<東芝>東芝メモリーの売却、株主承認したが次の壁は独禁法!各国審査長期化も!
東芝倒産回避対応現状報告
東芝は24日の臨時株主総会で、半導体メモリー子会社「東芝メモリ」を、米ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」に売却することで株主から承認を得た。売却先の選定には一区切りついた形だが、売却完了にはなお高いハードルが残る。巨額投資を繰り返す世界首位の韓国サムスン電子と東芝メモリの差は広がっており、追いつくのは容易ではない。
「独占禁止法が間に合わなかったり、(米半導体大手)ウエスタン・デジタル(WD)との訴訟で売却が完了できなかったりする場合はどうするのか。できない場合の代替案はないのか」。総会では株主からの懸念の声が相次いだ。これに対し、綱川智社長は「いろいろと考えて進めている」と返答。間に合わない場合でも何らかの措置を講じ、上場廃止を避ける考えを示唆したが、具体策には触れなかった。
東芝の上場維持のためには来年3月末までの東芝メモリ売却が不可欠だ。期限までの売却完了には、各国の独禁法審査の終了と協業先のWDとの係争解決が必要になる。総会では、株主からこの二つのリスクに対する質問が相次いだ。
中でも関係国当局による独禁法の審査の行方は不透明だ。東芝は既に約10カ国に審査を申請したが、市場での占有率が高まり容易に値上げできるようになるなど、健全な競争が妨げられると判断されれば、審査が長期化する恐れがある。特に中国の審査期間は見通せない。中国は半導体を国内企業の育成強化を図る重点分野に位置づける。「日米韓連合」には韓国の半導体大手SKハイニックスが含まれる。SKは当面、議決権を持たないことで独禁法審査をかわしたい考えだが、中国当局が問題視する恐れは残る。
他の日本企業も過去、中国の審査に苦しんだ。丸紅は2012年5月、米穀物大手ガビロンの買収を発表したが、中国当局は「中国の大豆市場を操作し、競争を制限しかねない」と主張。買収が承認されるまでに1年2カ月を要した。パナソニックによる三洋電機買収も9カ月以上かかった。
二つ目のハードルは、WDが売却中止を求めている国際仲裁裁判所の判断だ。仲裁裁の結論には1~2年かかるため、WDは仲裁裁の審理開始の時点で、売却の一時停止を申し立てる方針だ。仲裁裁は来年1月にも一時停止の可否を判断するとの見方があり、判断次第で売却手続きを止めざるを得なくなる可能性もある。
ベインは東芝にWDとの和解を促している。これまで両者が共同で行っていた設備投資ができなくなれば、WDはメモリーの入手経路が確保できず、和解に応じざるを得ないとの見方からだ。東芝メモリの成毛康雄社長もベインに同調する姿勢をみせているが、両者の関係は悪化しており、難航するとみられる。
◇WDと対立、不安残す サムスンがシェア独走
米ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」への売却が決まり、東芝メモリの社員は「ようやく攻勢をかけられる」(40代男性技術者)と、世界シェア首位の韓国サムスン電子との競争に意気込む。一方で、これまで次世代型メモリーを共同開発してきた協業先のWDとの関係は悪化しており、今後の開発・生産体制への不安の声も漏れ聞こえる。
JR四日市駅(三重県)から車で約20分、東芝の営業利益の約9割を稼ぐ東芝メモリの製造拠点、四日市工場が広がる。スマートフォンの大容量化や企業などのデータセンターでの使用増に伴い、メモリーの需要は高まり、より多くの情報が記憶できる次世代型の開発が進む。東芝は来夏の完成を目指して新製造棟を建設中で、10月には17年度中に1100億円を前倒しで投資することを決めた。
一方で、売却に反対するWDと訴訟合戦を繰り広げるなど対立は泥沼化。その過程で人材流出が加速し、3月末に約15万3500人いた東芝全体の従業員数は、わずか3カ月間で約1000人減少。東芝メモリも例外ではないという。
WDとの対立は今も解消しておらず、東芝メモリの30代男性技術者は「先行きを見通せないままWDとの関係を悪化させる経営陣に嫌気がさし、転職する同僚もいた」と明かす。自身も中国企業から誘いを受けたという。
東芝が迷走する間、サムスンは巨額投資を重ね、シェアを伸ばしてきた。英調査会社IHSマークイットによると、今年1~3月に36・7%だったサムスンのシェアは4~6月に38.3%に伸びる一方、東芝は1.1ポイント減の16.1%。この技術者は「対サムスンで協力すべきWDと対立を続ければ、更に引き離される」と危機感を募らせる。日米韓連合とWDが一枚岩になれるかが攻勢のカギを握る。
引用・参考元 ヤフーニュース < 毎日新聞 >【古屋敷尚子、北京・赤間清広】https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171024-00000106-mai-bus_all
画像元 yjimage
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