“米中プラザ合意”の現実味…日本企業が中国から撤退する日!「世界の安倍」は対応できるか!?
トランプ政権が中国に対し発動した制裁関税。7月の340億ドル(3兆7400億円)に続く160億ドル(1兆7600億円)相当の追加関税に、中国は即座に同規模の追加関税で報復した。ワシントンで行われた次官級の米中通商協議も平行線。さらに、トランプは9月にも、最大規模の2000億ドル(22兆円)相当の関税を発動する構えだ。過熱する関税バトルは、1985年の「プラザ合意」に倣って、人民元大幅切り上げが“落としどころ”ともいわれ出した。大幅な元高は、日本経済にも影響大だ。
トランプは米中通商協議の直前、「中国は完全に為替操作をしている」と最近の元安をやり玉に挙げた。トランプがいら立っているのは、制裁関税を課しても、同時に元安が進み、中国の輸出を後押ししているからだ。
「元安の原因はトランプ大統領です。相次ぐ制裁関税が中国経済を混乱させ、元安が進んでいるのです。中国当局は喜んで容認しています」(中国経済担当記者)
実際、トランプが鉄鋼、アルミ製品への追加関税を発動させた3月以降、元安が加速している。3月末1ドル=6.2元近辺だったが、現在は6.8元台だ。トランプが制裁関税を強化すればするほど元は弱くなるというわけだ。
「米政権内では、個別品目に高関税をかけるより、人民元を切り上げる(元高)方が、得策という意見が出てきている。中間選挙向けにもインパクトがある。報復関税のネタが尽きる中国サイドも“為替での決着”を受け入れる公算が大きい。早ければ9月にも“米中プラザ合意”があるかもしれません」(兜町関係者)
1985年9月、G5(米英独仏日)は、米国の膨大な貿易赤字解消を目的に、ドル高の是正について合意した(プラザ合意)。当時1ドル=230円台だったのが、1年半後には120円台と猛烈な円高が進行した。
もし、米中で大幅な元切り上げが合意されたらどうなるのか。急激で大幅な元高(対元で円安)は、日本経済にも大きな影響を及ぼす。ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。
「90年代以降、中国の製品や人件費が“格安”ということで、日本企業は中国から材料を輸入したり、中国に生産工場を建て、コストダウンをしてきました。大幅な元高でそれがなくなれば、中国から撤退する日本企業が相次ぐかもしれません。元高は、中国への輸出は追い風になるので、中国企業が日本で生産して、中国に輸出(逆輸入)するパターンも出てくるでしょう。また、日本を訪れる中国人観光客(インバウンド)も今以上に増えます」
「米中プラザ合意」による大幅な元高は、日本の風景を一変させるかもしれない。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ
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