期の後に再名々度先送りした。すなわち『敗北宣言』を出したワケです」 それに続いての、バックボーン・浜田氏の“変節”だ。「リフレ派」の信用が地に墜ちたのは、想像に難くあるまい。もうメチャメチャでござりまするがなあ!
となれば、総裁にとって残り任期の1年余りは、自らの誤りを正す日々になる。 経済学者の“マネーゲーム”に使われた代償は、途方もなく高く付きそうなのだ。
そうは言っても、「訳も分からなく、方向を見誤っている」にも関わらず、潔く認めることが出来ない御仁がいらっしゃる!この方、過去の経緯や、ご発言も平気で覆すが、今回もメンツに拘り、現実を認めない可能性が非常に強い。浜田大先生!ここは頬被りでしらばっくれて貰っては困ります。あなたの責任で、その方を説き伏せて、間違った方向を正して貰わないといかんのではありませんか!? それだけ重要なモメントを提供したのですから!
- 小生も不謹慎と思いながら、この稿は茶化すしかやり様がなかったのであります!
記事・画像引用元 Excite News<DailyShincho_ワイド特集「夜明けの鶏(チキン)レース」より。「週刊新潮」2016年12月29日・2017年1月5日新年特大号 掲載>
コメント