<SIM>ロック適用期間が短縮されるか!?解除に踏み切れない「スマホ転売」の実態!

経済・社会

<SIM>ロック適用期間が短縮されるか!?解除に踏み切れない「スマホ転売」の実態!

 

購入後180日以上経てば解除できる携帯電話の「SIMロック」が、100~120日程度で解除できることになりそうです。総務省の専門家会合で解除柔軟化の方向性が示されました。会合のメンバーで情報通信政策に詳しい北俊一・野村総合研究所上席コンサルタントが解説します。

 

◇SIMロックとIMEIロックの強固な組み合わせ

 

携帯電話端末には「SIMロック」という仕組みがある。SIMロックが掛かっていると、例えばドコモで購入した携帯電話は、auやソフトバンクのネットワークでは使えない。ただし、購入から180日以上たてば、SIMロックを解除することができる。

 

このような仕組みを設けている理由は、端末の割賦代金の初回支払いが未納で、支払い督促後も支払われない端末が、他社のSIMカードとネットワークで使われないようにするためである。

 

また、初回支払いの未納が確定し、通信停止、強制解約となった後、端末購入から約180日後に「IMEIロック」もかかる。

 

IMEIとは、世界の全ての携帯電話に一つずつ割り当てられた機体番号である。通信事業者は180日目以降、踏み倒された携帯電話のIMEIを自社データベースに登録し、その端末を使えないようにロックする。SIMロックとIMEIロックを組み合わせると、料金を踏み倒された端末は、180日目以降は自社と他社のネットワークで利用できなくなるのだ。

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◇料金を踏み倒す不届き者

 

このような厳格な仕組みを導入しているのは、転売目的で不正に端末を入手する不届き者が、一定数存在するためである。端末購入後すぐに転売し、代金は踏み倒す。そのような端末とは知らずに、中古端末として購入したユーザーが、180日後にIMEIロックがかかり、突然使えなくなる、いわゆる、「赤ロム」化という事案が発生しているのだ。

 

しかし一方で、この厳格な仕組みのため、例えば端末購入から180日以内に、海外旅行や海外出張に行くユーザーが、携帯電話料金を安く抑えるために現地通信事業者のSIMカードを挿して使おうとしても、端末のSIMロックを解除できないので使えない。

 

また、例えば長期間、滞りなく料金を支払っている善良なユーザーが、同じ通信事業者のまま機種変更をした場合でも、180日以上たたないとSIMロックを解除できない。つまり、一握りの悪意をもった人間のために、圧倒的多数のユーザーが不利益を被っている状況といえる。

 

◇SIMロック解除は100~120日に短縮の方向

 

11月7日、総務省で「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」の第3回会合が開催された。会合の論点の一つが、SIMロック解除の柔軟化だった。結論から言うと、180日は長すぎるということで、初回未納が確定する約100~120日に短縮されることになりそうだ。

 

第2回会合では、IMEIロックという仕組みがあるのだから、SIMロックは不要なのではないかという議論もあった。しかし、各通信事業者から第3回会合で示されたデータで、初期のSIMロックは「やはり必要」ということになった。

 

そのデータは、端末代金の不払い発生状況だ。新規契約で端末を購入するユーザーはもとより、機種変更で端末を購入する既存ユーザーの中に、端末代金の不払いが相当数発生しているというデータである。その額は公表されてはいないが、我々の想像を遙かに超える高い数字の様だ。勿論中には、“善意”のユーザー、何らかの事情で携帯電話料金を支払えなくなったユーザーも多数存在するはずだ。

 

もしSIMロックを廃止すると、代金未回収の赤ロム端末が中古市場に今以上に流れ込み、MVNO(格安スマホ)を含めた他社のネットワークでも利用されることは必至である。今後、MVNO市場の拡大と健全な中古端末市場を確立するためには、何としても避けたい事態だった。その結果、SIMロック廃止は見送り、解除期間の短縮化を打ち出すことになった。

 

総務省と通信事業者が今後、SIMロックとIMEIロックについて、ユーザーの利便性確保と安心・安全のバランスを充分に考慮しながら、ガイドラインを慎重かつ大胆に見直してくれることを望む。

 

引用・参考元 ヤフーニュース <毎日新聞 11/13配信>

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161113-00000009-mai-bus_all

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