虚偽記載疑惑報道をスルー 東芝に見える“被害者意識”サッサと対応しないと拙くないかい!?
6月末の提出期限を2カ月も遅らせた決算発表は何だったのか。今月1日、ケリがついたとみられていた東芝の赤字決算を巡って、証券取引等監視委員会が、有価証券報告書の虚偽記載の疑いで調査すると報じられた。報道を受けて東芝株は一時、5%下落。市場が揺れたが、綱川智代表執行役社長は、会見も謝罪もしていない。
東芝は今年3月期決算で、米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の損失約6500億円を計上。監視委は、東芝が昨年3月までには損失を認識できたとみて、昨年3月期への損失計上を求めているようだ。
東芝としては、一連の決算延期の要因になったゴタゴタを蒸し返された格好で、「いい加減にしてくれ」ということらしく、会社もノーコメントだが、“スルー”できる状況なのか。
実はその3日前の9月28日、総額2兆円で子会社・東芝メモリを米投資ファンド、ベインキャピタルを軸とする「日米韓連合」に売却することがようやく決まった。しかも、その日の午後に予定されていたベイン側の会見は、「関係者の合意が得られなかった」(杉本勇次ベイン日本法人代表)としてドタキャンになっている。
■監査法人と経産省の“介入”にプッツンか
そんな経緯での虚偽記載疑惑報道だけに、東芝はやましいことがなければないで、“火消しの会見”を開いてしかるべきだろう。「リーダーの基本」などの著書があるSBIモーゲージ(現アルヒ)元取締役執行役員常務の横山信治氏が言う。
「本来は、会見を開いてきちんと説明するのが筋です。上場企業が決算を発表できないのは、異例中の異例。そんな苦労の末に発表した決算にさらにほころびが見つかったとすれば、並の上場企業なら倒産危機に陥っていますからね。そんな状況にもかかわらず、何も声を上げないのは、東芝側に“被害者意識”があるからではないか」
決算を発表した8月10日の会見で綱川社長は、「WHは現在、連結から外れて、関連する(損失を計上する時期を巡る)不備が起こる可能性はなくなった」と決算の正当性を主張。それでもイチャモンをつけられたら、「我々こそ被害者」と言わんばかりだった。横山氏が続ける。
「東芝は、PwCあらた監査法人に対して損失を隠しているわけではなく、損失を隠したオリンパスとは事情が決定的に異なります。ところが、監査法人の意見は、『不表明』や『限定付き適正』でした。監査法人は決算の誤りをチェックするのが仕事ですが、『不表明』では、半ば仕事を放棄しているようなもの。東芝側が“被害者意識”を持つのも分からなくもありません。もう一つ、東芝メモリ売却は、経産省の“介入”で交渉がこじれたと報じられています。そんなゴタゴタで、東芝は“被害者意識”を増幅させて、どんな手を打てばいいのか分からなくなっているように見えますが、会見をパスしていい理由にはなりません。ノーテンキすぎます。トップが正々堂々と説明責任を果たすのがセオリーです」
売却が決まった東芝メモリは、ウエスタンデジタルによる売却差し止めリスクがぬぐえない。今の東芝なら、毎日会見してもバチは当たらない。綱川社長が何も語らず、後手後手に回れば、何が起こっても不思議はないだろう。
記事参考・引用・ 日刊ゲンダイ
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