長寿研究の第一人者が見た 「百寿者」7つの生活スタイル
長生きしたいと思っていても、男女とも70歳くらいで病気に罹り、10年ほどの介護生活の末に亡くなるのが平均寿命80歳の末路だ。しかし、100歳を迎えてなお元気な人もいる。100歳以上の百寿者は1998年に初めて1万人を超え、今や6万5692人。百寿者の生活スタイルは、一般的な寿命の人とどこが違うのか。いわば長寿の秘訣を、白澤抗加齢医学研究所所長・白澤卓二氏(長寿遺伝子)に聞いてみた。
①糖尿病と肥満がない
100年前は第1次世界大戦の真っただ中。長い年月を生き抜いてきただけに、持病がゼロということはない。
「検体された百寿者を解剖すると、動脈硬化が進み、臓器や脳は萎縮して小さくなっています。前立腺がんや乳がんなど、55%にがんが見つかる。百寿者は概して血圧も高い。病名を並べると、30くらいになります。しかし、その一つ一つが命を奪うような重症ではなく、うまく折り合って長寿を全うしていることが伺えるのです。その中で、最も重要なのは糖尿病がないこと、あってもきちんと治療しておくことと、肥満ではないことです」
②血糖値を乱高下させない食事
糖尿病と肥満は、食事(生活習慣の1つ)と密接な関係がある。
「食事は血糖値を上昇させ、暫くすると血糖値が下がります。中でも炭水化物が血糖値急上昇の主役で、その反動で急降下すると、空腹感が強まるので、また食べたくなる。つまり、血糖値の乱高下が糖尿病を悪化させ、肥満を助長します。百寿者は、なるべく血糖値変動の波が緩やかな食生活をしています。程々の主食を野菜の煮物と焼き魚で食べる。昔ながらの和食を三度三度、続けているのケースが多い」
動物実験では、炭水化物を減らすと、長寿に関わるサーチュイン遺伝子にスイッチが入ることが分かっている。
③アンチバリアフリー
人口10万人当たりの百寿者トップ3は島根、高知、鳥取で、西日本が目立つ。その理由は分からないが、百寿者が多いエリアには共通項がある。
山の麓で坂や階段を上り下りする生活です。ちょっとしたトレッキングのような生活が、足腰の強化につながります。長寿を目指すなら、バリアフリー化はよくありません」
適度な運動(生活習慣の1つ)
④車いすでも幸せ
百寿者のうち82%は何らかの介助を必要としているが、クヨクヨしていない。
「多くの百寿者にお話を伺うと、必ず前向きな答えが返ってきます。車いす生活で殆ど外出できなくても『週1回のお茶に出掛けるのが楽しみ』と答えたり、『嫌なこと、なかったですか』と質問すると『今が幸せ』と笑顔になったり。元々、そういう性格ではなく、自分なりに老化を受け入れて、その時の自分が出来る事に喜びを感じているうちに、前向きな性格や考え方になるのです」
多幸感があるのが百寿者の特徴だという。
(ストレスが少ない=生活習慣の1つ)
⑤筋力をつけ足腰を鍛える
スキーヤー・三浦雄一郎さん(83)の父、敬三さんは06年に101歳で亡くなる直前まで一人暮らしだった。一人でスーパーに買い物に行き、自分で料理を作る。そんな自立した生活ができるのは、全体の18%。
「百寿者の男性は、8167人と少ないのですが、自立できるのは殆どが男性です。女性は少ない。その生活を支えるのが筋力や足腰の強さ。認知症を発症しやすい80代を乗り越えた男性は、自立した百寿者になる可能性が高い」
適度な運動(生活習慣の1つ)
⑥見守る人がいる
自宅にせよ、介護施設にせよ、8割の人は百寿者を見守る人がいる。
「敬三さんのような方もいますが、大多数は、誰かに見守られています。そういう方は、『家族のおかげで』とか『施設の方がよくしてくださるので』とおっしゃり、『だから長生きできた』と結ぶ。結果論ですが、百寿者を世話できる環境があるのです」
感謝の気持ち
⑦認知症でも進行が遅い
自立を妨げる認知症には、いくつかのタイプがあり、50%は生活習慣に左右されることが分かってきた。7つの要素が関係しているという。
「医学専門誌『ランセット』に掲載されたのは1糖尿病、2高血圧、3うつ病、4たばこ、5運動、6教育、7肥満です。この7つのうち1つでも多く改善していくと、認知症を予防できます。百寿者は、認知症でも進行が遅い傾向があるので、7つを予防するような生活を心掛ければ、元気な百寿者になれる可能性が高い」
☆ ☆ ☆
50年後には、百寿者が最大80万人に膨れ上がるという推計もある。健康で長生きしたければ、この7つはしっかり頭に入れておこう。
引用元 日刊ゲンダイ http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/191482/5
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