東芝WHの破産申請 米の最大懸念「数千人解雇」
WHが米連邦破産法11条の適用を申請した裏側では、日米両政府による“さや当て”があった。米国では、原子力技術の流出や従業員の大量解雇につながると懸念する声が根強い。日本側は東芝再建に不可欠な措置だと理解を求めたもようだが、4月に始まる日米ハイレベル経済対話で、議題となる恐れがある。
「潜在的な国家安全保障上の問題になりうる」
ロイター通信によると米政府高官はWHの破産申請に対して強い関心を示したという。また、米エネルギー省も29日、「米国の納税者を守り、エネルギー政策や安全保障に配慮した再生策を期待する」と指摘した。
日米両政府はこの問題について事務レベルで連絡を取り合っているが、米側の懸念は消えない。
米国内ではWHの破産法11条申請で、従業員数千人が一時解雇(レイオフ)になると危惧する声がある。また、米政府はWHが受注したジョージア州の原発建設で電力会社に83億ドル(約9200億円)の債務保証をしており頓挫すれば、電力供給や財政負担などの悪影響が懸念される。
一方、現時点では日本政府には、米側から具体的な要請はないという。世耕弘成経済産業相は「日本に『何かしろ』とか、米国が『何かする』といった話は全くない」と説明する。経産省幹部は米連邦破産法11条について、債権回収や訴訟が停止され、事業を継続しながら経営再建ができる「再建志向の法律」だと指摘。適用後も「米国内の原発建設が進めば問題はない」とみている。
東芝は今回、韓国電力に支援を打診し、WHに対する債務保証約6500億円を履行する方針を示すなど、事業継続に向けた環境作りに努めた。今後はWHが策定する再建計画が、米政府や地元の電力会社、金融機関などの理解を得られるかが焦点になる。雇用創出を掲げるトランプ政権にとって、WHの破綻が失業者の増加につながるのは避けたい。
日米両政府は16日の世耕氏とロス米商務長官の会談で、東芝に関する「情報共有の促進」で合意したが、再建の進捗(しんちょく)次第で、新たな対策を迫られる恐れがある。
引用元 ヤフーニュース [産経新聞] (田辺裕晶)
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