知られざる「エープリルフール」の起源 歴史学者が語る
ペンギンが空を飛んだ――。9年前の4月1日に英BBCが報じた動画ニュースだが、もちろんウソ。エープリルフールにちなんだジョークだ。
このエープリルフールの起源はどこか。最も有力とされるのが、「フランス発祥説」だ。1564年に国王シャルル9世が4月1日を新年とするユリウス暦から1月1日が新年のグレゴリオ暦に変更。これを知らずに新年の祝いをした人が「バカだ」と周囲にからかわれたとする説(暦を変えた国王に抗議した人々がバカ騒ぎをしたからという説も)。フランスでは4月に近所に魚を贈る風習があって、わざと偽物の魚を贈ったのが広まったという説もある。この説を裏付けるかのように、イタリアでは4月1日に魚の形のチョコレートを贈る風習が残っている。
では、日本ではいつ頃から始まったのか。江戸時代の年中行事「不義理の日」を起源とする説もあるが、これに異を唱えるのは歴史学者の加来耕三氏だ。
「不義理の日は、日頃ご無沙汰の人に手紙を書いて近況を尋ねる日であり、あまりウソとは関係ないような気がします」
■やはり西洋文化の流入は、文明開化の明治に入ってからのようだ■
「日本では、エープリルフールのウソは午前中までという習わしがあります。この午前中だけという縛りは英国にあり、幕末から明治にかけ英国留学した知識層がエープリルフール文化を持ち帰ったと考えるのが妥当でしょう」(加来氏)
大正10(1921)年には横溝正史が「恐ろしき四月馬鹿」で作家デビューしており、この頃までには庶民の間にもエープリルフールが定着していたと考えられる。
エープリルフールは中国でも行われ、「国連本部が北京に引っ越し」とやって大ウケしたこともあった。だが、日本のメディアはあまりやらない。4年前に美術雑誌が「東京都現代美術館が閉館し、クールジャパンの美術館に衣替えする」と報じたところ、抗議が殺到して謝罪に追い込まれたこともあった。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ
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