<医者も知らない医学の新常識>
大豆の発酵食品で摂る 味噌や納豆が高血圧を予防する
「高血圧の予防に大豆がいい」という話は昔からあります。大豆にはイソフラボンという成分が含まれていて、血管の平滑筋の増殖を抑えるなど、動脈硬化の進行を防止するような作用があるからです。ただ、「大豆食品で血圧が下がった」という報告がある一方で、「変化がなかった」という報告もあり、一定していません。
その原因として考えられることは、イソフラボンの吸収の不安定さです。大豆に含まれるイソフラボンは、腸内細菌の働きで分解されてから体に吸収されるので、どんな腸内細菌が多いかによって、その吸入量も変わってしまうからです。
そこで最近注目されているのが味噌や納豆などの大豆の発酵食品です。発酵食品にはアグリコン型という大きさの小さなイソフラボンが含まれていて、腸内細菌の助けを借りなくても吸入されるからです。
今年の栄養学の専門誌に、日本の多目的コホート研究という、有名な臨床データを解析した論文が掲載されました。それによると、味噌や納豆などの大豆発酵食品を取る習慣のある人は、その後高血圧になる危険性が少なくなっていました。そして、大豆全体の摂取が多くても、そうした関係は見られなかったのです。
味噌や納豆を含む食品には塩分量の多いものが多いので、その点には注意が必要ですが、適度にそうした食品を取ることは、生活習慣病の予防に有効であるようです。
《石原藤樹profile》
「北品川藤クリニック」院長。
信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ <石原藤樹執筆>
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