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オリックス電力は関西電力に身売り 新電力の淘汰・再編が始まる!
昨年4月の小売り全面自由化を受けて「新電力」が相次ぎ誕生してから約1年半。早くも淘汰の動きが始まろうとしている。オリックスは傘下のマンション大手、大京との共同出資で設立した集合住宅向け電力販売子会社、オリックス電力(東京・港区)を今月中にも関西電力に売却する方針を固めた。既存の電力大手による新電力の買収は初めて。市場では販売電力量が月1000万キロワット時に満たない中・小規模小売り事業者が「乱立している」(業界筋)とされ、今後、再編が一気に進む可能性もありそうだ。
オリックス電力はオリックスが約86%、大京が14%を出資。首都圏を中心に800棟、約8万世帯の顧客を持ち、2017年3月期で売上高約70億円、営業利益5億円を計上している。ただここにきて価格競争が一段と激化、「収益基盤拡大へ向けた将来図を描くのが難しくなった」(関係者)として身売りに踏み切る。売却額は175億円規模となる見込みだ。
電力小売り市場には15年8月から開始された事前登録制度の下、400社近い企業が一斉に参入した。しかし経済産業省によると、自由化から8カ月が経過した昨年末の段階になっても、そのおよそ2割が電力供給の実績はまったくのゼロ。しかもうち約3割に当たる23社は「16年4月から事業を開始する」としていたにもかかわらず、事業すら行っていなかったという。
また、何らかの供給実績のある事業者であっても、3割超の約120社は月間販売電力量100万キロワット時未満。「電力販売収入で電力調達費や託送費、システム償却負担などを賄い切れておらず、大半は赤字」(事情通)というのが実情だ。今回のオリックス電力の身売りは、新電力が置かれたこうした経営環境の厳しさの写し絵ともいえるが、自由化の制度設計に携わった経産省からすれば複雑な思いだろう。
買い手が他の新電力というのならともかく、既存電力の権化・関電だからだ。省内からは「今後も既存電力が新電力をのみ込む形で再編・淘汰が進むようなら、自由化が絵に描いた餅になる」と危惧する声も上がっている。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ < view/news >
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