長時間待たされ、診療は10分!この状況打開策!働く中年層のための予防医療 ネット問診で待ち時間を短縮!
オフィスビルが立ち並ぶ東京・豊洲。MIZENクリニック豊洲(東京都江東区)、同院は近隣で働くサラリーマン・OL層をターゲットに夜間診療(平日18~22時)を行っている一般内科クリニック。昨年春、5人の若手医師(28~30歳)によって開院したばかりだが、どんな考えで設立されたのか。
■責任者で「医師」「研究者」「起業家」の異なる3つの顔をもつ田澤雄基院長の見解■
「すでに症状が出ている高齢者は積極的に医療機関に掛かっていますが、持病を放置しがちなのどちらかというと働き盛りの人たち。当院は、まだ合併症が出ていない生活習慣病や軽い急性期症状の患者を中心に、心と体の両面から診て病気を未然に防ぐ予防医療をコンセプトにしている。患者の7割は30~40代です」
会社の健診などで生活習慣病になりかけの数値を指摘されても、会社員だとつい放置してしまう。 その大きな原因は、「会社帰りに医療機関が開いていない」「忙しくて時間がとれない」などの時間的な障害だ。夜間診療に特化したのも、その課題を解決する為だった。医療機関側が患者の都合や生活スタイルに近づく医療を試みている。
「基本的に診療はネットからの予約です。来院前に予め問診票を送信して貰うので、医師の方も予めどんな病気なのか把握(予測)できます。受診枠をネット問診の結果で細かく調整しているので、待ち時間が極力短縮できるメリットがあります」
近くには、24時間営業の薬局もある。同院には1日4時間の診療時間で、平均30人の患者が来院しているという。担当医師は輪番制(院長は週3日程度)だが、院内のIT化で患者の情報を共有できており、業務に支障が出ることは少ない。
■生活習慣改善に精神科の知識が生きる■
このようにITを活用してアクセスの良い医療形態を実現できているのも、田澤院長は医学生時代に医療ITベンチャー会社を立ち上げ、医療機関向けのITシステムの技術を提供してきた経験があるからだ。
「例えばクリニック向けにネット問診票を開発して販売しても、導入する施設の事務としては既存の、紙問診票と両方をやるとなると煩雑になる。既存の医療形態に部分的にITを導入しても不完全なものにしかならないのだ。ITを活用して予防医療に役立たせるには、トータル的に考えてゼロから設計しないといけない。当院の設立は、そのモデルケースをつくりたいと思ったからです」
生活習慣病の診療では、患者が医療機関と継続してつながっていることが大切になる。どんな患者は継続率が高いのか、通院データをITで管理していると、その傾向が見えてくる。同院では患者の約80%は必ず翌月も来院しているという。また、アクセスだけでなく、患者とのコミュニケーションも重視する。
「生活習慣病は生活環境や人間関係なども大きく関係しています。私は精神科診療もしているので、他のスタッフには患者の日常のエピソードやライフスタイルもよく聞いて、予防医療に生かすように伝えています」
田澤院長は、普段は慶応大大学院でAI(人工知能)を活用した疾患診断の研究を行っている。
【田澤雄基院長profile】
▽栃木県出身。2014年慶応義塾大学医学部卒。学生時代に医療ITベンチャーを起業し、後に売却。東京歯科大学付属市川病院、慶応大学病院に勤務。16年、大学院生として慶応大学精神・神経科に所属すると共に同院を開業。東京都医師会医療情報検討委員会委員。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ <ヘルス ケア>
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